10月のテーマ「苦手教科のメンタルサポート【前編】」

inter-edu’s eye
今月は、和田みゆき先生、たなかみなこ先生に苦手教科のサポートというテーマで、2週にわたりアドバイスをうかがいます。娘さんも経験した挫折や葛藤をどうサポートしたのか、必見です。

和田 みゆき先生挫折と不安の2学期を乗り越える
和田 みゆき先生

上がらない成績に受験をやめることも考える

苦手教科1

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。

先月は、受験勉強と学校生活のバランスについてお伝えしました。2学期は学校行事が多く夏休みに作ったペースが崩れる時期ですが、親が信じて応援すれば子どもたちは自分のペースで乗り越えていきます。どうぞ不安にならずに合格を信じてサポートしてください。

今月は、成績の急降下により自信喪失した我が家の葛藤とモチベーションを上げた対策について、前編ではメンタルサポートを、後編では家庭学習サポートをお届けします。

9月に夏休みの学習成果が表れモチベーションが高まった我が家ですが、10月になると勉強をやってもやっても模試の成績が下がり続け、親子で希望も自信も失い、真っ暗闇をさまよい始めました。模試の成績に一喜一憂してはいけないと分かってはいたのですが…。

そして不安な私は娘に質問をしました。
「どうして成績が上がらないのだと思う?」

すると娘は「もともと無理だったんだと思う。もう勉強しても追いつけないってことなんだと思う。受験やめようかな。」と言い出したのです。

私はこれからの対策を一緒に考えようと思い、気楽な気持ちで質問をしたのですが、娘は対策どころではなく、私以上に不安になっていたのです。

「私の前には、同じ学校を志望する大勢の優秀なライバルがいて、こんなに勉強しているのに差は開いていく…これが事実だよね」

5つのメンタルサポートで取り戻した自信

娘は一度も「無理」「できない」「受験をやめる」と言いませんでした。「今までの努力がもったいないから、何が何でも合格する」と前向きだっただけに、私はなんとか娘に自信を取り戻させたいと思ったのです。

あんなに日々明るく楽しそうにしていたのに、心の中は不安でいっぱいだったのです。いつまでも幼い頃のように、親に心の内を全て話すわけではないのです。自律していく娘の成長に寂しさと力強さを感じながら、「これからは私の不安は娘にぶつけたりせずに、娘の背中を押せる親になろう!」そんな誓いを立てたのがちょうどこの頃だったと思います。

そして私はメンタルサポートをすべく、5つのことを行いました。

①親である私が入試の合格を信じる
②今出来ていることを伝える
③練習や勉強した結果、できるようになったことを伝える
④苦手なことに立ち向かう私の姿を見せる
⑤メダリストの苦労話の事例を集め、不安や挫折があったことを伝える

これらはノートに書き留め可視化した上で、娘に伝えました。可視化したことで、娘の小さな積み重ねや努力が見えるようになった私は、努力の過程を忘れて結果にばかりこだわっていたのは私自身で、その不安を娘にぶつけたことで、挫折感を味わわせていたことに深く反省しました。

事実を伝えるメンタルサポートは、娘の性格に合い、ぐんぐんとモチベーションは上がり、以前よりも一回り大きく強くなったように感じました。

和田みゆき先生からのアドバイス

多くの中学受験関係者が、受験生の2学期を「魔の10月」とか「挫折の2学期」「差が開く2学期」などと呼びます。

その理由は、2学期は学校行事が増えるので思うように勉強時間が取れず、成績が伸びない場合、前述の娘のように不安になって挫折してしまう子が出てくるからです。逆に夏休みの成果が出過ぎて安心してしまい、その後の努力を怠り学力の頂点を入試日にもっていけない子どももいます。2学期のモチベーションが学力差を生みやすいのですね。

アメリカのタフタ大学でトーマス博士が単語の記憶テストを行いました。その際、心理学のテストだと説明したときとメンタルを揺さぶる情報を与えてテストを受けさせたときとでは、正解率に30%も差が出たのだそうです。

また記憶に新しいところでは、9月に行われた全米オープンで大坂なおみ選手が優勝しました。彼女のメンタルサポートを行っていたコーチは、その優秀さから日本のメディアでも多く取り上げられました。

つまり多くの心理学者が証明しているように、メンタルが試験やコンクール・試合などのカギを握るということなのです。知識や技術だけではなく、精神の在り方も結果に影響を与えるということなのです。

中学受験においても同じです。
親である私たちがコーチとなり、子どものメンタルを支えましょう。勉強を続けるモチベーションを保てるようにサポートを行うことで、よい結果に導きやすくなると考えられます。

たなかみなこ先生メンタルサポートは塾の先生と
たなかみなこ先生

模試の結果が悪くひどく落ち込む

苦手教科2

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。

今月のテーマは「苦手教科のサポート(メンタルサポート)」です。私は主にメンタルサポートについて、お届けいたします。

小6の秋、9月。通っていた塾の方針で、大手塾主催の全国模試受験をすることになりました。当然のことながら、その大手塾に通っているお子さまにとっては「ホーム」、そして娘たち他塾組にとっては「アウェイ」。娘が愛用していたいつもの塾バッグは、大手塾バッグの集団の中ではポツンとした存在でした。同じ教室に同じ塾のお友だちは3~4名、その他はほとんどが「ホーム組」だったそうです。知らない大手塾のメンバー、初めての問題形式、初めての問題用紙…。
初めてだらけで緊張したせいか、模試の結果、なんと第一志望校は「再考ゾーン」。つまり考え直した方がいいレベル!という結果だったのです。
娘にとっては「こんな結果、取ったことない!」という結果でした。
塾で結果を返却されたときも「ひどかったなぁ」と先生から苦笑まじりで言われたことや、同じクラスのメンバーが成績優秀者名簿に載っていたこともあり、娘の落ち込みは大きく、「もうだめかも…。」とかなりマイナスのメンタルになってしまいました。

そこで、私は、塾に夜食のお弁当を届けるときに、娘がとても信頼している算数の先生に思い切って相談してみました。 「模試がひどくて落ち込んでるんです…。」

中学受験は「メンタル5割」

すると、先生は、笑顔でこう返してくださいました。
「初回はそのくらいの方がいいんですよ。初めからいい成績取っちゃうと高を括ってしまうから、むしろ、そのくらいの方がいいです。大丈夫です。彼女なら次からちゃんと取ってきますよ。」
先生のこの言葉で心からホッとすることができた私は、娘にそのことを伝えました。
「え、そうなの!?」驚きながらも、みるみる不安な表情が明るくなり、「次は絶対に同じクラスのメンバーと並んでやる!」と宣言!

翌月の全国模試では、アウェイでの受験にも慣れ、見事に偏差値を10上げ「合格ゾーン」入り! 成績優秀者名簿にも名前が載りました。

中学受験は「メンタル5割」と中学受験カウンセラー安浪京子先生の本で読んだことがありますが、本当にその通りだなと実感できた出来事でした。
実力はあっても、プレッシャーや焦りなどで思うように力を出せないことや、当日のコンディションやアウェイに慣れているか否か?など、普段の学力からはおおよそ予測できないことが起こります。
いわゆる「中学受験には魔物が潜んでいる」などと言われることがありますが、それがこの「メンタル5割」の所以なのかもしれません。

私は、いくら親にコーチングスキルがあっても、親だけで子どものメンタルをプラスの状態に維持することは困難だと思っています。
尊敬、信頼する先生と連携を取り、お力を借りながら、「親と塾が二人三脚」で子どものメンタルをプラスに維持すること。
この環境を整え続けることこそが「親にしかできない」メンタルサポート体制づくりではないかな?と考えています。

たなかみなこ先生からのアドバイス

小6の秋から冬にかけて、親自身のメンタルがやられてしまう…ということが多いようです。
それは「志望校を登録して全国模試を受ける」ということが始まり。同じ志望校を目指す受験生の中でのお子さまの立ち位置が初めて分かる時期だからかもしれません。
そして、その結果に「なぜ我が子は焦らないの?」と…。ですが、こんなときこそ改めて「我が子のメンタルは本当はどうなんだろう?」とまずは注目をしてみてほしいのです。中学受験の主役はなんといっても「お子さま」です!
ちょっと深呼吸して立ち止まって、お子さまの言動、表情、身体の緊張感などをよく観察してみてほしいのです。本当は落ち込んでいる…ということはないでしょうか?

そして「〇〇やったの?」「〇〇しなさい!」などの詰問や指示命令ではなく、声かけの方法も以下のような提案型に変えてみましょう!

●「何か手伝えることあるかな?」
●「何か協力できることある?」

イライラして詰問や指示命令をしてしまいそうになる気持ちも分かりますが、今こそやる気を出してほしい!と願えばこそ上のような問いかけをしてみてほしいと思います。
愛するママやパパからの「協力の提案」は、お子さまの固まってしまった心をほぐします。さらには、どんな「褒め言葉」や「ご褒美」よりもお子さまのやる気を上げるための最高の贈り物となります!
今日からぜひ「協力の提案」を心がけて、お子さまを勇気づけながら試験本番までの悩ましい時期を乗り越えていってくださいね。

10月のワンポイントアドバイス
たなかみなこ先生の心理学「リフレーミング【前編】」

今月は、勇気づけ子育てコーチのたなかみなこが、気持ちが前向きになる心理学の手法の一つ「リフレーミング」についてお伝えしていきます。とっても手軽に使えてパワーがある手法ですので、お子さまやご自身への勇気づけにお役立ていただけると嬉しいです!

「リフレーミング」とは、家族療法という心理学の技法の一つで、「クライエントに新しい見方を提供することである。」(「新版 心理学」有斐閣)と説明されています。絵画などの額縁を英語で「フレーム」と言いますよね?その額縁(フレーム)をかけ替えるという意味です。
英語のreには「再び~する」という意味がありますから、リ・フレーミング=「再びフレームをかける」ということです。代表的なリフレーミングの例としては、コップの中に半分ある水を「あと半分ある」と捉えるか「もう半分しかない」と捉えるか?が挙げられることが多いようですね。
「リフレーミング」をひと言でいうと「物事に対する枠組みや見方(視点)を変えること」と言えます。

NLP(神経言語プログラミング)という新しい心理学においては、

●「意味(内容)のリフレーミング」
●「状況のリフレーミング」

と、2種類に分けていますが、今月の記事では、主に前者の「意味(内容)のリフレーミング」についてお伝えしていきます。

では、実際にどう使うのか?ですが、例えば短所(ネガティブ)を長所(ポジティブ)に変えるのにとっても効果的です!

●優柔不断→じっくり考えて決断できる
●自分がない→協調性がある
●のんき→細かいことにこだわらない

などです。
今日からお子さまに対してイラっと感じたときに「リフレーミング!」とこっそり呟いてみてください。そして、目の前のお子さまのポジティブな側面を無理にでも見つけて言葉にしてみましょう。
例えば、のんきに見えるお子さまに対して、
「細かいことにこだわらないあなたって頼もしいね!」
愛する親からもらうポジティブな言葉は、ネガティブになっているお子さまのことを勇気づけることができます。きっとやる気も同時に引き出すことができますよ!

次回はリフレーミング【後編】です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は苦手教科のメンタルサポート【後編】です。

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