1月のテーマ「受験直前期、親は何をすればいいの?【後編】」

inter-edu’s eye
今回は前週に引き続き和田みゆき先生、たなかみなこ先生に受験直前期に親ができることというテーマでアドバイスをうかがいます。直前期、受験前日・当日にしてあげられることとは?

和田 みゆき先生前日・当日の過ごし方と親子の心の安定法
和田 みゆき先生

受験前日は普段の生活ペースを崩さないように

受験直前期1

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。

首都圏入試が始まりました。前回に続き今回は、メンタルを支え安定した気持ちを作る前日・当日の過ごし方と親子の心の安定法についてお届けいたします。

さて受験前日に、私が心がけたのは普段の生活ペースを崩さないことでした。
起床時間も塾で過ごす時間も好きなものが心もち多いお弁当も声かけも就寝時間も普段通りでした。1つだけ特別なことがあったとしたら、それは娘に適度な緊張感と集中力を持ちながらも、リラックス状態で受験してほしかったので、この1年間の努力を心から褒め、次の3点を伝えたことです。
●入試は、自分のために行うもので、親のためでも先生のためでもないこと
●入試は、スポーツの試合と同じということ
●入試を、楽しんできてね

そして当日は、いつも通りに食事をして、イメージングとリラクゼーションのうえ大笑いをして力を抜いてから、試験会場に送り出しました。
また万一を想定した解決策と不安回避のイメージングを慌てないために行いました。
例えば、見たこともない問題が出たらどうする? 時間が足りなそうだったら? お腹が痛くなったら? 鼻血が出たら? 時計が壊れたら? 消しゴムが遠くまで転がったら?など。
リラクゼーションとしては、昨年第一志望校の入試の様子を見せておいたのと、当日早めに会場入りすることで、大勢の受験生に気後れしないようにしました。また教室とトイレの位置関係を確認するように伝えました。

1校目の受験は試験慣れも目的に

娘の1校目受験は、受験者数が5,000人という大規模入試でした。何もかもが初体験で、塾の先生方の校門激励に驚き、会場まで長く続く列に驚き、感動と感謝をしながら試験会場に入ると、今度はとんでもない数の受験生に驚きました。
「試験会場で雰囲気に飲まれる」という話は、幾度となく聞きましたが、まさにこのことだと感じました。当たり前ですが、模試とはまったく異なる緊張感を伴う空気感です。この人数を見慣れていなければ、気分が悪くなっても不思議ではありません。しかし娘も私も、第一志望校ではなかったことと想定内のことだったので、体調が悪くなることはありませんでした。

娘は4校の受験をしましたが、圧倒されたのはこの1校だけでした。

心理学的に考えると、
「初めての場所×圧倒的な人数×結果を出さないといけない」
というシチュエーションは、かなりのプレッシャーになるはずです。それを克服するには、志望校に足を運んだり、模試を受けて集団受験に慣れたりして、場数を踏むことと、セルフイメージを高めることしかないでしょう。第一志望校受験の前に、この体験ができて、本当にありがたいと思いました。

後日談ですが、娘に1校目の受験の感想を聞いたら、
「着いたときからあそこには受からないと思ったよ。だって過去問ほとんどやってないもん。行きたい人が合格できただろうから、よかったんじゃないの?」と。
そのクールさにも驚きましたが、受かろうと思わなければ結果に繋がらないことを確信しました。

和田みゆき先生からのアドバイス

試験時の緊張を取り除くには、場慣れすることが効果的ですが、セルフイメージを高め自己コントロールすることでも緊張感を取り除くことができます。

■セルフイメージを高める未来志向


セルフイメージとは、自分が思う自分の人間像です。多くの方が誤解しているのですが、セルフイメージと行動の関係は、次のようになります。
「自分にはこういう行動傾向があるから、○○という人間である」ではなくて、「自分はこういう人間であるというイメージの通りに、人は行動している」のです。

オリンピック選手で考えてみましょう。「自分は金メダルを取る」とイメージしているから、辛い練習も乗り越え金メダリストになるのです。先に意志(イメージ)があり行動や結果は後からついてくるのです。

中学受験も同じです。「自分は合格する」「入学して○○部で活躍する」というセルフイメージを持つから、合格するための勉強をし、合格するのです。入試までまだ時間はあります。合格をしっかり認識させてあげて、「これだけ努力してきた自分なら合格する」という思いを描かせてあげて、会場に送り出してほしいと思います。また試験直前の「頑張ってね」という親からの言葉かけは、プレッシャーを与えやすいため実力を発揮しづらいと言う研究結果が出ていますので、ご注意ください。

娘は私が合否結果で揚げ足を取らないことを知っているので、安心して「合格してくるね」と私と自分に言い聞かせながら、足取り軽く第一志望校の試験会場に向かいました。
「合格して生徒になりたい」と繰り返し口にすることで(他人への宣言でもOK)自己暗示がかかり、行動に繋がると考えられています。簡単なのでぜひお試しください。

たなかみなこ先生前日・当日の過ごし方、受験当日の送り出し方
たなかみなこ先生

試験前日の過ごし方

受験直前期2

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。前編では、健康管理(心身)についてお届けしました。後編では前日・当日の過ごし方、受験当日の送り出し方についてお伝えしていきます。

第一志望校受験の前日は、塾の激励会がありました。娘は朝から塾で、そのまま先生の誘導で激励会会場へ。私は、それまでの間に家の玄関を掃除し、ゲン担ぎのために777円のヒレカツを買いに行っていました。そして激励会に合流です。親子ともに先生方からの熱い応援メッセージに心打たれ、感動とやる気をいっぱいもらって帰宅。「試験にカツ(勝つ)!」と笑いを取り、和やかに食事をしました。娘は入浴後、夜10時には就寝。朝から塾で疲れていたためかぐっすり眠れたようです。

実は、私たち親子はお世話になっていた塾長からある教えをもらっていました。
「いつも通り、普段通り、ひたむきに。」
という言葉です。

前日から、その言葉を握りしめ、子どもが「なんかいつもと違う!」という緊張感を持ってしまわないように、いつも通り、普段通りの接し方をキープすることだけを心がけていました。

さて、当日です。
娘は、いつもより早く起きて、彼女たちが「おまもり」と呼ぶ公民の一問一答の暗記をしていました。その頃、私もある検定試験に挑戦していたのですが、当日の朝、早く起きて暗記に徹したことで合格できました。どうやらそのことが娘の頭にあったようです。
「よし!これで大丈夫!」
その娘の声で家を出発しました。

いつも通り、普段通りに

電車の中では、いつも通りの娘でしたが、学校に着く直前に寄ったコンビニで、
「どうしよう。緊張してきた。」
ギュッと手を握ってきました。その手は冷たく、緊張が伝わってきます。
そこで、
「塾長が言っていたよね、いつも通り、普段通りって。」
と伝えました。ハッとした娘は、
「そうだ! そうだったね。」
と言いつつも、やはりまだ緊張感が拭えません。

学校に着きました。すると、大きな声で娘を呼ぶお友達の声が! 塾でいつもお世話になっている受付の先生と塾の仲間たちが待っていて、娘に声をかけてくれたのです。いい意味で力が抜け、娘に笑顔が戻りました。その輪に向かって走っていくその横顔にも不安はなく、すっかりいつもの娘です。

試験会場に入らなければならないギリギリの時間まで、先生や仲間と楽しそうに世間話をしている姿は、まさに、
「いつも通り、普段通り」
塾の先生方は、こうして早朝より待っていてくださり、受験生の緊張感をほぐしてくださるのです。涙が出る情景でした。

何年もかけて勉強した成果を十分に発揮するためには、
●緊張しないこと
●いつも通り、普段通りで受験すること

まるで模試を受けるかのような感覚で受験すること!

これこそが大事だったのだと、当日の朝、思い知らされたのでした。

仲間たちと試験会場に入っていく娘は、今日が本番ではないかのように見えました。模試を受けに行くかのように緊張感はまったくなく、むしろワクワク感さえ感じていたようです。そんな背中を見ながら、成長したなとしみじみ感じた受験当日の朝でした。

たなかみなこ先生からのアドバイス

試験会場の入り口で、お子さまの肩に手を置き、最後の試験アドバイスを懸命に伝えている親御さんの姿を見かけることがあります。ですが、お子さまによっては、身体や表情に緊張感が満ちていて、プレッシャーを感じているようにしか見えないことがあります。一見、試合前のコーチと選手のようにも見えますが、そこまで11歳、12歳がプレッシャーに耐えられるものでしょうか?

人間が実力を発揮できるときというのは、リラックスして「自分は大丈夫!」と思えるとき。
まさに「いつも通り、普段通り」でいられるときなのではないでしょうか?

「ボディランゲージが感情に影響する」というハーバード大学のエイミー・カディ教授による研究もあります。(出典:「<パワーポーズ>が最高の自分を創る」エイミー・カディ著 ハヤカワノンフィクション)
力の強いポーズ(両手を上にVの字)をとると「できる!」という感情に結びつき、逆にうなだれたような力の弱いポーズをとると「できない、自信がない」という感情に結びついてしまうのだとか。
では、うなだれ、プレッシャーでコチコチになってしまった身体の緊張感は、どんな感情と結びついてしまうのでしょうか? そしてどんな結果を連れてくるのでしょうか?

大切な試験に送り出すときは、実力を思う存分発揮してもらうためにも、
「いつも通り、普段通り」
身体に緊張感がない状態で、送り出してあげたいものです。

さて、では、何と言って送り出せばいいのでしょうか? お子さまが緊張せずに、いつも通り取り組める言葉を探してみましょう! 我が家の場合は、登校のときでも、試験のときでも、
「楽しんできてね!」
です。
みなさまのお子さまはどんな言葉が勇気づけになりますか? お子さまの表情を見ながらぜひ探してみてください。
そして、今までの頑張りがすべて発揮できるよう、安心感の中で送り出してくださいね!

1月のワンポイントアドバイス
和田みゆき先生の心理学「入試結果の捉え方【後編】」

今月は家庭教育家の和田みゆきが、入試結果の捉え方についてお届けします。

先週お伝えした通り、中学受験は人生の通過点にすぎません。しかし受け止め方次第では、人生全体を暗黒にしてしまいます。そこで今回は、入試結果が受け入れがたい場合、どのように受け止めれば、心が軽くなりプラスに転じるのか、その方法の一つをご紹介します。

心理学にABC理論というのがあります。
これは、「▼Consequence 感情・結果」に影響を与えるのは、「●Affairs 出来事(事実)」ではなく「◆Belief 受け取り方・受け止め方」であるという考え方です。

中学受験に沿って解説しますね。

「●不合格だったので、▼悲しい」と思うのは、不合格が悲しいのではなくて、不合格を○○と受け取ったから、悲しいのです。事実は同じでも受け止め方で感情が変わる一例をご紹介します。

(一般的な受け止め方)
●不合格(出来事)だったから、◆人生台無し(受け取り方)と考えたので、▼悲しい(感情)

(ポジティブな受け止め方)
●不合格(出来事)だったけど、◆努力の大切さを知る経験をした(受け取り方)と考えたので、▼良い経験ができてありがたい(感情)

つまり悩んだり落ち込んだときは、ポジティブな受け取り方をすることで、自然と前向きな感情が湧きやすくなるのです。もし入試の結果で落ち込んでしまったときは、ポジティブな受け止め方を思い浮かべてみてくださいね。心が軽くなるはずです。
※ポジティブな受け止め方の例
▼目標に向かって努力する経験をした▼学力が上がった▼コツコツ努力ができるようになった など

次回は承認【前編】です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は試験の結果の捉え方【前編】です。

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※ただ今準備中です。次回のご案内までお待ちください。