eduスタッフ訪問記

インターエデュ・ドットコムスタッフが学校、塾などに訪問した際の様子をお届けします。

【昌平中学・高等学校】知っているようで知らない!? 国際バカロレア(IB)の2つの大きな誤解

「国際バカロレア」(IB:International Baccalaureate)をご存知ですか?

IBとは、スイスのジュネーブに本部をおく国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムです。厳しい審査を経て、国際バカロレア機構に認定された学校のみが実施できるこの教育プログラムは、世界140以上の国・地域で実施され、日本でも文部科学省が普及・拡大を推進しています。

教育に熱心なエデュママのみなさんなら、「IB」と聞いて、“海外大学の入学資格を取るプログラム”と連想する方も
多いことでしょう。

しかし、それは大きな誤解!

今回は、埼玉県で初めて国際バカロレアの中等教育プログラム(MYP:Middle Years Programme)候補校となった昌平中学校の国際教育部長・前田紘平先生に、IB教育の魅力について取材しました。

プロジェクト学習

昌平中学校では開校以来、さまざまなプロジェクト学習や体験学習を行っています。

■国際バカロレア(IB)の2つの誤解

まず、前田先生が教えてくださったのは、保護者のみなさんが“知っている”と思っている、IBの2つの誤解でした。
それは、

・英語で授業を行う
・海外の大学に行くための授業だから難しそう

ということ。
この2つは、必ずしも間違ってはいませんが、それは国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)を取得できるディプロマ・プログラム(DP:Diploma Programme)の特徴の一部分に過ぎません。
IBにはこの他にも教育プログラムがあり、そのひとつが昌平中学校が実施を目指すMYPなのです。
■DPではなくMYPを選んだ理由

では、なぜ、昌平中学校はDPではなくMYPを選んだのでしょうか? 前田先生にうかがいました。

「グローバル化によって、進学先に海外大学も検討される時代になりましたが、DPはカリキュラム上の縛りが多く、教えなければならないことも決められています。生徒は本来学ばなければならない勉強にプラスしてDPを受けるかたちになるため、その分の負担が生まれます。

しかし、MYPは中学生の全学年の生徒が対象で、長い時間を書けて子どもの学力を育てることができます。プログラムにも自由度があり、学習指導要領とのすり合わせもしやすいので、生徒は負担をかけずに従来以上のことを学ぶことができるのです。中学生は高校生よりも伸びしろがあります。その伸びしろをより伸ばせるのが、MYPの魅力です。

プロジェクト学習の発表会

プロジェクト学習の発表を通じて、生徒たちはプレゼンテーション力も身につけています。

■プロジェクト学習で身につく力

MYPでは、体験学習やアクティブラーニングなどを通して、知識以外に「概念」や「学習手法」も学び、探求力やコミュニケーション力などを養います。
これは、2020年の大学入試改革に向けた思考力や知識の活用力を身につけることにも通じます。

「大学受験は“ゴール”ではなく“手段”ですが、生徒にとっては目に見えて分かる影響があります。2020年の大学入試に対応した力を養うためにも、MYPを取り入れようと思いました。」と前田先生。しかし、MYPを選んだ一番の理由は、昌平中学校が目指す“人間力の育成”とMYPの方針が合致していたからだといいます。

プロジェクト学習の成果

数学では、自分が作成した問題を解説します。

昌平中学校では、2010年の開校以来、プロジェクト学習を行っていました。例えば、中学3年生では、興味がある企業や団体を取材し、それをもとに20年後の自分はどうありたいかという卒業論文を書くそうです。

「興味深かったのは、『将来は安定している公務員になりたい』と言っていた生徒が、この卒業論文で商社を取材したことにより、仕事には“やりがい”があるということを学んだ例です。その生徒は、それから自ら具体的な行動を起こせるようになり、経済などのニュースをみるようになったり、英検2級も取得したりしました。教員が教えるのは簡単ですが、それだけでは本当に必要な力は身につきません。」と前田先生。

プロジェクト学習での卒業論文

中学3年生が、商社について書いた卒業論文。

■MYP候補校だからできる授業

現在、昌平中学校では、MYP候補校になったことにより、プロジェクト学習の学習手法を、他の教科の授業にも取り入れられるようになり、生徒たちは普段の授業でも、問題解決型の授業を受けられるようになりました。その成果を前田先生が教えてくださいました。

「例えば、地理の時間では、教科書に書かれた様々な地域の暮らしが分かるような劇を作ります。生徒自身がきちんと理解していないと人には説明できないので、教員が講義形式で教えるよりも頭に残ります。大切なことは、基本や考え方を覚え、勉強の仕方を身につけることなのです。IBではこれができるので、世界の大学が高く評価しています。」

演劇を取り入れた地理の授業

演劇を取り入れた地理の授業の様子。

 

IBは“海外大学の入学資格を取るプログラム”と思われがちですが、今回の取材を通し、今、社会から求められている思考力や知識の活用力を養う教育プログラムでもあることが分かりました。
今後、ますます普及していくと思われるIB。ぜひ学校選びの基準のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか。

 

★昌平中学校 入試説明会

●第2回 学校説明会
10月3日(土)  10:00~12:00 ※授業見学可能
●第3回 学校説明会
11月22日(日)  10:00~12:00
●第4回 学校説明会
12月12日(土)  10:00~12:00 ※授業見学可能

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