東京都「私立高校授業料実質無償化」で受験は変わる?

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教育費が上昇傾向にある中、東京都の小池都知事が公表した「私立高校授業料実質無償化」は、私立を検討しているご家庭にとって朗報だったのではないでしょうか。
そこで今回、支給額をもとに、高校受験、中学受験にどのような影響があるのか、「森上教育研究所」の森上展安先生にお聞きしました。

※公益財団法人東京都私学財団による「平成30年度の変更点」を受けて、2018年5月24日に加筆・修正を行いました。

対象世帯は、月額換算で約37,000円の支給!

対象世帯は、月額約37,000円支給!

「私立高校授業料実質無償化」とは、東京都内在住で私立高校に通うお子さまがいる、年収760万未満の世帯を対象に、449,000円を支給するものです。

この449,000円は、都内私立高校の平均授業料に相当する金額であり、授業料が実質無償となることから、このような呼び方をしています。

制度に関しては、公益財団法人東京都私学財団が行っている現行の「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」の仕組みを拡充したものになります。

東京都の支援制度には、国の「高等学校等就学支援金」と、都の「私立高等学校等授業料軽減助成」があり、諸条件によりますが、例えば年収590万~760万の世帯ではこの2つを合算して、過去年額225,900円が支給されていました。

その金額が、都の助成が拡充されることにより、国と都の助成合計で、年収760万未満の世帯に年額449,000円(在学校の授業料が449,000円を下回る場合は、その金額が上限)になります。

3年間合計で134万7千円、月額に換算すると、約37,000円になりますので、家計はかなり助かるのではないでしょうか。なお、私立高校に通う世帯の約30%(約51,000人)がその恩恵に浴することになると都は試算しています。

※本助成に関する詳しい内容は、「授業料負担軽減リーフレット」 に掲載されています。
平成30年度の申請受付は、全日制・定時制は6月下旬~7月下旬、都認可通信制は10月の予定です。詳しくは、公益財団法人東京都私学財団にご確認ください。

都立高校との私立併願者にメリット

では、私立高校への進学で、実際に支払う金額はどのくらいまで減るのでしょうか。
東京都生活文化局の「平成30年度 都内私立高校(全日制)の学費状況」の下記数値をもとに、シミュレーションしてみました。

都内私立高校231校 授業料等各項目の平均額

  授業料 入学金 施設費 その他 初年度納付金(総額)
30年度 455,345円 250,379円 42,959円 170,111円 918,794円

出展:東京都生活文化局 「平成30年度 都内私立高校(全日制)の学費状況」

例えば高校3年間の学費合計が約300万円の学校であれば、約165万円となり、月換算で約46,000円の負担となります。

学校によって金額差がありますので、進学を希望する学校でシミュレーションしてみましょう。
月換算にすると、家計への影響がどのくらいなのか、具体的にイメージできますね。

では、この制度により、高校受験にはどのように影響があるのでしょうか。森上先生はこう分析します。

「当然私立高校に入学する生徒はこの制度によって増加すると思われますが、大阪府が先行実施したように全く無料になったわけでないので、影響はドラスティックにはならないでしょう。
高校入試においては、中位成績層の都立高校との併願する私立高校に好影響が出るのではないかと予想しています。都立と私立の費用差が少なくなることによって、金額面ではなく、質の面で学校選択をするご家庭が増えるのではないでしょうか。」

例えば大学進学を見据えたとき、金額面での比較ではなく、どちらの学校が良いかという、質の面での比較がしやすくなり、学校選択の幅が広がると言えますね。

私立中高一貫校も夢じゃない!?

私立中高一貫校も夢じゃない!?

では、中学受験ではどうでしょうか。
独自に「東京都の私立高校実質無償化」は、私立中高一貫校を選択する理由の一つとなるかどうか、についてアンケートしたところ

・なる  49.5%
・ならない  31.2%
・どちらとも言えない  19.4%

という結果となりました。

「無償化」は高校受験だけでなく、中学受験にもプラスの影響がありそうです。
そこで、私立中高一貫校を選択した場合の学費をシミュレーションしてみました。

例えば、中高一貫校の6年間の学費合計が約600万円として月換算してみると、年収760万以下の世帯では、6年間の月平均金額が65,000円で私立中高一貫校に通わせることができます。
※600万円は学費であり、学校以外でかかる教育費、補助学習費(自宅学習や学習塾、家庭教師)や、その他の学校外活動費は含まれません。教育費に関する詳しいシミュレーションは、中学受験、世帯年収いくらで私立中高一貫校は可能なの?をご参照ください。

教育熱心なご家庭では、学費が6年間平均で月65,000円までに抑えられるとなると、私立への進学も視野に入ってくるかもしれません。森上先生はこう続けます。

「公立中高一貫校志望で私立校を併願するご家庭において、受検準備に費用をかけられることを鑑みれば、この程度の支出を考えるご家庭は多いと思われます。
都立一貫校の受験生約9,000人弱のうち、不合格者は7,000人程度います。このうち私立併願者は学校によって異なりますが、少なくとも3割程度は併願していると思われます。この併願層が私立中学の進学を選択する可能性が広がることで、併願自体が増加し、ひいては私立中学進学者も増加するとみています。
ただし、私立中学の一般受験の方は、今回は私立中学生の保護者負担の軽減措置ではないので影響は少ないと考えています。あくまで都立適性型の私立併願者に影響は限られるのではないでしょうか。」

各ご家庭の教育費の考え方にもよりますが、例えば、小学生時の塾や習い事費用が月65,000円のご家庭であれば、私立中高一貫校入学後、それを学費に置き換えて考えることもできます。

このように、教育費の考え方次第で、私立中高一貫校への進学も現実味を帯びてきます。

自治体による私立の授業料無償化の動きは、大阪府からはじまり、最近では埼玉県や神奈川県も補助の拡充が決定しました。 子どもたちが、教育の機会をより多くの選択肢から選ぶことができるように、公共の支援制度が充実することを期待したいですね。

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