

松本茂学園長
浜学園の社会科講師として26年間勤務。社会科主席主管を13年間務める。2022年4月学園長に就任。
「教えて!松本学園長」というタイトルでYouTubeチャンネルも開設。
中学受験に関する保護者や生徒からの質問に回答している。
なぜ今、非認知スキルが重視されているの?
エデュ ここ数年、自己肯定感や社交性、楽観性といった「非認知スキル」が重視されています。それはなぜなのでしょうか。
松本学園長 子どもが多かった時代は、遊びの中でやり抜く力や我慢する力、あるいは協力する力などを知らず知らずのうちに育むことができました。一方、少子化が進んだ現代は子ども同士の関係性がかつてほど密接ではなく、非認知スキルを自然と伸ばす場面が少なくなっています。また、技術が進歩したため、認知スキル、つまり幅広い知識は「人工知能」とも呼ばれるAIに任せられるようになりました。そういった時代に豊かな人生を送るために、心の能力である非認知スキルに注目が集まっているのだと思います。
エデュ 非認知スキルは目に見えないだけに、どう伸ばせばいいか分かりにくい部分もある気がします。
松本学園長 非認知スキルの多くは対人関係で育まれるもので、特に保護者との関係は大切です。子どもは何事も最初は保護者のまねをするものなので、保護者の影響は非常に大きいと思います。保護者が物事に意欲的に取り組む、否定的にならず自分を肯定する、好きなことに夢中に向き合うといった姿を見せることはとても重要です。
エデュ 特に小学生のうちに伸ばしておいたほうがいい非認知スキルはありますか。
松本学園長 困難や失敗に直面しても諦めずに努力を続ける克服力や、相手の意見にしっかり耳を傾ける傾聴力、あるいは自分の価値や意見を認められる自己肯定感などは、早くから伸ばしてあげるといいかもしれませんね。非認知スキルと認知スキルは相互関係にあるので、これらの力は学力を伸ばしたり、中学受験の勉強に取り組んだりする中でも大きな役割を果たします。
浜学園流 非認知スキルの伸ばし方
エデュ 貴学園では「WEBSTAR」という非認知スキルを伸ばす自宅学習を取り入れていますね。
松本学園長 小学1~3年生は「未来発見プログラム」、4~6年生は「非認知スキルトレーニング」という名前で展開しています。これらを導入した背景には非認知スキル型の入試が増加していることもあるのですが、どちらも文部科学省が重視する思考力、判断力、表現力を伸ばすものとなっています。


学術的な研究でも明らかになっています
エデュ 確かに、最近の入試では思考力、判断力、表現力を問う問題が増えてきています。
松本学園長 例えばWEBSTARの「ギャラリートークトレーニング」では、提示された絵や写真に関する問いに自分ならではの意見を答えます。洞察力、好奇心、想像力といった非認知スキルを磨く狙いがあるのですが、WEBSTARでは他の子どもたちの回答を見ることができるので、共感力や多様性を受け入れる力も伸びていきます。また、WEBSTARに向き合う際には保護者と子どもの対話が重要だと考えています。会話を交わす中でコミュニケーション能力や傾聴力も身につくからです。
「ギャラリートークトレーニング」
「ギャラリートーク」とは、美術館や博物館で、展示された作品について話し合うこと。このトレーニングでは、絵や写真に関する問題に対して、自分ならではの選択やその理由を答えていきます。作品に対する 問題を自分なりに解釈し、その考えを表現していくことで、想像力や表現力などの「非認知スキル」が鍛えられます。また、他者の解答を閲覧することができ、自分とは異なる見方に触れることで、見方・考え方の可能性を広げたり、自分の個性を再確認したりすることが期待できます。
エデュ 濃密な保護者と子どもの関係がわが子の成長を促すということですね。
松本学園長 そのとおりです。浜学園で運営している幼児教室の「はまキッズオルパスクラブ」では、「保護者同室スタイル」を取り入れています。その根底には、保護者と子どもが一緒に取り組み、何かできたときに一緒に喜ぶことが、子どもの意欲や自己肯定感などを強めていくという考えがあります。中学受験を目指す浜学園では保護者とともに、それぞれの子どもと真剣に向き合い、優しく質問を受けたり、励ましたりするような体制を整えています。
「はまキッズオルパスクラブ」
はまキッズオルパスクラブは、浜学園 が母体となる幼児教室。幼児から小学2年生を対象に、解き方を教えるのではなく、「自分で考える力」「問題解決力」「論理的思考力」「集中力」「やり遂げる力」「知的好奇心」「自己肯定感」「社会性」などを身につけることに注力し、子どもたちの“生きる力”を総合的に伸ばします。遊びを交えながら自ら考える力を伸ばし、認知能力と非認知能力の両方を伸ばします。

ママ・パパができる「自ら机に向かう子」の育て方
エデュ 学力テストなどの認知スキルを伸ばすうえでは、自主性ややり抜く力といった非認知スキルが重要だと思います。意欲や継続力を育むために、保護者はどのような関わり方をすれば良いのでしょうか。
松本学園長 まずは約束したことを達成した際に褒めてあげることは大切です。例えば「家庭学習で6ページの問題を1時間を目安に解く」と約束して、子どもが40分で解き終えたとします。その際に「あと20分あるからもっと問題を解こう」というのは約束を破ったことになりますし、子どもは「頑張ってもまたやらされる」と思って意欲が失せてしまうかもしれません。そうではなくて、1時間のところを40分で終えた、約束以上のことを達成した頑張りを褒めることで、子どもは自己肯定感や自立心を強めていくのだと思います。

エデュ 頑張ったのにもかかわらず、学力テストで思うような点数が取れなかった場合はどうでしょうか。
松本学園長 例えば「できなかったこと」ではなく「できたこと」に注目し、その努力を受け入れてあげるのも一つの方法ではないでしょうか。その上で「できなかったこと」を「できたこと」にすればいいという子どもののびしろを信じてあげる姿勢が大切です。「これが解けるようになったらもっと良くなるよね」といった前向きな声がけをすることで、否定されなかった子どもはプラス思考を持ち、自主性ややり抜く力を身につけていくはずです。
エデュ 子どもにとっては保護者が一番の味方ということですね。
松本学園長 保護者に褒めてもらうこと、肯定してもらうことは、子どもにとって最高のご褒美です。過程の努力を認めてあげることで、成果に向かうための非認知スキルはおのずと伸びていくのだと思います。
編集後記
非認知スキルは学力向上と相関関係にあり、人生や将来を豊かにする目に見えない力は、密接な保護者と子どもの関係から育まれることが分かりました。浜学園が導入している「WEBSTAR」は、自宅で洞察力、好奇心、想像力といった非認知スキルを磨きながら、保護者と子どもで会話を交わす中でコミュニケーション能力や傾聴力も身につけるもの。進学塾として豊富な実績を残し続けている浜学園は、認知スキルだけでなく、非認知スキルの向上も促す場所を提供しています。詳細はぜひイベントに足を運んでみてください。