わが子のノートが残念だと思うすべての保護者に伝えたい!ノートが変わる声かけと改善テクニック

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わが子のノートを見て、あまりの汚さにショック!!「きれいに書こう」と注意しても効果がないし、何をどうしたら改善できるか見当がつかない……。そんな親御さんのお悩みを解消すべく、ノートに関する執筆や講演などで幅広くご活躍中の太田あやさんを取材しました。太田さんが「ノートの人」と言われるほどになったエピソードを交えつつ、お子さまのノートが変わる声かけと改善テクニックをお伝えします。

ノートが教えてくれたこと

太田さんは幼い頃から書くことが好きで、小学校ではやりたい勉強をノートにまとめる、「自主学習ノート」に熱心に取り組んでいたそうです。取り組めば取り組むだけ先生にほめられる、それがとても嬉しかったと言います。
「ノートに向かうことが好き」だった太田さん、中学生の頃も同じような気持ちで、同じようなやり方でノートを作成していました。
ところが、高校生になり、科目や学ぶ知識が増えることでノートをどう書いてよいかわからなくなってしまい、成績も下降気味に。大好きな「書くこと」は、ノートではなく、授業中に先生の目を盗んで書く友人への手紙に変わったそうです。

高校で離れてしまったノートとの距離が縮まないままに大学進学、就職と月日は流れます。そしてあるとき、仕事を通して目にした東大生のノート。迫力があって、情報量も多く、授業のようすが再現されていて、太田さんは衝撃を受けました。

当時の太田さんは、ノートをうまく使いこなせない学生時代を送っていたこともあり、ノートを書くことは勉強には非効率で、その時間に1つでも多く問題を解く方が効率が上がると思っていました。しかし、受験科目数が多く、誰よりも効率よく勉強する必要があるはずの東大生がどうしてノートをちゃんと書くのだろう…。その疑問が、再びノートとともに歩むきっかけとなったのです。

まずは疑問を明らかにすべく、太田さんは東大生のノートを分析し、上手に書くためのテクニックを見つけていきました。そして、「ノート」とは、「自分のために書く」という大前提を発見したのです。太田さんにとってノートを書くという行為は、「きれいに書きなさい」という厳しかった母親のためだったり、先生に褒められたいためだったりと、“外”を向いていました。だから、高校でその他者の目がなくなったときに、ノートを書く目的がわからなくなっていったことに気づいたのです。

その気づきとノートを上手に書くテクニックを、一人でも多くの親御さん、子どもたちに伝えたいと執筆したのが、『東大合格生が小学生だったときのノート』や『中学受験に合格した先輩たちはみんなノートと友だちだった』などの著書でした。

子どものノートが劇的に変わる「気持ち」と「テクニック」

東大合格生が小学生だったときのノート ノートが書きたくなる6つの約束
「東大合格生が小学生だったときのノート ノートが書きたくなる6つの約束」講談社刊

では、太田さんが著書の中で最も伝えたかったという「ノートは自分のために書く」という気持ちとテクニックの面、どんな内容なのでしょうか。

『東大合格生が小学生だったときのノート』に掲載されている「ノートを書く時の6つの約束」は、
・「ノートは自分のために書こう」
・「文字はていねいに書こう」
・「心が動いたことを書こう」
・「色は3色、ルールを決めよう」
・「2本のラインで区切ろう」
・「プリントはノートにはろう」

です。その中から3つの約束を、太田さんから親御さんへのアドバイスも交えてご紹介します。

1つ目は、「自分のために書こう」です。
太田さんが気づいたように、ノートは誰のためでもなく、自分が学んだ内容を理解し、覚えるために書くものです。それを意識した上で、「見直したときに授業が思い出せるノートにする」など書く目的を考えます。小学校の段階では一人で考えるのは難しいので、親御さんが一緒に考えてあげることがポイントとのことです。

2つ目は、「文字はていねいに書こう」です。
きれいな文字でなくても、自分が見直したときに読めるていねいな字を書くことです。お子さまが書きづらそうにしているのは、そのノートがお子さまに合っていないこともあります。まとめ買いしたノートがもったいないから…などとは考えずに、お子さまの字の大きさに合った枠線、罫線の入ったノートを選ぶことも大切とのことです。

~太田さんからのワンポイントアドバイス~

Q. 教科ごとのノートを使わずに、全部自由帳に書いてしまっていて、今日授業でやったことをどこに書いたかわからなくなっています。

A. せっかく書いたノート、どこに何が書いてあるかわからない状態ではもったいないです。低学年のうちから教科別ノートを使うように伝えましょう。お子さまが慣れるまでは、教科がわかるようにノートに教科名を書いたシールを貼ったり、「こくご ここから書こう!」など書いたふせんをページに貼ってあげたりすると意識づけになります。

3つ目は、「心が動いたことを書こう」です。
授業で教えてもらったことが頭に残るようにするためには、黒板の内容を写すだけでは足りません。それに加え、そのときに感じたこともノートに書きましょう。「よくわかった」「わからなかった」「おもしろい!」などと書いておくと、見返したときに内容を思い出しやすくなります。親御さんは「ノートには、心に残ったことを書くんだよ」と言葉として伝えてあげるとよいとのこと。

~太田さんからのワンポイントアドバイス~

Q. ノートに「うざい」「算数うんこ」とネガティブなことが書かれていました。どうしたらよいでしょうか?

A. うんこのイラストが書いてあったらソフトクリームにしてはどうでしょうか(笑)? 決して怒ったり消したりせず、書いたことを受け止めてあげてください。お子さまの心の叫びなので、ゆっくり話す時間を作ったり、または、ノートに励ましなどの返しの言葉を入れてあげると、見てくれているんだとお子さまの気持ちも落ち着きますよ。

この3つアドバイスは、いわばノートを書く時の心構えですね。子どもが小学校の低学年のうちから、繰り返し伝えていきたい内容だと思いました。

では、字を書くことが苦手で、ノートの使い方がぐちゃぐちゃな状態のまま、高学年になってしまった場合にはどうしたらよいのでしょう。
太田さんは、「日付、タイトルを書く」、「頭の文字を揃える」「余白をたくさん取る」の3つを実践するだけでも、ノートが見違えるようになるとアドバイスくださいました。

どんなことをすればノートが改善されるかを具体的に理解できたと思います。さらに一歩踏み込み、子どもがノートを自分のために書けるようになるステップを、学年ごとにまとめました。

【未就学~低学年】

小学1年生のお子さまの連絡帳。お母さまが褒めながら、上手に書くコツを伝えたところ、書き方がていねいになりました。

まずはノートに親しんでもらうため、子どもと一緒に交換日記や書写をするなど何かを書く「ノートの時間」を作ってみましょう。この学齢では、子どもにノートを好きになってもらい、書くことの喜びを体験させることを目的にしましょう。書き方にこだわらず、字でも絵でも自由に書けるようになることを目指します。

【低学年~中学年】

学齢とともにノートを書く機会が増えていきます。書くことへの苦手意識も芽生える頃なので、お子さんが書いたノートをまずは見てあげることが大事です。2~3分でもいいので確認し、感想を伝えるとよいでしょう。たとえば、ノートがごちゃごちゃしてしまう子には、「ここにライン1本引いてみようか」と伝えるだけで十分です。ここで「もっと上手に書きなさい!」と叱ったり、余計な手出しはNG。自分でノートが上手に書けたという自信と、親は見てくれているという安心感が、その後のノートづくりによい影響を与えます。

【高学年】

中学校では、本格的にノートを使った勉強が始まります。その準備段階として、この学齢では、ノートを書く目的は知識の定着を図るインプットのためとテストで正確に答えるアプトプットのためということを意識していくことを目指します。そのために自分が見て分かるノート、役立つノートというのを心がけます。

ノートは知識を未来の自分に届けてあげるツール

今まで子どもの学習方法としては、どんな参考書を使ったらよいか、どの教室や塾に通ったらよいかを注目していました。ですが、太田さんのお話をうかがって、ノートの価値に改めて気づかされました。

太田さんは、
「ノートは自分が初めて出会う知識を書く場です。その知識をただ書くのではなく、頭をフル回転させて理解しながら書く、頭の思考が見えるノートが理想です。そして、ノートを書くのは何のためか。テストで点を取るため、志望校に合格するためと明確な目標を持って取り組むと、自分のためと思ってノートを作ることに集中できます。そこから子どもたちは変わります。」

大げさかもしれませんが、ノートで子どもは変わり、ノートで子どもの未来も見えてくる。親御さんには、子どもの成長の証としてノートを見続けてもらいたいと思いました。

中学受験に合格した先輩たちはみんなノートと友だちだった~合格するノート力をつける3つの条件

太田あや さん
1976年、石川県生まれ。フリーライター。株式会社ベネッセコーポレーションで進研ゼミの編集を担当。退社後フリーに。『東大合格生のノートはかならず美しい』『東大合格生のノートはどうして美しいのか?』(ともに文藝春秋)がシリーズ50万部突破のベストセラーに。最新著書は『中学受験に合格した先輩たちはみんなノートと友だちだった~合格するノート力をつける3つの条件~』(朝日学生新聞社)。教育分野をテーマとした講演活動も行っている。