今年の入試を踏まえ、2022年中学入試に向けて気をつけたいポイント
リモートワークで気を配りたい「親子関係」
テレワーク推奨で両親ともに自宅にいることが多くなってきました。子どもと一緒にいる時間が長くなることで親子関係が険悪になってしまったケースが見受けられます。
子どもの勉強の様子が視界に入るようになり、それまで中学受験に無関心だった父親が、急に口を挟むようになったという話も聞きます。
「なんだお前、こんな問題もできないのか!」と自信を失うような言葉を言ったり、入試の間際になって「こんな聞いたことない学校を受けさせない!」と否定したりというようなこともあるようです。
子どもの様子が気になるのは親として当たり前ですから、「親子の距離を取りましょう」と言っても無理なことです。
つい余計な口出しをしてしまう、そこで親子げんかが始まってしまうというご家庭は、物理的に距離を取りましょう。
たとえば、お子さんには塾の自習室を使ってもらうなど、勉強する場所を自宅と分けることです。
オンライン授業は、小学生にとってなかなか難しい
塾の対面授業には出席せず、オンライン授業中心で中学受験に挑んだご家庭もありましたが、それが功を奏したケースはあまりなかったのではないかと同業者たちは異口同音にそう言います。
やはり、小学生に何かを伝えるには顔を合わせるのが一番だと感じています。
対面授業では、教室の空気を感じながら、子どもたちの表情を見て、脱線したり、無駄話をしたりができます。それらの「ノイズ」が子どもの興味を引き、授業にも集中して参加できるようになります。すると、積極的に学べるゆえ、授業内容が記憶にも残りやすくなります。
受験生は淡々と。保護者は情報収集を
来年の入試がどのような状況になろうとも、受験生がやるべきことに変わりはありません。お通いの塾のカリキュラムを日々こなしていくことが大切です。
ただ、今年同様に来年も志願者の動向が予想しにくい状況になりそうです。保護者が中学入試へのアンテナを高く張り、積極的に動く必要があると思います。
たとえば、第3志望、第4志望を1校に決めるのではなく、複数の学校を候補に挙げ、下調べをしておくことも大事です。
2021年の入試では、模試の志願者数が当てにならず、大きく受験生が動いた学校もありました。2022年の入試も、1月の出願者数の状況を見て出願するなど、そういった判断が必要になるでしょう。
中学受験指導スタジオキャンパス代表、国語専科・博耕房代表
矢野 耕平(やの こうへい)
大手進学塾で13年間勤務の後、2007年にスタジオキャンパスを設立し、代表に。自らも塾講師として、これまで27年にわたり中学受験指導を行っている。
主な著書に『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)、『旧名門校VS.新名門校』(SB新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)などがある。