2019年度都立中入試概況

倍率の動向

都立中受検状況(帰国・特別・九段中等区内枠除く)

都立中受検状況

2019年度都立中入試では、都立中受検者数(帰国・特別・九段中等区内枠除く)が8397名となり、昨年の8406名から9名の減少にとどまりました。これまで減少し続けてきた都立中受検者数ですが、今年度はほぼ横ばいとなったといえます。都立中一般枠募集定員1383名、区立九段中等区外枠定員80名の合計1463名に対して、8397名受検(倍率5.74倍)となっており、受検者数は微減とはいえ、例年通りの約6倍の高倍率となっています。とりわけ、女子が高倍率となっている学校が目立ちます。白鷗、九段中等(区外)、三鷹、桜修館、両国は6.5倍を上回っており、大泉、南多摩も6倍を超えています。ほとんどの中学校で、女子の受検者数が男子を上回っており、桜修館では女子が男子を194名も上回りました。大学進学実績では、武蔵と小石川については都立中のトップ2校という位置づけとなっています。この2校は、日比谷・西・国立といったいわゆる都立高御三家に匹敵する難関国公立大学進学実績もあり、私立難関中との併願者も多く、成績上位の志望者が多くなっています。また、都立中の志願者数は前年の大学進学実績が影響する傾向もあります。
2019年2月に東京都教育委員会より発表された「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」の中で、「中高一貫教育校の改善」として、併設型中高一貫教育校の高校段階からの生徒募集を停止するとともに、中学校段階からの高い入学ニーズを踏まえ、中学校段階での生徒募集の規模を拡大することが示されました。具体的には、富士及び武蔵が2021年度入学生から、両国、大泉が2022年度入学生からそれぞれ生徒募集の規模を拡大する予定になっています。募集定員を現在の120名から他の中等教育学校と同じ160名に拡大するものと思われます。なお、白鷗については、施設整備の状況を踏まえて実施時期を2021年度以降に決定すると発表されています。募集定員の拡大にともない、都立中志望者の入学のチャンスが広がり、さらに人気が高まるものと思われます。

学校名 募集定員 受検者数 男女合計倍率
※()内は昨年実績
小石川中 男子 80 461 5.87 (5.95)
女子 79 473
合計 159 934
白鷗高附属中 男子 66 380 6.68 (6.82)
女子 68 515
合計 134 895
両国高附属中 男子 60 390 6.53 (6.13)
女子 60 393
合計 120 783
桜修館中 男子 80 361 5.73 (5.49)
女子 80 555
合計 160 916
富士高附属中 男子 60 251 4.60 (4.93)
女子 60 301
合計 120 552
大泉高附属中 男子 60 361 6.08 (6.80)
女子 60 369
合計 120 730
南多摩中 男子 80 403 5.54 (5.19)
女子 80 484
合計 160 887
立川国際中 男子 65 251 4.52 (4.74)
女子 65 336
合計 130 587
武蔵高附属中 男子 60 287 4.65 (4.23)
女子 60 271
合計 120 558
三鷹中 男子 80 463 6.53 (5.77)
女子 80 581
合計 160 1044
九段中等 男子 40 212 6.39 (8.09)
女子 40 299
合計 80 511

※上記は一般枠の募集定員と受検者数。九段中等は区分B(区外枠)の数値

適性検査の概要

九段中等は適性検査1~適性検査3が全て独自作成問題であるのに対し、都立中10校は2015年度より採用されている「共同作成問題」が2019年度入試でも出題されています。都立中の適性検査は、10校とも共通の問題が出題されますが、適性検査Ⅰ(1題)・Ⅱ(3題)における全4題のうち、各校において2題までを各校で独自作成した問題に差し替えられることになっています。また、適性検査Ⅲは共通の問題はなく、実施各校の独自作成問題になっています。適性検査Ⅲを実施する学校では、適性検査Ⅰ・Ⅱでの共同作成問題の差し替えは1題までとなります。
2019年度入試における適性検査の変更点としては、両国がこれまで独自作成問題であった適性検査Ⅰを共同作成問題に変更したのみで、そのほかの中学校はすべて2019年度入試と同様の出題形式でした。ただし、適性検査Ⅱについては、算数分野・社会科分野・理科分野と3題構成になっていますが、同じ共同作成の問題であっても、中学校によって各問題の配点は異なっています。来年度以降の実施概要はまだ発表されておりませんが、理系が重視される昨今の都立中適性検査において、理系の独自作成問題となる適性検査Ⅲを新たに出題する学校が出る可能性もあります。2014年度までは九段中等を除く都立中10校のうち2校(小石川・武蔵)のみが適性検査Ⅲを実施していましたが、2015年度より3校(大泉・富士・両国)、2018年度入試より白鷗がそれぞれ適性検査Ⅲを導入し、現在では6校が実施しています。桜修館・三鷹は適性検査Ⅱの算数分野の問題を独自作成問題としていますが、適性検査Ⅱまでの実施4校(桜修館・三鷹・立川国際・南多摩)の今後の動向にも注目する必要があります。

報告書点・適性検査の配点比率

都立中一般枠の入学者決定は、小学校の成績(報告書点)と例年2月3日に行われる適性検査の得点の総合点で決められます。報告書点は小5と小6(九段中等は小4・小5・小6)での8科目の成績を点数化して算出されますが、中学校によってその算出方法はそれぞれ異なり、報告書点と適性検査の配点比率も学校によって18%~30%と幅があります。報告書点と適性検査の得点比率については、2018年度入試で白鷗と富士がそれぞれ科目数と配点の変更がありましたが、2019年度入試での変更点はありませんでした。

報告書と適性検査の得点比率
2019年度入試 適性検査の実施概要
学校名 適性検査Ⅰ 適性検査Ⅱ 適性検査Ⅲ
作文 大問1(算数) 大問2(社会) 大問3(理科) 理系大問2題
立川国際 独自 共同 共同 共同 -
南多摩 独自 -
三鷹 独自 独自 共同 共同 -
桜修館 独自 独自 -
大泉 共同 共同 共同 共同 独自
富士 独自
両国 独自
白鷗 独自 共同 共同 共同 独自
小石川 共同 共同 独自 共同 独自
武蔵 独自 独自

2020年度入試に向けて

大学進学実績が人気に影響

2019年度大学入試では、小石川の国公立の難関4大学・医学部合計46名合格を筆頭に、武蔵の36名合格、桜修館の25名合格と、都立進学指導重点校の中でも特に難関高校といわれる日比谷・西・国立・戸山の4校に引けを取らない合格者を輩出しています。これらの都立進学指導重点校と都立中高一貫教育校が「都立躍進」を支える原動力となっており、都立中の大学進学実績の動向がその人気にも影響を及ぼしています。
例年都立中の大学進学実績1位・2位を争う小石川・武蔵は、都内の小6優秀生の中で安定した人気を誇りますが、他の都立中は前の年の大学進学実績が好結果だった学校に人気が集まる傾向があります。2017年度大学進学実績の良好だった大泉・南多摩が2018年度入試では高倍率となり、2018年度大学進学実績が良好だった両国・桜修館・白鷗が2019年度入試では高倍率となっています。2019年度大学進学実績でも好成績をだしている武蔵・小石川とそれに次ぐ桜修館・三鷹などが2020年度中学入試では人気が高まるでしょう。また、今年の高校3年生が適性検査を受けた2014年度は共同作成問題導入の前年で、各校の適性検査の出題傾向に変化が見られた年度でもありました。2014年度以降から、いわゆる「逆転合格」が起こりにくくなってきており、成績優秀者が多く都立中に進学したと思われます。来年度の各都立中の大学進学実績が注目されます。

2019年度都立中高 難関4大学・国公立医学部合格者数

学校名 卒業生数 東大 京大 東京工業大 一橋大 国公立医学部 難関4大学+国公医合計 合格率
武蔵 115 8 3 6 13 6 36 31.3%
日比谷 321 47 5 4 23 20 99 30.8%
小石川 156 16 9 8 5 8 46 29.5%
国立 322 16 19 18 28 8 89 27.6%
西 317 19 16 12 11 15 73 23.0%
戸山 310 12 7 12 7 17 55 17.7%
桜修館 151 7 2 8 5 3 25 16.6%
両国 116 5 0 3 4 3 15 12.9%
青山 276 10 6 3 12 4 35 12.7%
八王子東 314 7 2 11 4 2 26 8.3%
三鷹 158 4 1 2 3 1 11 7.0%
大泉 115 0 0 2 6 0 8 7.0%
立川 314 2 3 7 6 2 20 6.4%
南多摩 146 1 0 2 3 3 9 6.2%
立川国際 142 2 1 1 2 1 7 4.9%
九段 146 2 1 1 2 1 7 4.8%
白鷗 146 3 0 1 3 0 7 4.8%
富士 106 3 0 1 0 0 4 3.8%

※上記の合格者数は、各学校ホームページや雑誌等の掲載情報に基づき作成しています。合格率は、2019年度大学入試における上記4大学・国公立医学部の合計合格者数を、卒業生数で割って算出したものです。
都立中高一貫校のうち、高校募集を行う学校は、本年卒業生数から高校募集定員を引いた数で合格率を計算しています。

都立進学指導重点校
都立中高一貫校

目前に迫る2020年大学入試改革で都立中の注目度がさらに高まる

適性検査型(総合型・思考力型・PISA型など)入試を実施した学校

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年※
私立中学校 38校 53校 86校 120校 136校
応募者数 約2,000名 約3,000名 約7,000名 約8,000名 約12,000名

首都圏私立中学校約300校 ※都内私立中学校184校中84校が実施

求められる力
私立中にも広がる適性検査型(思考力・総合型)入試

来る教育指導要領の改訂と大学入試改革に備えて、都内180校あまりの私立中高一貫校の約半数の学校にて「適性検査型・思考力型」入試が行われるようになりました。かつて、都立中志望者は都立中適性検査の特殊性から、他の私立中への受験の選択肢はほとんどなかったといえます。しかし、現在では、都立中のみならず、多くの私立中が適性検査型の入試を導入しており、中学校への進学後も適性検査型入試を通過した新入学生の多くがアクティブラーニングなどの学校教育の中で大いに活躍するようになっています。国立中の入試においても、すでに2月3日の一般入試にて、適性検査を行っている東京学芸大附属国際中、東京大附属中に加え、お茶の水女子大附属中も2021年度入試より適性検査の実施を予定しています。今後、適性検査対策に取り組む受検生にとって中学校の選択肢がさらに広がっていくことが期待できます。
まさに、新学習指導要領や大学入試改革にて重視される学力の三要素「知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体的な学習態度」をみる問題から構成される適性検査の対策が、今の小学生が身につけるべき学力を鍛える学習だといえるでしょう。