eduスタッフ訪問記

インターエデュ・ドットコムスタッフが学校、塾などに訪問した際の様子をお届けします。

【日本大学高等学校・中学校】美術科の学び

実技・芸術科目にスポットを当て、各教科の授業内容をご紹介する日本大学高等学校・中学校(以下、日大中高)の訪問記。第3回は、美術科の三田一雄先生にインタビューします。
 

美術室

作業台にアクリル板が設置された美術室


 

■ジオラマ制作が中学生に人気!

 

三田先生

美術部と中学バスケットボール部の顧問を務める三田先生


 
――美術の授業では、例年、どのようなことに取り組みますか。
 
中学1年では、日本美術、風神雷神図屏風の模写、色彩学、ジオラマ制作です。2年で透視図法とレタリングを、3年で抽象画制作、木彫刻印制作、著作権学習をします。
高校では美術・音楽・書道のいずれかを選択できます。選択美術では、空想画制作や七宝焼き制作をします。
 
――どのような内容が生徒に人気ですか。
 
中1のジオラマ制作や、高校の七宝焼き制作ですね。
 
――ジオラマ制作について教えてください。
 
ジオラマ制作の狙いは、限られた範囲の中で、空間表現と状況表現をすることです。ジオラマといっても壮大な作品ではなく、はがきサイズの板の上で生徒が個々に作品を作ります。使う素材は石粉粘土で、乾いて固まった後、カッターで削ったり、紙ヤスリで磨いたり、色を塗ったりすることができます。テーマは自由なので、生徒はとても楽しんで制作していますね。
 
生徒の作品

生徒の作品


 
授業の様子

ジオラマ制作のようす(2017年度の画像)
※現在はマスクやアクリル板等、感染防止に努めています


 
――高校の空想画制作と七宝焼き制作について教えてください。
 
空想画制作では、空想の世界や、日常の風景に少しだけ空想的な要素を入れた絵を描きます。七宝焼きは、銅の板を切ったり叩いたりして好きな形に整えて、そこに七宝絵具を付けて美術室にある専用の窯で焼きます。
 
――七宝焼きの窯がある学校は珍しいですか。
 
芸術コースのない学校で、七宝焼きの窯が備わっていることは珍しいと思います。
 
 

■中学の独自の学び

 
――中学3年で行われる著作権学習とは何でしょうか。
 
まず、生徒にはオリジナルキャラクターを考えてもらいます。そのうえで、「君たちが作ったキャラクターは著作物です。もし、どこかの誰かが君たちに無断でキャラクターをポスターに使ったり、キャラクターの着ぐるみを使ったりしたらどうなるか」と問いかけて、著作権とは何かを学びます。生徒は、自分たちがカバンに付けているようなキャラクターグッズの数々が、実はきちんと許諾を得て商品として販売されていることを理解します。
 
――なぜ、著作権について学ぶのでしょうか。
 
いつの時代にも、著作権に関するトラブルは起きています。少しでも知識があれば、「これって、いいんだっけ?」「確か授業で聞いたな」と、立ち止まることができます。
高校では選択科目になるので、“美術の授業を受けるのは中3が人生で最後”という生徒はたくさんいます。ですから、必修科目であるうちに著作権について学ぶべきだと考え、最後の3学期の授業で取り入れています。
 

■心がけている指導とICTの活用

 
――指導にあたり、心がけていることは何ですか。
 
美術に苦手意識を持っている生徒にも、丁寧に説明し、実地指導をすることです。また、生徒の作品の優れたところを必ず見出すことです。
 
――美術の授業では、ICTをどのように活用していますか。
 
作品のアイデアや構想を練る段階において、タブレットの画面上に描いて何度もブラッシュアップをします。また、iPadを介して課題提出をしています。
指導側では、アイデアを即座に提示したり、実技動作の動画を作って生徒に配信したり、課題説明にスライドやPowerPointを使用しています。
 
――今後チャレンジしたいことを教えてください。
 

コンピュータ・ガーデン

コンピュータ・ガーデン


コンピュータ・ガーデン(PCルーム)でのPhotoshopやillustratorを使用した作品制作。2つ目は漫画・イラスト制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT EX」や、絵を描くアプリ「ibisPaint」など、iPadで使用できるアプリの導入。3つ目は3DCG制作ソフト「Maya」を使用した映像制作。4つ目は、3Dプリンターを導入した立体作品制作です。
また、机上や教室内にとどまらず、社会の中で美術やデザインがどのような経緯や形で表れ、扱われているのかということを、広く学び伝えたいですね。
 
――ありがとうございました。
 
 
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