2019年中学受験、時事問題予想と今からできる対策とは?

inter-edu’s eye
2019年中学受験への追い込み時期となった今、直接点に結びつく対策を行いたいところ。時事問題への取り組みがまさにその一つです。中学受験の「社会」に詳しい、プロ家庭教師の山本祐先生から、時事問題で出題が予想されるポイント3つと直前期の学習の進め方、さらに、受験への心構えをお聞きしました。

合否の1点を左右するのが「時事問題」

Q: 「時事問題で落ちるお子さんがいます。時事問題は残酷です。」とスタディ・タウンの入試解説でおっしゃっていましたが、それはなぜなのでしょうか?

合格

中堅以上の学校では、合否のボーダーラインで1点のゾーンに30人もいる、ということが起こります。この1点を左右するのが、時事問題と言っても過言ではありません。時事問題は、一生懸命学習して記憶するものでもなく、ちょっと耳にして、知っているだけで、1点か2点ひょいと取れる。そのおかげで合格するということがあるからです。

もう一つ、時事問題というのは、受験勉強開始からの3年間学んで身についたということでもなく、直前に聞きかじったことで点が取れてしまう場合もあります。現在起きていることなので、やればやるほど、頭に残りやすいということもあります。

たとえば、今年6月12日に行われた米朝首脳会談。ドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談したこと、ということだけでなく、シンガポールで行われたことを知っていると、1点の差がつきます。

勉強時間がそんなに長くなくてもいいわりに、見返りが結構あるというのが時事問題なのです。歴史、地理、公民をあんなに覚えたのに、1回も出てこなかったということは多くありますが、小学6年生に知っておいてもらいたい時事は、そんなに多くはありません。ピンポイントで対策ができるというのはとても大きいのです。

2019年入試出題が予想される時事問題は?

Q: 時事問題の出題は増えているのでしょうか?

雑踏

増えてきていると思います。時事問題の出題パターンには2つあります。

一つは、世界遺産の問題で「沖ノ島」と書かせるような、できごとに関するワードを直接聞く、地図を見せてここはどこかと聞くパターンです。

もう一つは、できごとから派生して広がるパターンです。時事的な切り口から習ったことに結びつけて出題されます。比率としては、学校ごとに異なりますが、直接聞くパターンは問題全体の約10~15%、派生するパターンは約30%と言えるでしょう。

大学入試が変わっていこうとしてきているように、今の世の中のことを見聞きして、習ったことと繋げる意識を持っているかどうかが、中学入試でも問われるようになってきています。習ったことを覚えるだけでなく、今の世の中に繋げ自分にも関係することとして、社会を見る視点に活かしてほしい、そういうアンテナを持った子に来てほしいというメッセージが込められていると思います。

Q: 出題が予想される時事問題について教えてください。

特に重要なポイントを3つあげておきます。

1つ目は「世界遺産」です。最新のものだけではなく、古いものも出題される傾向にあります。今年登録された、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の「潜伏(隠れ)キリシタン」が狙われます。どうして潜伏するようになったのかを押さえておきましょう。地理では、島原半島の「普賢岳」、「噴火」に繋がり、歴史ではキリスト教奨励の「織田信長」、その後の「鎖国」に繋がって出題されることが予想されます。

2つ目は、目前となった「天皇陛下の退位」です。天皇が変わることで何が変わるのか。元号が変わり、天皇の呼び方が変わりますね。呼び名と言えば「上皇」。歴史上何人か知っておくべき「上皇」をおさらいしておきましょう。また、「退位の礼」。憲法第一章に書かれている、「天皇の国事行為」は押さえておきたいポイントです。

3つ目は、「国際情勢」です。パリ協定やTPPなど、世界各国で足並みをそろえていこうというときに、流れに逆行するトランプ氏の姿勢は特に注目です。そこに、どういう意図があるのかを念頭に置きながら、なぜ米朝首脳会談をしたのか、朝鮮戦争からの流れを捉えておきましょう。

時事問題対策のポイント3つ!

Q: 12月以降の時事問題対策は、どのように行ったらよいでしょうか?

時事問題対策

【ポイント①】冬期講習と大手塾の時事問題予想テキストで対策

大手塾では、冬期講習で時事問題対策を行いますが、それぞれの塾監修の時事問題予想テキストを開いて授業でじっくりやることは少ないようです。志望校の時事問題は多めだな、塾で1回やっただけでは不安だなというときは、テキストで補っていく必要があります。テキストは2冊も3冊も買う必要はありません。どのテキストも取り上げている内容はほぼ同じですから、1冊しっかりやれば十分です。

テキストの進め方ですが、目次の最初から順番に1週間で2、3トピックぐらいできればよいでしょう。時事問題をやる時間がなくなってきたときは、まず、本の目次タイトルを見て、誰が関わっていたか、どこでやったかなどの知識を確認し、最低限1問1答ぐらいはやって、そのできごとに関する整理を行いましょう。

【塾監修のテキスト】

・【サピックス小学部(編さん)】2019年中学入試用サピックス重大ニュース
・【日能研教務部(著)】2019年度中学受験用 2018重大ニュース
・【四谷大塚出版編集本部 (著)】ニュース最前線 2018(2019受験用)
・【栄光ゼミナール (編さん)】重大ニュース 2019年中学入試用

【ポイント②】地図と照らし合わせる

時事問題の学習をするときに、場所が出てきたら必ず地図との照らし合わせを行いましょう。親御さんがついて学習を進めるとき、地図を見て確認する作業は、お子さんがその場所を見つけられるように誘導してあげてください。親御さんが焦って場所を言ってしまうことがありますが、お子さんが何とか見つけ出せたということが大事です。また最近、世界地図が試験に出ることが多いので、親しんでおくようにしましょう。

【ポイント③】理由づけて覚える

社会はぶつ切れで覚えがちですが、単語帳のように一つずつ覚えるのではなく、一つのことから繋がっていけるように整理しておくと、思い出しやすくなりますし、問題への対応力も上がっていきます。しかし、関連がある事柄を繋げて、背景を広げる作業は、お子さんだけではなかなか難しいと思います。そこは親御さんの出番です。一つの社会用語について、理由をたずねたり、仲間になるものをあげさせてみたり、さりげなく繋がりをもたせてあげてください。

受験に向けて、家族一丸となれる時事問題への取り組み方

Q: 時事問題対策を含め、直前期のお子さまへの接し方、心構えなど、受験生のご家庭へメッセージをお願いします。

家族

親子で学習に取り組んでいるときに、知らないことが出てきたら「ラッキー!」と思うことです。「本番前に気づけてよかったね」とお子さんに声かけをしてあげてください。大切なのは、知らない、分からないことを恐れないことです。

子どもが「これ知らない」と言ったとき、親が「そんなことも知らないの!?」と叱ってしまうと、ビクビクしたり、ごまかしたりして、一緒に取り組むことを嫌がってしまいます。そこで、親が「よかったね、今分かって!」と言えば、子どもも「そうか、今でよかったんだ」と安心します。親御さんは、全部知っているわけがないと思って、知らなかったことが出てきたら、お互いよろこんで、楽しく穴埋めをしてほしいと思います。加えて、お子さんが「これ知ってるよ!」と言ったら、「こんなことも知ってるの!すごい!」と親御さんは、ものすごくよろこんでほしいですね。

受験直前期の今、親御さんは焦らず、怒らないことを意識して、気持ちにゆとりを持ってほしいと思います。親御さんの気持ちが安定していると、お子さんも安心します。親御さんには、「ここまでよく頑張ってきたね」「本当にすごいことをやってきたんだよ」と今までの道のりを振り返りながら、一緒に戦いに行くんだと、仲間意識を持って受験に臨んでほしいと思います。特に受験勉強で父親の出番が少なかったご家庭では、時事問題対策が一役買います。たとえば夕飯時に時事を話題にすれば、お父さまの解説も加わって、さらに家族一丸となって受験に立ち向かう雰囲気が出てきます。ぜひ、チームワーク向上のためにも、時事問題には家族みんなで取り組んでほしいと思います。

山本祐

山本祐(やまもとゆう)先生
自身も中学受験を経験、麻布中学校・高等学校出身。20年以上の家庭教師としての指導経験を誇る。現在は家庭教師の一橋セイシン会、スタディ・タウンで中学受験専門プロ家庭教師として活躍されている。

スタディ・タウン「2019年中学入試用・社会『中学入試に出る時事問題』映像授業」

山本先生:動画では、「社会の先生はこう聞いてくるだろうな」という長年研究した勘所を踏まえて、説明しています。問題の聞かれ方はもちろん、正誤問題をどうやって解くのか、時事からの切り口はどうなるのかを動画で伝えています。歴史や地理を繋げて考えることは、耳で聞いた方が理解しやすく、なかなか紙ではできないことです。そのメリットを前面に出して、どうしてそうなったのか、分かりにくいことを分かりやすく、かみ砕いて説明しています。