5月のテーマ「志望校の選び方、模試の捉え方【前編】」

inter-edu’s eye
今月は、和田みゆき先生、たなかみなこ先生に「志望校の選び方、模試の捉え方」というテーマで、何を基準にどのように志望校を選べばいいのか。思うようにいかない模試の結果をどう捉えればいいのかを2週にわたりご紹介します。

和田 みゆき先生志望校は、成績、それとも気持ちで選ぶ?
和田 みゆき先生

志望校を決める時期はいつがいい?

中学受験への思い3

みなさまこんにちは。 「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。前回の「受験の目的」はいかがだったでしょうか?

さて今回は「志望校の選び方」です。志望校選びは正解がないので難しいですよね。

我が家の場合は、偏差値に関係なく、学校見学をして娘が行きたいと思ったところを第一志望校にしました。合格の可能性は最後までありませんでしたが変更はしませんでした。理由は、受験勉強のモチベーションは「学校への憧れ」であることと、目標は高く設定した方が成績が伸びること、そして現在合格の可能性が低かったとしても、入試当日に実力が合えばいいと思っていたからです。

第一志望校を決めた時期は、小3でした。娘が成績に左右されずに心の目で見て「行きたいと感じることが大切」だと思っていたからです。

志望校を決めるにあたっては文化祭や体育祭などの学校見学をしました。第一志望校はできるだけ高い学校を設定したいと思っていましたので、見学の順番にはかなり気を配りました。見る順番によって学校の印象が変わるからです。まず私が下見をして親の希望に合う(方針や通学時間や学費など)学校を絞った上で、娘を連れていきました。

娘は共学校3校、女子校1校を、私は共学校7校、女子校2校を見学しました。第二志望校については、実質ここを目指すことになるだろうと考え、私は情報集めのために3年間で合計15回程足を運びました。

学校見学のポイント3つ

「今、成績が悪くても入試直前で追いつけば大丈夫」と頭で理解していても、実際のところ私は不安でした。そこで第二・第三志望校の情報収集に励むべく学校見学をしました。見学回数は少ない方で3校程度でしたが、私は前述のとおり9校、延べ24回行きました。

見学して感じたのは、どの学校も素晴しいということです。見学の度に心が揺らいでしまうので、軸を持って見学しないと正確な比較はできないと感じました。そこで塾で配布された見学チェックシートを片手に、客観的情報と自分の感想を書き留めながら進めてみたら、学校の特徴や生徒像が鮮明に理解でき、受験サポートも楽しいものだと感じました。

楽しく学校見学する私の横で、娘は第一志望校以外には興味を示さなかったのですが、次の3点を意識しながら見学してもらいました。
①直感で何を感じるか
②理想とする学校生活が過ごせそうか
③通学時間は遠かったか、近かったか
です。

また毎回同じ質問をしました。
「この学校に通ったらどんな6年間が過ごせそう?」
「6年後の自分はどうなっていると思う?」
「他の学校よりいいなって感じたのはどんなところ?」

学校の雰囲気を感じているときに言語化をすることは、娘の頭の整理に繋がると考えましたし、あやふやな記憶ではなくなるので、面倒でしたが私はせっせとメモを取りました。そして二人で「受験って、いろいろな発見があって、楽しいね」とウキウキしたのを覚えています。【後編へ続く】

和田みゆき先生からのアドバイス

私は早い段階で志望校を決めることをお勧めしています。理由は、成績に左右されずに第一志望校を決めることが学力を高めやすいことと、勉強の目的が「宿題だから」「テストの復習だから」という受動的な意識から「〇〇校に入学したい」という主体的な意識に変わることで、合格しやすくなると思うからです。

そのためには、まずは子どもが心から行きたいと思える学校に出会うことが必要です。行き当たりバッチリ(行き当たりばったりのような計画性のない行動をとったが、結果オーライでうまくいった意味)な場合もあるとは思いますが、入試当日に最高の実力を出すためには、親として知識を持って準備とサポートすることが必要でしょう。まずは第一志望校を決める手伝いをし、次に合格する学力をつける学習計画を立て、日々高いモチベーションで過ごせるようにサポートを行って欲しいと思います。

一見理想に聞こえますが、本気の子どもはできます。私たちは、「子どものセルフイメージを高める手伝い」と「セルフコーチングできる人に育つようサポート」をするだけです。

最近話題の大リーグの大谷翔平選手や金メダリストが行っている目標達成メソッドも同じ考え方です。まず金メダルを取ることを決め、次に取得のために必要な練習メニューを作って実行し続けます。先に未来を決め、次にすべき細かな行動計画を立て実行し続けるのです。結果を出せる人というのは、中学受験でもスポーツでも同じ思考なんですね。その第一歩が目標の設定なのです。目標設定については6月にお届けします。

たなかみなこ先生志望校は誰が決める?
たなかみなこ先生

親の野望をぐっと我慢

中学受験への思い4

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。

今月は、我が家の「志望校の選び方」についてお伝えしていきたいと思います。

私が初めて「志望校」を意識したのは、娘が小2の1月。小規模塾に転塾する前、まだ大手塾に通っているときのことでした。当時の塾の成績表(今でもすべて保管しています)の、テスト結果の偏差値の横に「○○中学(今通っている学校名)の偏差値は△△です」と私の字で書いてあります。
「きっとこの学校が向いている!」という直感と、幼稚園受験、小学校受験の痛手を乗り越えようと、ついつい、親である私の希望する中学に娘を誘導しようとしました。 何を先急いだのか過去問集まで買ってきてしまい、娘に「この学校はどうだろう?」と見せ「一緒に解いてみようよ!」なんて…。心の中で、自分の希望を押し通したい気持ちがあったのだと思います。 そんな私を笑顔でかわしながらも、娘は、その難関校へはまったく関心を寄せてくれませんでした。

また、小3の夏、転塾後の塾の先生に、私から「うちの子、どの学校が向いていると思いますか?」と聞いたことがありました。驚いたことに、私が良いなと思っていた学校の名前が! 娘は、その先生のことを大好きでしたので、今度は受け入れてくれるのではと思いきや、頑なに「私は共学がいい」の一点張りでした。

親としては「娘にはここが合っている」と思う気持ちがあり、残念でしたが、子育てコーチとして生きると決めた私は「幼稚園受験、小学校受験の二の舞は踏むべからず!」と自分に言い聞かせ、娘の意志を尊重し、それから2年くらいしてから思い切って過去問題集を捨てることにしました。

確実な合格より挑戦が大事!娘の意志を尊重

我が家が第1志望校を決定するまでの道のりには、顔で笑って心で泣いて、「幼稚園、小学校受験の失敗を繰り返さない!今度こそ娘が設定した目標を応援する!」と必死に娘を尊重し、コーチでい続けようと踏ん張った歴史がありました。

コーチは馬車です。
クライアントが行きたい場所へと連れていくことが仕事なのですね。なので、私としても憧れも野望もありましたが、娘が「この学校に絶対行きたい!」と言った共学校を受け入れることにしました。

2年連続で一緒に文化祭に行き、たくさん楽しみ、学校オリジナルのストラップを買い、娘がワクワクできるように環境を整えていきました。 私もその学校の理念、校風が大好きになり、名実ともに親子での第1志望校として憧れるようになりました。

しかし、小6の7月の志望校面談で、塾の先生方から「この学校は絶対に受かりません!」と言われてしまったのです。偏差値的にはクリアしていたため、まさか「絶対に受からない」と言われるとは思ってもみず、私もショックでしたし、娘も泣いていました。
自分で志望校を決めた娘の決心は固く、ホームページで改めて学校のことを調べ直し「やっぱりこの学校がいい!」と。 ベテラン先生方のお見立てを信頼すると、正直なところ合格は難しいけれど、「合格より挑戦が大事だ!」と私も腹を括り、娘の決心を応援することにしたのです。

そしてその決心した日から約1か月後のことです。塾の夏期講習から帰るなり娘が言いました。「私、第1志望校変える! 女子校に行くことにする!」【後編へ続く】

たなかみなこ先生からのアドバイス

我が家の第1志望校選びは、親の意向ではなく、娘が決めた結果となりました。とはいえ、私にも憧れ、野望が山ほどありましたので、たくさんの葛藤をしてきました。中学受験を支援していると、ついつい自分の希望や野望を子どもに押し付けてしまいそうなときがあるのではないでしょうか?そんなとき、どう心を整えるか?ですが、私はアドラー心理学の学びが受験生を持つお母さまのお役に立てるのではないかと思っています。

アドラー心理学とは、オーストリアのウィーンに生まれたアルフレッド・アドラー(心理学の3大巨頭の一人)が始め、弟子たちが体系化しながら継承してきた個人心理学の日本での呼び名です。そのアドラー心理学の考え方は、子育てや中学受験にとても有益です。

例えば、親子の関係性です。
アドラー心理学では、親子は縦の関係(上下関係)とは捉えていません。親子関係は、横の関係、つまり平等で対等な関係であると捉えます。そして、親と子が「仲間になる」ことを目指していきます。

「仲間」の反対語は何でしょうか? 「敵」ですね。
親と子が「敵」であった場合、中学受験はどうなるでしょうか? バトルが絶えず、学習も思うように進みません。 ですが、親と子が「仲間」であった場合、中学受験はどうなるでしょうか? それぞれの課題を認識しつつ、お互いを尊重し合い、協力し合うことができます。

中学受験は、親子が至近距離で同じ目標に向かえる最後のチャンスであると思います。その大切なイベントを「敵」=勉強をさせる対象として過ごすか、「仲間」としてともに尊重しつつ過ごすか?そんな考えを頭に入れることで、自分の希望や野望を子どもに押し付けそうになっても、思い留まることができると思います。ぜひ「仲間になる」ことを意識して、中学受験のサポートをしてみていただきたいと思います。

5月のワンポイントアドバイス
たなかみなこ先生の心理学「傾聴【前編】」

今月は、勇気づけ子育てコーチのたなかみなこが、私自身、中学受験を経て、一番大事だったと感じている最大の勇気づけスキル「傾聴」についてお伝えします。
「傾聴」ができると、子どもとの心の架け橋がかかり、私たち親が子どもにとっての「安心基地、安全基地、居場所」になることができます。
拠り所のある子どもは自信を持てるため、やる気を出すことができます。
カウンセリングやコーチングを学ぶと、必ず最初に耳にするスキルがこの「傾聴」で、私も講座の受講生に、子どもの話をしっかり聴ける「傾聴美人」になりましょう!とお伝えし、真っ先に学んでいただいています。

実は、このスキルだけでも
「子どもがたくさん話してくれるようになった!」
「子どもが自主的に勉強するようになった!」
というお声をたくさんいただいています。

とはいえ、「傾聴」の本当のやり方や重要性については、伝わっていないことが多く、スキルを身につけている方は少ないのです。そこで、この前編では「傾聴」のルーツをひも解き、後編では具体的なやり方をお伝えしていきたいと思います。

傾聴の元祖、始祖とも言われるのが、アメリカの心理学者カール・R・ロジャーズ(1902~1987)です。それまでのアドバイスが中心だった心理カウンセリングの方法を、180度変えたのがロジャーズでした。彼は「何が原因か、どの方向に進むべきかなど、答えを知っているのは、(カウンセラーではなく)クライエント自身である」ということに気づき、アドバイスをしないカウンセリング方法、つまり「聴きに徹する」方法でのカウンセリングを提唱し、成果を上げました。そのロジャーズのカウンセリング方法を踏襲した聴き方を「傾聴」といいます。

実は「傾聴」とは、カウンセリング由来の「聴きに徹する」方法なのです。

次回は傾聴【後編】です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は志望校の選び方、模試の捉え方【後編】です。

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「ママコ・ネクション」では、和田先生や、たなか先生によるレクチャー会と座談会を開催予定です。中学受験を通し、悩んでいることについてアドバイスを受けることもできます。

※ただ今準備中です。次回のご案内までお待ちください。