【成田・二松柏・日出 学校鼎談】千葉の3校が集結!生徒が夢中になる「探究学習」

多くの学校で中核を担う学びとなりつつある「探究学習」。その自由度の高さから、各校の教育方針や校風が色濃く反映されます。今回は、千葉県にある3校の先生方に、それぞれの探究学習について語っていただきました。探究へのアプローチ方法や生徒の成長から、最新の学びを感じ取ってみてください。
二松柏・成田・日出
写真左から二松柏の森先生・成田の深田先生・日出の石川先生

個性際立つ探究学習

お話をうかがうのは、千葉県の成田高等学校・付属中学校(以下、成田)二松学舎大学附属柏中学校・高等学校(以下、二松柏)日出学園中学校・高等学校(以下、日出)の先生方3名。探究学習の取り組みや、学校ならではの強みに迫ります。

エデュ:探究学習の概要を教えてください。

成田の深田先生
成田の深田富佐夫先生 (総合探究運営委員長 担当教科:地歴)

成田 深田先生:中学で総合学習として調べ学習や地域学習を行い、高校から探究学習を始めます。大学の4年間は、探究活動が中心です。中高で基本的な探究のプロセスを身に付けることで、その先にある大学での学びがより深く、有意義なものになると考えています。高校の探究学習は、個人の興味関心を出発点にして、課題研究を進めます。具体的には、さまざまなテーマの資料から「思わず考えたくなるような問いをつくることが中心です。

二松柏の森先生
二松柏の森寿直先生 (グローバル探究室長 担当教科:物理)

二松柏 森先生:本校の探究学習は「総合探究コース」と、海外研修を含み英語も活用しながら学ぶ「グローバル探究コース」の2つがあります。自問自答というキーワードを掲げ、与えられた課題をただこなすのではなく、自ら問いを発見し、仮説を立て、調査のアクションを起こす。その結果から自分なりの答えを見つけるというストーリーを大切にしています。

中学の3年間、同じテーマを積み上げる生徒もいれば、3年生から新たなテーマを発見する生徒もいて、その過程でロジックの組み立てやデータ収集、結論と考察などの研究方法を学びます。

日出の石川先生
日出の石川茂先生 (入試広報部部長 担当教科:英語)

日出 石川先生:生徒が自らの興味関心を理解し、失敗を恐れず挑戦するために、探究学習を導入しました。探究学習の内容は多岐にわたり、その応用として希望者はボランティア活動への参加が可能です。過去には企業と英会話ツールを共同開発したり、テレビ局からの協力依頼に対して打ち合わせ段階から生徒に参加してもらったりと、キャリア教育も兼ねています。その過程で、大人が失敗する姿も見ながら、失敗を含めて楽しむことの大切さを学びます。

エデュ:学校ならではの強みはなんでしょう。

成田 深田先生:教員のサポート体制です。探究学習の時間は、教員全員の参加を目指しております。生徒一人ひとりに目が行き届く環境で、教員との対話から生徒が学びや考えを深めるきっかけをつくりたいところです。教員の意識も改革し、生徒と「教える・教わる」の関係ではなく、伴走する関係になろうと考えています。

さらに、高大連携も本校の強みの一つです。産業能率大学の協力を得て、インタビューの進め方やアンケートの取り方などの学習も取り入れています。探究の発表や7月に開催した「たんQ祭」には、県内にある複数の私立大学の教授を招き、生徒の発表に対してアドバイスをいただきました。

「たんQ祭」第2部 探究start-upのグループワーク後に行われたテーブルウオークの様子

二松柏 森先生:本校の強みは、緑豊かな広い敷地と、立地環境です。渡り鳥が多く見られる「手賀沼」が近くにある立地を活かし、地域に根ざした文理横断型の探究学習を展開します。本校ならではの取り組みとしては、手賀沼の水質調査やボートを使ったゴミ拾い、鳥類の観察などが挙げられます。さらに近くの福万寺で歴史を学んだり、学校裏の古墳で柏市の職員に話を聞きながら探究したりと、校舎の中だけにとどまらない活動が可能です。地域全体で生徒を育て、生徒が探究学習を通じて地域に恩返しできる環境が、本校の特色であり強みだと感じます。

探究活動中(手賀沼)の画像
手賀沼の豊かな自然環境そのものが生きた教材(二松柏)
探究活動中(鳥)の画像
手賀沼は日本有数の渡り鳥の飛来地。人間と鳥はどう共存しているのか仮説を探究(二松柏)
探究活動
二松柏 日本財団と共に活動した「海ごみゼロ」プロジェクト

日出 石川先生:本校は生徒の「第二の我が家」として、家族のように接します。アットホームな雰囲気を超えて、ファミリーになる。その環境が強みだと感じています。

卒業する際には、「第三の我が家」を見つけられるように背中を押します。生徒には、グローバルとローカルを組み合わせた「グローカル」な人材になってほしいです。海外に羽ばたいた生徒が、将来的にファミリーがいる日本に帰ってきて活躍できるように、本校は「第二の我が家」としてあり続けます。実際に多くの卒業生が遊びに来てくれて、気軽に在校生と話してくれますし、大学や仕事の話を聞ける環境は生徒にとって大切だと思います。

学校のカラーと探究学習の成果

エデュ:どのような生徒が多いですか。

成田 深田先生:穏やかで、多方面に興味関心を持ち、やりたいことを見つけて行動に移す生徒が集まっています。勉強にも部活にも力を入れている様子です。

近ごろは、外部のコンクールに参加し、入賞する生徒が増えてきました。探究活動を通して、自らの興味関心を深めることで、自己表現が多様かつ活発になってきたと感じます。

二松柏 森先生:素朴で真面目ですが、机上の学問以外の経験も求めて、興味のあることには積極的に挑戦する、探究心旺盛な生徒が多いです。

ある生徒が、卒業する際に書いてくれた手紙が印象に残っています。「勉強は苦しいこと、やらなければならないことだと思い、中学受験を乗り越えてきた」「しかし探究学習を通じて、勉強が好きなことにつながることを経験し、学ぶことや考えることの楽しさを二松柏で初めて知ることができた」という内容でした。探究学習の成果や、生徒の成長を感じられた出来事です。

日出 石川先生:生徒は個性豊かで、それぞれが自分なりの考えを持ち、探究学習以外の時間も意欲的に好きなことを追求しています。探究によって、多くの生徒が授業を前向きに捉えるようになったと感じます。本校の生徒の進学先は、国公立や難関私大に加えて、海外大学や芸大、専門職大学と多様です。生徒一人ひとりが、本当にやりたいことを見つけた結果だと思います。

エデュ:生徒にはどのような力を身に付けてほしいですか。

成田 深田先生:高校生までにたくさんの失敗や迷いを体験してほしいです。失敗するからこそ、後悔や試行錯誤が生まれ、周りの人の苦労にも気づき、共感する力が身に付きます。壁にぶつかり、もがく中で自分のやりたいことを見出し、人としても成長してほしいと思います。

二松柏 森先生:自問自答によって身の回りの問題に気づき、同じ目標を持つ仲間と共に、リーダーとしてさまざまな問題を乗り越える力を身に付けてほしいです。そして人のための行いを通して、自分の幸せも感じられるようになってほしいと思います。

日出 石川先生:生徒には「人の幸せとは何か」を追求し、幸せに生きてほしいです。夢を持った生徒は、リスクマネジメントができるようになると感じます。ただ「こうなりたい」だけではなく、失敗した際の行動まで考えている生徒が多いです。