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問われるのは思考力・判断力・表現力 私立校にも広がる「適性検査型入試」

公立中高一貫校の入学者選抜で用いられる適性検査。私立中学でも、「適性検査型入試」が増加しています。公立を目指す受検生の受け皿の1つとして、優秀な生徒を確保したいと考える学校が増えているからです。大学入試改革に伴い、思考力を育てる学びが重視されるようになったことも、適性検査が注目される理由の1つとなっています。

公立中高の適性検査とは?「独自作成問題」を出す学校も

公立中高の適性検査とは?

公立中高一貫校の受検では、一般的な教科型の試験ではなく、 6年間の一貫教育に適性があるかをみる「適性検査」が行われます。
学力検査との違いは、教科複合型の問題が多く出題されることです。また、表から読み取れることをまとめたり、与えられたテーマで作文を書いたり、思考力・判断力・表現力が問われるのが特徴です。
ただし、出題構成や内容は学校によって異なります。例えば、都立では2種類の検査、もしくは3種類の検査を行う学校があります。問題にも、千代田区立九段中を除く都立10校が一緒に作る「共同作成問題」と各学校が単独で作る「独自作成問題」があり、出題構成は学校に任されています。
検査内容は「適性問題Ⅰ」が読解問題と作文など国語系の問題、「適性検査Ⅱ」は大問が3つで算数・社会・理科の各分野から出題されます。「適性検査Ⅲ」は大問2題の理数系の問題で、2022年度は10校中6校で実施されました。
公立中高一貫校の適性検査は、「小学校6年間の学習内容」であることが求められるため、特殊な用語や計算方法が求められることはありません。しかし習ったことを複合して考え、分かりやすく表現する力が求められます。

適性検査の種類

適性検査の種類

2022年度 適性検査の実施概要(都立中高一貫校)

学校名 適性検査Ⅰ 適性検査Ⅱ 適性検査Ⅲ
作文 大問1(算数) 大問2(社会) 大問3(理科) 理数系
桜修館中 独自 独自 共同 共同 -
大泉高附属中 共同 共同 共同 共同 独自
小石川中 共同 共同 独自 共同 独自
立川国際中 独自 共同 共同 共同 -
白鷗高附属中 独自 共同 共同 共同 独自
富士高附属中 共同 共同 共同 共同 独自
三鷹中 独自 独自 共同 共同 -
南多摩中 独自 共同 共同 共同 -
武蔵高附属中 共同 共同 独自 共同 独自
両国高附属中 共同 共同 共同 共同 独自

※千代田区立九段中は全て独自作成問題

半数の私立校が実施、増える進学の選択肢

2022年度に適性検査型入試を実施した首都圏の私立校は150校で、約17,000人がこのタイプの試験を受験しました。今年は昨年並みの実施数でしたが、首都圏に約300ある私立校の半数で適性検査を実施。出願者数は年々増加しています。

首都圏で適性検査型(思考力・総合型なども含む)入試を実施した私立校

年度 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
私立校 136校 147校 149校 152校 150校
出願者数 約12,000名 約12,000名 約13,000名 約14,500名 約17,000名

首都圏私立中学入試科目パターン

入試科目 内容
4科目型 国語・算数・理科・社会で実施。入試パターンとしては最も多い。
2科目型 国語・算数が基本。午後入試に多い。
教科選択型 受験科目に英語が選べたり、算数のみなど1科目での入試も増えてきている。
適性検査型 科目を横断した総合的な力を問う問題が出される。
その他 プレゼン型、課題解決型、プログラミングなど特色ある入試を実施する学校が増加している。

私立入試は国・算・理・社の4科目型や国・算の2科目型が一般的ですが、さまざまな能力を持った生徒に入学してもらいたいと適性検査型入試で受験できる学校が増えています。公立校の受検(受験)勉強と両立できる私立中学校も多いので、選択肢の1つとして考えてみるのも良いでしょう。

公立との併願を意識し似た形式で出題

グラフ

適性検査といっても学校により出題傾向は異なり、「小石川型」「両国型」「白鷗型」「区立九段型」などとして、特定の公立中学校との併願を意識した出題を行う私立校もあります。また、思考力型入試、総合型入試として、思考力を問う問題や教科複合型の力を試す試験を行う学校もあります。
本サイトでは、私立校の先生にお聞きした情報をもとに「併願しやすい「おすすめ私立校」」、「2023年度適性検査型&特色入試 実施校」をまとめました。併願校選びにぜひお役立てください。

適性検査型だけじゃない!その他の特色ある入試の例

私立校では適性検査型入試だけでなく、受験生の潜在能力や資質を評価するさまざまなタイプの入試があります。
中には個人でなくチームで取り組む試験も。数ある入試の中から、特色ある入試の例を集めてみました。

1プレゼン型入試

自分が打ち込んできたことや得意なことを発表したり、好きな本について紹介する読書プレゼンなどを実施している学校も。

2課題解決型入試

与えられた課題について個々で考えた後、グループで議論を重ね発表する。アクティブラーニングの手法を取り入れた入試。

31教科得意型入試

英語・算数など得意な1教科で受験できる。算数では理科や社会との融合的な問題が出題されることも。午後入試で増加中。

4プログラミング入試

実際にプログラミング作品を作るだけでなく、プレゼンや討論まで行う学校が多い。スキルだけでなく表現力も求められる。

5SDGs入試

「SDGs(持続可能な開発目標)」について、自分の考えや日頃取り組んでいることをまとめたり、発表したりする。

6オピニオン入試

事前に出されたテーマに沿って、定められた時間でプレゼンを実施。パソコンやタブレットを使って発表する場合もある。

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