日本屈指の文教エリアである東京都千代田区に位置する、三輪田学園中学校・高等学校(以下、三輪田学園)。多様な情報と選択肢に囲まれながらも、落ち着いた雰囲気の中で、生徒たちは自分らしい未来のために主体的に自らの進路を選び取っています。本稿では、25年度卒業生に進路選択への思いや経緯をうかがい、その歩みを支えた学校生活や進路サポートについて紹介します。

法政大学法学部の政治学科に高大連携協定校推薦で合格。ジェンダー問題に関心があり、問題解決には社会の仕組みを知る必要があると考え同大に進学。
在学中はバレーボールクラブに所属し、三輪田祭実行委員会で活動。高校2年生では実行委員長を務める。

現代社会とそこに至る歴史に興味を持ち、民主主義の正当性を探究するため、専修大学人間科学部社会学科に一般入試で合格。
在学中はバレーボールクラブの部長を務め、評議委員会、ICTコミッティリーダーズなどで活躍。

麻布大学獣医学部に学校推薦型選抜(公募制推薦)で合格。6年後の国家試験合格が目標。
在学中、書道クラブでは部長を務め、整備委員会で校内環境整備などに寄与。
皆さん高い志をもって今の進路を決められていますね。その進路を選んだきっかけやエピソードを教えてください。
R.H.さん
ジェンダー問題に興味を持ったのは、三輪田学園では女子が普通に行う役割も、共学では男子だけという場合が多いと聞いたことがきっかけです。その後、探究学習で「無意識の男女差別」を学ぶ機会があり、メディアなどの視覚情報の影響があることを知り、もっと学びたいと思うようになりました。
S.K.さん
実はもともと哲学志望だったんです。でも、世界史の先生に「哲学書を1冊も読んでいないけど、テレビ番組の『バタフライ・エフェクト』は熱心に観ているよね」と指摘され、改めて自分の関心は歴史や社会学に向いていると感じ、高校3年の12月ぎりぎりに志望を変えました。
T.S.さん
ずっと動物に携わる仕事をしたいと思っていましたが、獣医学部は狭き門で私には難しいと思っていたんです。でも、高校1年のとき、獣医師になった卒業生の講演を聞いて「努力すれば自分もなれるかも!」と感じ、進路として意識するようになりました。
進路について迷ったとき、誰に相談しましたか。
R.H.さん
三輪田学園の卒業生である姉です。法政大学でジェンダーについて学べることや、マスメディアに強いゼミがあることを教えてもらいました。また先生にも指定校推薦について相談し、評定などのアドバイスをいただきました。
S.K.さん
世界史の先生は普段から雑談することも多く、相談しやすく、信頼感がありました。アドバイスにも納得感があったので、ぎりぎりに進路を変えても不安はありませんでした。
T.S.さん
私は公立か私立か、一般か推薦かで迷いました。そこで進路の先生と担任の先生に相談したら、それぞれ違うアドバイスをいただいてしまい、どちらも信頼できる先生だったので悩みました(笑)。最終的にオープンキャンパスに行き自分で決めました。
皆さんの学年はコロナ禍中の入学でしたね。
R.H.さん
最初はオンライン授業。その後、出席番号が奇数組と偶数組が交代で通学して、全員が揃ったのは7月でした。
S.K.さん
在宅でのオンライン授業が長く続き、家にいる時間が長かったことに加え、学校でもマスクで表情が分からなくて戸惑いました。
T.S.さん
目で笑ったり、合図したり、探りながら友達になるという感じでしたね。
R.H.さん
だからこそ、マスク解禁になってからの結束は強かったのかもしれません。
学校生活で特に印象に残っていることはありますか。
S.K.さん
高校最後の運動会は一番記憶に残っています。私たちの代はコロナでずっと練習できず、最弱学年と言われ、高校1年のときは下級生にも負けてしまい5位。これを挽回しようと3年生になってからはいろいろ戦略を練り、1位で逃げ切り優勝したんです。
R.H.さん
私は2年生のとき、実行委員長として過ごした三輪田祭(文化祭)です。準備が大変で、始まったことに感動して開会式で泣き、終わるのが淋しくて閉会式で泣き(笑)。期間中はテンションが高く楽しんでいたので、感情の起伏が激しかったです。
T.S.さん
私は卒業生を送る「三送会」で、送る側だった2年生のときが印象に残っています。先生を女装させてアイドルに仕立てたのですが、インパクトが大きかった! 受験期のしんどかったときは、時々動画を見返して笑っていました。
日々の学習についてはいかがでしたか。
R.H.さん
塾に行かず、学校の勉強で乗り切りました。授業はもちろんですが、英語をスタディサプリで基礎からやり直してみたり、放課後に先生を捕まえて聞いたり。学校でもさまざまな勉強環境があり、先生もとことん付き合ってくれて、恵まれた環境だったと思います。
T.S.さん
獣医学部に必須の化学と生物は特に頑張りました。試験には独特な問題が出ると聞いて、AIを使うなど工夫して勉強しました。肝心の数学が苦手だったので、週1回、放課後に先生に教えてもらいました。
S.K.さん
私は志望がいろいろ変わりましたが、定期テスト前はMLL(※)を利用するなど、基礎をしっかり固めるという三輪田学園の学び方で現役合格ができたのだと思います。英語の単語帳や世界史の用語集での反復集中学習も効果がありました。
※「MLL(Miwada Learning Lounge)」:放課後の談話室を活用した独自の学習支援システム。リクルートの「スタディサプリ」と連携し、卒業生などが指導にあたる環境で、自習や質問、英検・共通テスト対策などを通して自立的な学習習慣を養う。
T.S.さん
自立学習の仕組みはいろいろ整っていますよね。私も、MEO※も活用して英検準一級を取りました。
※「MEO(Miwada English Online)」:立教大学が実施している「Rikkyo English Online(REO)」と同様の形式や教材を用いたオンライン英語学習システム
印象に残っている授業や学びについてお聞かせください
S.K.さん
歴史総合の授業で、あるファッションブランドが文化的な背景を理解せずに広告を打ったことで炎上した事例を取り上げたことがあったんです。それで多文化共生に興味をもつようになりました。
T.S.さん
私は探究学習で「シェルターメディスン」という動物保護施設における集団環境下の獣医療をテーマにしましたが、難しすぎてレポートが書けなかったのです。でも、チームのみんなの価値観や知見などに触れて、とても刺激を受けました。
R.H.さん
高大連携プログラムで法政大学の授業を受けたのですが、幅広い学部学科の先生が専門的な講義をしてくださいました。一気に視野が広がり、そのまま志望大学にもなりました。
S.K.さん
哲学対話のイベントは今も強く印象に残っています。違う進路を選びましたが、先輩を含め外の世界の人と直接深く触れ合う機会は、将来を考える上で本当に刺激になります。
T.S.さん
私も、獣医師になられた先輩の体験を聞いて、勇気をもらった気がしました。
進学後の目標や挑戦についてお聞かせください。
R.H.さん
ジェンダー探究を継続します。そして、コミュニティを広げ多様な価値観に触れたいと思っています。それによって何らかの解を見いだせればと思っています。
S.K.さん
学科の中でも、「文化・システム領域」で、グローバリズムや国民国家の枠を超えた社会のあり方、民主主義の正当性をさらに探究したいと思っています。TOEICなどの資格取得にも取り組みたいです。
T.S.さん
とにかく6年後の獣医師国家試験合格へ向け学修に集中します! 同時に、多様なバックグラウンドの同級生と交流し、視野も広げていきたいです。
最後に、後輩や受験生に向けてメッセージをいただけますか。
R.H.さん
みんなが顔見知りのアットホームな環境です。先生との距離感も近くて、のびのびと学校生活が送れます。その中で、自分が好きなことや得意なことを見つけてはいかがでしょうか。
S.K.さん
学校の学びを着実に積み上げれば、やりたいことを見つけて実現できると思います。先生方も生徒のことを真剣に考えてくださっていて、どんな進路でも相談に乗ってもらえます。
T.S.さん
6年間という女子校での学校生活は、女子が挑戦する場として最適だと思います。やりたいこと、興味があることに手を上げる経験が自信につながると思うので、ぜひチャレンジしてください。




