2018年中学入試から分かった!最近の中学受験動向

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3月に入り、2018年入試はエンディングを迎えようとしています。中学受験をされたご家庭それぞれに、ドラマがあったことでしょう。中学受験で得た経験は一生の財産になります。インターエデュ編集部は、お子さまとご家族がさらに高い志を持って前進されることを心から応援しています!
さて、今年の中学受験全体ではどのようなトピックがあったのでしょうか? 専門家の分析やエデュママの声を参考にしながら、振り返ってみたいと思います。

教育の過渡期、親の不安や安定志向が中学受験に影響

親の不安や安定志向

大学入試改革や小学校での英語教育の実施が、中学入試にも色濃く反映されるようになった昨今、2018年は、ますますその影響が見られた中学受験であったように感じます。

中学受験事情に詳しい森上教育研究所アソシエイトの高橋真美氏は、今年の中学受験を次のように分析しました。

昨年に引き続き、今年も共学校・大学付属校人気が続く

付属校人気の理由として、昨年までの「2020年大学入試改革の影響による保護者の安全志向」に加え、 高大連携のカリキュラム、大学受験がないのびのびとした教育など、教育環境の充実に対する親御さんの理解が進み、選択された側面もあるようです。
さらには、大学入試を回避して留学させたいというニーズに応えられるという点や、系列大学への内部推薦の権利を保持しながら、外部進学の道を開いている学校が増えている点も理由としてあげられます。

また、共学校人気が高まる中、女子校は受験者数を減少させていますが、その中でも選ばれる上位校の女子校は、「東大」「医学部」への進学実績が高く、「男子校」の選び方と同じようになってきました。

入試の多様化がさらに進む

【英語入試について】

英語必須入試実施校は一都三県で33校となり、特に東京都内の私立中学校で大幅に増えました。受験者数は前年比135%となりました。英語選択入試の一都三県の実施校は70校、必須入試と合わせると全体の1/3にのぼります。

その理由として、小学校5・6年生での英語の教科化があげられます。この傾向はますます進むでしょう。
英語の入試方式として目新しいものに、グループワークを課す「インタラクティブ入試」や、英検準2級以上は記述試験を免除するような英検活用型の試験もありました。

【思考力入試について】

適性検査型入試・思考力入試の実施校は、一都三県で156校となり、全体の4割を占めています。思考力入試の実施校は78校、受験者数は前年比145%の伸長です。

また、偏差値45未満の学校の約3/4が思考力入試を導入しており、この入試形態が定着したことがうかがえます。入試方式としては「グループワーク入試」「プログラミング入試」が話題となりました。

中学受験に見られる親御さんの「安全志向」

【受験者数を伸ばした学校とそうでない学校の「二極化」】

昨今の世の中の動向として、物事の選び方が保守的になっていて、それが学校選びにも影響しています。人気の学校はますます人気を集めて、そうでない学校との「二極化」が顕著です。

【インターネット出願の影響】

前日でも出願が可能になったため、締め切り直前に受験者が増加する傾向がでてきました。その理由の一つに、今まで受験校として考えてなかった学校への受験があります。何としても合格を手にしたいという親御さんの気持ちがあらわれているようです。

【2月3日までに決着】

できるだけ子どもに失敗させたくない、親御さん自身が早く安心したいという気持ちもあるのでしょうか、2月3日までに決着をつけようと、午後入試受験者が増えています。また、1月入試のいわゆる「お試し受験」の受験者も増えています。

開成の入試問題で波紋が広がる!? 男女トップ校、算数の違い

受験の様子

親御さんが中学受験をした時代と比べると、かなり様相が変わってきています。世相が反映されるのも、中学受験の特徴だと感じますね。

それでは、入試問題自体にはどんなトピックがあったでしょうか。
入試問題の解答を受験日当日にインターエデュにて公開している「解答速報」 から探っていきましょう。

特に注目されたのは、開成の算数。今年は「とても簡単だった」という声が掲示板で多数ありました。

● かなり簡単でしたよね。合格者平均はかなり高そうですね。見た瞬間、解きやすいと思ったそうです。(投稿者: 算数さん

● 算数だけではなく、理社も非常に簡単。これではミスをしたらもうおしまい。本当に怖いです。正直言ってもっと個人差がはっきりと出る難しい問題を出題してほしかった。合格発表まで不安です。(投稿者: あまりにも簡単すぎるさん

(掲示板【4859870】開成中学校の解答速報2018より)

実際に、開成中学校・高等学校の学校サイト「入試状況・結果」を見てみると、2018年入試の合格者最低点は227点と過去6年間で最も高く、算数の合格者平均も85点満点の中73.9点と非常に高い点数です。

難関校を中心に算数の問題は、思考力を問うような考えさせる問題が増えている中で、開成のこの動きにはどんな意味があるのでしょうか。

一方、女子校のトップをいく桜蔭の算数は、「難しかった」という声が掲示板に寄せられました。

● この学校の算数は毎年やたらと面倒な計算をさせるけれど、今年の問題は輪をかけて面倒な問題が多かった印象。(投稿者: ウォッチャーさん

● 大手塾の算数科主任の先生が合格発表の場にいらっしゃいましたので、子どもと勇気をもって話しかけてみました。難易度は高かったと。算数に関しては、ボーダーは5割行かないでしょう、との分析だったようです。(投稿者: まめさん

(掲示板【4859878】桜蔭中学校の解答速報2018より)

入試問題の算数では、男子トップ校では易化、女子トップ校では難化が見られました。
学校側の意図は分かりませんが、難関校を目指すお子さまには、どんな状況でも動揺せず、自分の実力をしっかり出せることが求められているのでしょう。

このような中学受験の動向を客観的に知っておくと、例えば、「全体的に傾向として付属校・共学校人気だけど、わが家はどうだろうか」と流されない相対的なものの見方ができるようになります。

2019年の中学入試に向けて、新小学6年生は本格的なスタートを切りました。追い込まれていくと、親御さんは近視眼的になりがちです。ぜひ客観的になること、全体を俯瞰してものごとを考えることを忘れず、この1年間を乗り越えてください。健闘を祈ります!


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