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投稿者: 目的殺人 (ID:YhZLvoBNE4o) 投稿日時:2014年 08月 07日 17:00
和田秀樹:犯罪予防でも「原因」より「目的」を考える
nikkei BPnet 8月7日(木)13時46分配信
長崎県佐世保市の女子高生が同級生を殺害した事件が起こり、犯行の手口や、「人を解剖してみたかった」などという供述の異常性もあいまって、精神科医である私のもとにもあれこれと取材依頼がきた。
当初は、ほとんど情報がないため、このままコメントしても、恥をかくだけと思って取材をパスしていたら、次々と新情報がもたらされた。
■情報が次々と変わり、コメントするのも難しい状況
母親が死亡し、父親が再婚し、それに怒って、金属バットで父親に襲いかかった話。
それを聞いて母親へのアタッチメント(愛着 )が強く、父親へのあてつけかと思いもしたが、ここでもあえてコメントをしなかった。
あるいは、事件前に動物の解剖を行うなど、かつての酒鬼薔薇事件を連想させるようなことをしていたし、行為障害も疑わせた。
すると、母親の存命中から、給食に毒物を混入させる事件を起こしていたことがわかった。「勉強しているのをバカにされたように感じた」とのことで、妄想の可能性や、一連の話をつなげる限り、人の心の理解が困難な自閉スペクトラム症(アスペルガー障害)も考えられた。
そして、精神科の医者が入院を勧めたのに、父親が反対して、一人暮らしをさせるようになった話になったり、今度は父親の弁護士からは、病院側がベッドがないので入院させてくれなかったという話になったり。
■心の闇を知れば再発防止に役立つのか?
こういう転々とする情報の中で、うっかりコメンテーターを引き受けてしまうと、まともな推測でないかもしれないと思いつつも、経験から自分のコメントを作っていかないと仕方がない。
ある番組を見ていたら、再発の防止のために、少女の心の闇を知ることが必須だと言うMCの人がいた。
さすがに、これは違うだろうと思った。
親の死や再婚で心が傷ついたのが本当に原因だったとしても、それがわかったら、世の中の親が亡くなった子供や親が再婚した子供全員にカウンセラーをつけろというのか?
そして、カウンセラーがついたからといって、本当に予防ができるのか?
あるいは、自閉スペクトラム症が原因とされたら、そういう人たちに犯罪予防的なカウンセリングや監視を強制しろというのか?
精神科医の立場からいうと、それは差別を助長させることになるかもしれないし、その手の問題のある子供の将来のほかの分野での発達の芽を摘むリスクがある割には、このような犯罪の予防効果は大して高くないと思う。
■「原因」より「目的」を重視するアドラーの心理学
さて、約100年前、非行少年の治療でまったく逆の発想をした人がいた。
それがアルフレッド・アドラーだ。
もともとは、ユングと同じくフロイトの共同研究者だったが、考え方の違いから袂をわかち、人間の心をいくつかの部分にわけて考えるのでなく(フロイトは、自我とエスと超自我にわけて考えた)、全体として見るのが大切だと主張した個人心理学の祖である。
交流分析のエリック・バーンや認知療法のアーロン・ベック、欲求階層論のアブラハム・マズロー、そしてカウンセリングの父、カール・ロジャーズなど、現在有力な多くの心の治療法に影響を与え、また自己啓発の父デール・カーネギーにも強い影響を与えながら、その業績が長い間葬られてきた不思議な心理学者だ。
実は、劣等コンプレックスの概念も彼が生み出したものだ(コンプレックスという言葉はフロイトもユングも使っているが、劣等感という意味で使っているのはアドラーである)。それなのに、ユングの死亡記事には、ユングが劣等コンプレックスの生みの親ということになっていたらしい。
余談はさておき、アドラーは非行少年の治療において、原因をあれこれ探るのでなく、何のためにやるのかという目的を重視した。
母親の育て方が悪かったからとか、もともとそういう素質があったとか、学校でのけものにされていたからという原因を探しても、何の解決にもならない。むしろ、何のためにそんな非行行為をやるのかがわかれば、対応が可能である。多くの場合、非行少年が非行をするのは、注目を集めたいのが目的だとアドラーは看破した。
■大報道は同様な犯罪を誘発するリスクが高い
すると、その子を人前で叱ることは、その子の注目を集めたいという目的を満たしてしまうから逆効果だということになる。
実際、今回の佐世保の事件でも、注目を集めたかったというのが目的という側面は無視できないだろう。「人を殺してみたかった」「解剖してみたかった」というセンセーショナルな供述をするのも、そのためかもしれない。
アドラー流の考え方をすると、今のような大報道は明らかに逆効果である。
本人は拘留されているから、もちろん、このようなことをしないだろうが、自分に不全感をもち、注目されたいと思っている鬱屈した人に対して、犯罪を惹起するリスクは大きい。
現実に、目立つために凶悪犯罪とか、猟奇犯罪とか、あるいは大量殺人を試みるという事件は少なくない。
むしろ、報道の自粛のほうが、犯罪の予防になりえるだろう。
国民の知る権利とかいうが、私には事件の真相や加害少女の心理を知ったところで、読者の好奇心を満たすことはあっても、それほどのメリットや公益性があるとは思えない。特定機密なるもののほうが、よほど知る権利の対象だろう。
実際、とくに若年者に対しては、自殺報道が自殺を誘発することはよく知られている。
同じ死ぬにしても、目立って死にたいとか、同情されて死にたいとか、自分の言いたいことを人に知らせたいとか思うのであれば、大報道の最中に連鎖自殺をするほうが、その「目的」は達せられる。少なくとも、統計を見る限り、1986年の中野のいじめ自殺事件や、94年の愛知県の壮絶な恐喝を繰り返された少年のいじめ自殺事件のあった年は、中学生の自殺が急増し、報道がやむともとの数字に戻っている。
■予兆を予防に活かせなかったのは残念
部下の教育にしても、相手の行動を予測するにしても、その人の原因になり得る育ちの問題を調べるより、この人の行動の目的(いわゆる動機)を読んでいったほうが、うまくいく可能性が高い。
そういう点でアドラーという人の心理学はおそろしく先験的であるし、自己啓発にも大きな影響を与えたのだろう。
実は、たまたまこの8月2日に『比べてわかる!フロイトとアドラーの心理学』(青春新書)という本を出した。
二つの心理学の比較を通して、現代の心理学の流れがわかるようになっているし、アドラーの同時代人で、実は、人間全体を見ないといけないとか、目的本位という点で、考え方がかなり似ている森田療法の創始者、森田正馬の理論との比較も試みた。
私にとっては、かなりの自信作なので、興味のある人は読んでほしい。
さて、目的論という点では、現在のように「注目を集めたい」という目的の犯罪が増えている時代に、大報道が逆効果だということは改めて強調したいが、もう一つ残念なのは、多くの場合、この手の事件で予兆があるのに、それを予防に活かせなかった点だ。
親や世の中に恨みがあるとか、一度くらいはぶっ殺してやりたい人がいると思う子供は、実際にはかなりいるはずだ。しかし、本当に犯行に及ぶ子供は、その100分の1とか、1000分の1だろう。
なんらかの悪条件やきっかけがあって、その攻撃性や、本当に実行してやりたいという意志が高まり、そのうちの一部が本当に決行してしまう。
ただ、決行というレベルになる子供の場合、やはり心理状態は普段と違う異常なものになるので、外から見て、おかしな行動になることが多い。
■精神医療に対する敷居はまだ高いことを痛感
酒鬼薔薇事件の際も動物殺しなど異常行動がエスカレートしていったようだし、今回の事件でも、言動の異常ははっきりしていて、精神科医も危ないと診断したようだ。
入院を父親がためらったのか、それとも病院のベッドの事情があったのかはわからないが、父親が入院をためらったとしたら、世間体であったり、精神医療に対する偏見があったからだろうし、病院が入院を延ばしていたとすれば、緊急性の認識が足りなかったということになる。
しかし、あくまでも私の予想だが、きちんと入院治療を受けていたら、このような思春期の子供の場合、何もなかったかのように落ち着き、たまたま勉強ができれば、そのまま名門大学や医学部に入ることだってあり得たと思う。
まだまだ不十分とはいえ、凶行や自殺のリスクが高まっている際には、精神医療に対する敷居がもう少し下がってほしいということも今回の事件で痛感したことだし、それが、子供を持つ親や自分自身の自殺のリスクなどを下げるためのサバイバル術でもあるのだ。
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【3481615】 投稿者: 育てなおし (ID:szWb8KTd7ZE) 投稿日時:2014年 08月 08日 12:45
酒鬼薔薇、バスジャック事件 元医療少年院院長ら語る「親ができること」〈週刊朝日〉
8月8日(金)7時8分配信
幼なじみのクラスメートを殺害し、遺体を解体した長崎県佐世保市の少女A(16歳)。小学校時代から次第にエスカレートする少女Aの攻撃性を亡き母など家族や周囲は危惧。6月には相談を受けていた精神科医が県の児童相談所に「放っておけば、人を殺しかねない」と相談したが、放置され、事件は起こった。
危険を親が事前に察知していた点では、2000年に当時17歳の少年が引き起こした「西鉄バスジャック事件」に類似している。佐賀市から福岡市に向かう高速バスに牛刀を持って乗り込み、女性1人を刺殺し、女性2人に重傷を負わせた事件だ。当時、少年の母親から助けを求められた精神科医の町沢静夫氏はこう言う。
「母が『鍵をかけてあった息子の部屋に入ると、包丁、ナイフ、牛刀が並べてあって、殺せ殺せと聞こえると記された紙があった』と相談を受けた。家庭内で解決できる問題ではないと捉え、入院治療を勧めました。今回も前兆があったのだから、時間をかけた入院治療が理想的だったと思う」
町沢氏は、神戸で当時14歳の少年が男児の首を切って中学の校門の前に晒(さら)した酒鬼薔薇事件と少女Aの病理は類似しているとも言う。
「動機は殺して遺体をバラバラにし、快感を感じているので、『サイコパス(精神病質)』と言えます。極端に冷酷で感情が欠如しており、他人に対して思いやりが乏しいことが特徴。先行して動物を虐待している点も共通しています」(町沢氏)
少年犯罪で多くの精神鑑定を手がけた上智大学名誉教授の福島章氏(犯罪精神医学)はこう指摘する。
「思春期の女の子が、母親の死を理解するには時間がかかるのに、父親は数カ月で再婚してしまい、その事実についていけなかったのではないか。父の愛情を失い、感情の動きが激しくなったため、事件の引き金になったと考えられます」
長崎地検は少女Aの精神鑑定を実施するため、今後、鑑定留置する方針だ。少年犯罪に詳しい関西学院大名誉教授の前野育三氏は言う。
「解剖への興味が強くて人格的に大きな歪みがあるようなので、医療少年院に送致される可能性が高い。神戸の事件でも、医療少年院送致になり約7年の矯正教育が行われました」
神戸の事件で少年の矯正教育に携わった関東医療少年院元院長で精神科医の杉本研士氏はこう言う。
「人はまず、生理的欲求を満たそうとし、次いで承認され愛されることを求めます。ケンカなど人間関係の程よさというものは原則、家庭で学ばなければならない。少女Aは複数回、小学生時に漂白剤を給食に混ぜ込んだというが、家庭で徹底的に問題を掘り下げただろうか。家庭が機能不全のまま、少女はグロテスクな欲望を発展させたのだろう。模擬家庭なりを作って何年もかけて??育て直し??をするしかないと思う」
少女Aのようなモンスターを育てないため、まず、ものの善悪、他人に共感するという情緒を幼い頃からしっかりと教えることが重要だという。