女子美の中高大連携授業
東大医学部、京大医学部、阪大医学部
かの東京大学でも、医学部医学科は特別な存在だ。偏差値で見れば、日本の大学の最高峰。イギリスの大学評価機関『クアクアレリシモンズ(QS)』が先月発表した世界大学ランキングで、東大は日本の大学でトップの28位。前年から6つ順位を上げ、大半のメディアはその健闘ぶりを好意的に報じた。だが、その内実を因数分解していくと、最難関の医学部が意外にも足枷になっている現実が浮かび上がる。逆に、医学部に限って言えば、京都大学と大阪大学の勢いが東大を凌駕している。世間の表層的な受け止め方とは裏腹に、日本の医学部は今や、この関西の“2強時代”に突入しているのだ。「東大の足を引っ張る“戦犯”」――。東大関係者の中で、医学部はこんな隠語で呼ばれている。例えば論文数。東大・京大・阪大の各医学部を比べると、2014年以降、この3大学の研究者を筆頭、或いは最終著者として、イギリスの『ネイチャー』とアメリカの『サイエンス』に掲載された論文は、東大6本、京大11本、阪大は7本。臨床医学誌の頂点に立つアメリカの『ニューイングランド医学誌』とイギリスの『ランセット』に同様に掲載された論文は、京大4本、東大と阪大は各1本ずつ。合計で京大15本、阪大8本、東大7本の順だ。ノーベル生理学・医学賞も、2012年に受賞した山中伸弥(※右画像)を始め、候補者として名前が挙がるのは、京大の本庶佑・坂口志文(※2010年に阪大に異動)、阪大の岸本忠三・審良静男らといった京大と阪大が優勢。医学研究も京大が圧倒し、その後を阪大と東大が追いかける構図である。
規模の違いを勘案すれば、東大は更に劣勢だ。附属病院に勤務する医師数は、東大病院が1175人に対し、京大947人、阪大は792人ほど。他方、文部科学省から交付される運営費交付金は、東大805億円に対し、京大は548億円、阪大は437億円(※2016年度)。職員数を考慮すると、京大の医師1人当たりの生産性は東大の約3倍、阪大は東大の2倍という計算が成り立つ。何故、こんなに差がつくのか。それは、其々の大学の体質の差に起因する。東大の特徴は政府との距離の近さだ。政府委員に任命されるのは、圧倒的に東大が多い。端的に言えば官僚色に染まっている。文科省の『科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会ライフサイエンス委員会』の委員は、東大5人、京大3人で、阪大はゼロ。厚生労働省の『厚生科学審議会科学技術部会』は、東大から1人。官邸の『健康・医療戦略推進専門調査会』も東大の2人が入っているが、京大と阪大からは任命されていない。東大病院関係者の中には、「東大医学部は官僚機構。官僚の意図を忖度し、角が立たない“7割の仕事”で十分」と言い切る。大過なく過ごせば医学界の要職に就ける。『日本医学会』会長の髙久史麿、『日本内科学会』理事長の門脇孝、『日本外科学会』理事長の渡邉聡明…。何れも東大OBだ。退官後は『国立病院機構』等といった厚労省が所管する独立行政法人、『虎の門病院』を筆頭に『国家公務員共済組合連合会』が経営する病院、総務省所管の自治医科大学の幹部に転じることができる。まるで官僚の天下りそのものだ。その点、京大は違う。阪大医学部の教授は、「ブレイクする前のスター教授をスカウトするのが上手い」と話す。その代表こそ、2004年に奈良先端科学技術大学院大学から京大教授に就任した山中伸弥だ。iPS細胞の開発でノーベル賞を受賞し、その名は人口に膾炙した。京大は、山中を中心に『iPS細胞研究所(CiRA)』を設立。『日本医療研究開発機構(AMED)』は、年1400億円以上の予算を差配するが、この内の140億円以上が再生医療に振り向けられ、50億円以上が京大に配分された。京大は、研究を支える人材のスカウトも巧みだ。例えば、元厚労省事務次官の阿曽沼慎司。阿曽沼は京大経済学部卒のOB。2013年3月に退官後、CiRAの特定研究員に転身し、翌2014年10月には京大理事(産官学連携担当)に就いた。大物官僚を一本釣りする手法は、官僚機構の順送り人事に組み込まれた東大とは趣を異にする。京大がスカウトしたのは山中だけではない。腫瘍生物学教授の小川誠司もその1人だ。小川は東大医学部を卒業後に東大附属病院へ入ったが、病院長と折り合いが悪く、京大へ移籍。それ以降、ネイチャー・サイエンス・ニューイングランド医学誌と相次いで論文を発表し、“最も生産性が高い医学部教授”と称賛されている。余所者でも有為な人材には門戸を開く度量が、京大の強みだ。他方、阪大の特徴は若手の育成にある。心筋再生医療の第一人者である心臓血管外科教授の澤芳樹(※左下画像)、角膜再生医療の大家である眼科教授の西田幸二、自然免疫の研究でノーベル賞候補に名前が挙がった審良静男ら現職は生え抜き。『中外製薬』と共に関節リウマチ治療薬『アクテムラ』を開発した元阪大総長の岸本忠三も、阪大卒業後、この附属病院で力を付けた。実は、大阪府は人口比で東大合格者が少ない。2017年度入試で、18歳人口1000人当たりの東大合格者数は0.43人。優秀な高校生が地元の大学、特に阪大医学部に進学するからだ。これも阪大の強さの一因である。
79 東大 理三
78 京大 医 医
77
76
75
74 東京医歯大 医 医
74 阪大 医 医
73
72
71
70 九大 医 医
69 千葉大 医 医
68 東北大 医 医
68 名大 医 医
68 神戸大 医 医
68 広島大 医 医
68 大阪公立大 医 医
68 東大 理一 ★
それは間違い。医学論文は分野によって書きやすさが全く違う。阪大は手のかかる生化学や免疫学の論文が多いが、京大は発生学や病理学などの形態学も多く論文数が増える傾向がある。ノーベル賞は京大と神戸大で出ているが、ノーベル賞候補者まで入れると阪大が最も多い。
生命医学分野の国際的な賞、日本人受賞者 (括弧内は出身大学)
ラスカー賞
花房秀三郎 (大阪大学)
利根川進 (京都大学)
西塚泰美 (京都大学)
増井禎夫 (京都大学)
遠藤章 (東北大学)
山中伸弥 (神戸大学)
森和俊 (京都大学)
本庶佑 (京都大学)
ガードナー国際賞
利根川進(京都大学)
山中伸弥
(神戸大学)
大隅良典 (東京大学)
竹市雅俊 (名古屋大学)
坂口志文 (京都大学)
森和俊
(京都大学)
石坂公成照子 夫妻 (東京大学、東京女子医大)
遠藤章 (東北大学)
大村智 (山梨大学、東京理科大院)
審良静男 (大阪大学)
生命科学ブレイクスルー賞 (2013年創設、難病治療と長寿)
山中伸弥 (神戸大学)
大隅良典 (東京大学)
森和俊 (京都大学)
柳沢正史 (筑波大学)




































