5月のテーマ「志望校の選び方、模試の捉え方【後編】」

inter-edu’s eye
第4回では、和田みゆき先生、たなかみなこ先生に前週に引き続き「志望校の選び方、模試の捉え方」というテーマで、何を基準に志望校を選べばいいのか、模試の結果をどう捉えればいいのかをご紹介します。

和田 みゆき先生模試で志望校を変えないとは?
和田 みゆき先生

模試を受ける本当の目的

中学受験への思い3

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。今回は前週に引き続き、「模試の捉え方」についてお届けします。

6年生になると、毎月のように大手塾の模擬試験があります。周りのご家庭の取り組み方を見ると、塾任せのご家庭、親が中心となるご家庭、親の関心が低く子ども主導のご家庭、また通塾先の模試だけ受験、他塾の模試も受験するなど、実にさまざまでした。正解はないですものね。

我が家では、塾と協力し合い、まずは娘に模擬試験を受ける意義や模試の特徴を伝えました。例えば、大手塾の全国模試では、志望校の合格率や志望者の中での自分の学力位置が知れること、志望校が試験会場となる模試があること、志望校の入試にそっくりな模試があること、集団試験に慣れておくと本番で緊張しにくいこと等です。その結果、娘の希望を取り入れ3つの団体の模試を計8回受けました。

実は私は毎回模試の結果に不安になりましたが、娘には「模試の目的は『学習の未完成分野の把握』と『集団試験への慣れ』なのだから、結果を気にする必要はないし、受験は成長の一過程、1チャレンジに過ぎないのよ」と伝え、娘が受験を通して夢を叶えられるように、明るく楽しい環境づくりを心がけました。

そして受験当日が娘の知識と精神力のピークになればよいので、私自身が模試で一喜一憂せず、娘の日々の過ごし方とメンタルの保ち方に心くばりをしました。

模試は現時点の学力を知るお手紙

我が家は、勉強がしたくなる環境づくりはしましたが、「勉強しなさい」とは一度も言いませんでした。模試についても同じでした。塾と連携し、結果に落ち込む娘に対して「模試は模試」、「筑駒や桜蔭志望者も受けている」、「運は本番に取っておこう」とポジティブにメンタルを支える役割は家庭が担い、解けなかった問題の復習と受験の厳しさを伝えるのは塾の役割と分担しました。

私は結果を気にする必要はないと思いながらも、内心は不安でいっぱいだったので、「模試は現時点の学力を知るお手紙」だと思うようにしました。お手紙ですから「こんな結果でどうするつもり?」、「今後どうすればいいと思う?」などと、自信を無くさせる発言や責める発言、そして私の期待過多な発言はしないように気をつけました。大切なことは、娘がセルフコーチングできるようになり合格という目標を達成することです。

ある模試で、算数の計算問題が全滅だったことがありました。「すごいね!問1全部バツ!この記録は誰にも抜かれないね」と私が言いましたら、娘は「そんなことで笑っていたらダメよ。普通は全問正解でないと怒るところなんだよ。計算問題は点数を稼ぐポイントなんだからね」と。
イージーミスは塾で嫌という程注意されていたのでしょう。私は娘がセルフコーチングし始めていることを知り、その成長を頼もしく感じました。私にとって娘の成長を感じられる受験は、子育ての醍醐味を凝縮して味わえる楽しい時間でもありました。

和田みゆき先生からのアドバイス

模試と言えば、合格ラインと合格の可能性を知る機会、苦手分野の把握と考えることが多いと思います。私たちも当初はその見方をしていました。成績がまだ追い付いていない段階で、合格ラインを意識すると、自信を無くします。第一志望校を変えようとまで思いがちです。でも模試はやる気に繋げるチャンスであり、未完成分野の把握であり、集団試験に慣れる機会だと考えると、前向きに受け止められます。

受験生の親は、環境づくりや心づくりを行うチーム監督です。
親子の視点を離れ、一人の若き人間の才能を開花させることに意識をおいてみませんか。主観が外れるので、子どもの努力や健気に頑張る気持ちが見えてきます。模試は、子どもを責める機会ではありません。合格に繋がる事実の把握と改善方法を知り、次に繋げる機会なのです。

中学受験をスポーツに例えるならば、オリンピックのようなもの。金メダルを取るには、種目の練習(準備)さえすればよいわけではなく、マインドを育てることも大切なのだそうです。受験も同じですね。選手である子どものマインドも応援していきましょう。その為には子どもをよく観察・傾聴し、性格に合う言葉かけをすることが大切です。褒めて伸びるならば褒めるし、褒めると有頂天になるならば、努力が結果につながった事実を伝えるにとどめます。

模試の有効活用で、子どものセルフコーチング力と私たち親の人間力も高めていきましょう。

次回は目標の達成について、お届けします。

たなかみなこ先生志望校はいつ決まる?
たなかみなこ先生

共学校から女子校へ思い切って変更

中学受験への思い4

みなさまこんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。前週は、幼稚園、小学校受験での苦い経験を踏まえ、自分の野望を押しつけるのではなく、娘の行きたい学校を受け容れて親子の第一志望校にしていったという話をしました。

今回は、実際の第一志望校をいつ、どんな理由で決めたのか?ということについてお伝えしていきます。

「絶対にムリ」
親子で決めた第一志望校を塾の先生にダメ出しされたのが、小6の7月にあった初の志望校面談のときでした。ですが、娘は諦めることができず、私も「合格よりも挑戦が大事だ!」と腹を括り、先生方の反対を押し切って、志望校を変えずにいました。

そんなある夏の日のこと。
いつものように夏期講習に行き、帰宅した娘がこう言いました。
「私、第一志望校変える! 女子校に行くことにする!」
聞くと、女子校出身の先輩方が塾に激励に来て「女子校、超楽しいよ!」とキラキラした顔でお話をしてくださったのだそうです。 今まで、どんなに私が女子校を勧めても、頑なに「共学がいい!」の一点張りだったのに…。

私「え?志望校変えるって? 共学やめるってこと?」
娘「うん! 今日ね、先輩が激励に来てくれたんだよ~。すごく素敵で、キラキラしていて、女子校ってこんなに楽しいんだ!って分かったんだ。だから、女子校に変える! 私〇〇に行く!」
私「じゃ明日、先生に聞いてみようね。」

娘は決意に満ちた顔をしていました。今までの志望校より難易度が上がるため驚きましたが、反対する理由もありません。翌日、塾の先生に、第一志望校を変えるご相談にうかがいました。

塾の先生に志望校変更の意思を伝えるが…

塾に到着すると、国社担当のベテラン先生の方から、
「聞いてますよ。むしろその方がいいです。」
と声をかけて下さいました。娘から先生に直接伝えていたのだそうです。

そして、理数担当のベテラン先生にも「あの~、志望校を…。」と言いかけると「その方がいいですね。」とのお答えが。
約1か月前に共学校を反対されたことがまるで嘘のような、先生方の晴れやかな表情を見て、私自身も「あ、この学校でいいんだな」とやっと心から受け入れることができました。 実は、この学校こそが、私が小2のときの成績表に偏差値を書き、小3で塾の先生から向いていると教えていただき、過去問まで買った学校、今通っている学校だったのです。

娘の意志を尊重し、受け入れ、同じ志望校(共学校)を一緒に追いかけてきた結果、回り道ではありましたが、元々の私の憧れであった学校が娘の第一志望校となりました。

幼稚園、小学校受験のときには、私が勝手に決めた園や小学校を受験させて失敗…。
「今度こそ!」という信念で、娘に寄り添い、応援することにした結果、娘は自分の力で納得のいく第一志望校を選ぶことができたのでした。それだけでなく、娘自身もかなり難しい学校であっても挑戦しよう!という勇気を持つことができていたのだと思います。 もし、私が、またもや野望に負け、自分の憧れを押し付けていたとしたら…。こんなにも前向きでチャレンジ精神に満ちた中学受験にはならなかったと思います。自分で決めて大きな願望になったからこそ、合格に向けて真剣に勉強に励むことができます。
「子どもの意志を尊重する、受け入れる」
中学受験の志望校選びにとって大切なことはこれだったのだなと実感しています。

たなかみなこ先生からのアドバイス

私は親子が「仲間」であることが中学受験で成功するために不可欠なテーマだと思っています。
この考え方はあまり一般的ではありませんが、アドラー心理学においては「子育ての心理面の目標」として掲げられています。
従来の親の役割は「教え、導き、管理する」という色合いが強かったと思うのですが、実は子どもたちはその関係性を望んでおらず、私たち親に「仲間」になってほしいのだとアドラー心理学では考えているのです。

例えば、あなたが仲間である友人に志望校選びについて相談されたとしたらどう答えますか? いきなりアドバイスをしたり、ダメ出しはせず、友人の意見を尊重し、寄り添うのではないでしょうか。
では、相手が子どもだったらどうでしょう。まだ子どもは経験が浅いため、自分のほうがよくわかっているし、失敗させたくないと対応が変わってしまうことがあるのではないでしょうか?
「仲間」になるためには、縦の関係(上下関係)でなく、横の関係(平等、対等の関係)となり、子どもより先により多く「尊敬」し「信頼」することが重要なのです。

●尊敬とは、英語のre-spectとして考えてみてください。「一人の人間として改めて見る。尊重する」意味です。
●信頼とは、その言葉の通り「無条件で信じること」です。

これを「親の方が先に、より多く」すること。これが親子が「仲間」であるために不可欠なのです。親子が「仲間」になると関係性がどう変わり、中学受験がどう変わるでしょうか? 私はうまくいきました。そして私がこのことについてお伝えしたお母さまたちも変わったと言ってくれています。
ぜひ、意識してお子さまを「尊敬」「信頼」し「仲間」となることで親子の絆を深めつつ、合格に向かってほしいと思っています。

5月のワンポイントアドバイス
たなかみなこ先生の心理学「傾聴【後編】」

今月は、勇気づけ子育てコーチのたなかみなこが、私自身、中学受験のサポートを経て、一番大事だったと感じている勇気づけスキル「傾聴」について前週に引き続きお伝えします。
「傾聴ってよく聞くってことですよね?それがどう勉強する子を育てるのに役に立つの?」という疑問の声も聞こえてきそうです。
私から見ると、ほとんどのお子さまは親や学校で勇気を「くじかれた」状態になっています。私たち親が傾聴をすることで、そんなお子さまの「本来の力」を取り戻すことができ、やる気を引き出すことができます。ですので、最大限の力を発揮してほしい!と切に願う中学受験において、必須のスキルだと考えています。

ちなみに、私の講座の受講生の方の実体験をお伝えすると…
●驚いたことに、塾の宿題に集中するようになった!
●自分でノートを取り出し、その日にやる勉強内容を書き出し、さらには1日を振り返っての反省までやってる!
●話の途中で、安心したのか何度も膝に乗ってきて、「勉強がんばるね」と意思表示をしてくれた!
というある意味奇跡が起こっているのです。

では、「傾聴」のポイントをお伝えします。
●自分の意見、つまり「主観」を横に置くこと。
●心を透明にして聴きに徹すること。
です。私たち親は、子どものことを案ずるがゆえに、ついつい自分の意見を言いたくて喋ってしまいますよね。しかし、その子どもを案ずる言葉が勇気をくじいてしまっているのです。

私は、普段から「傾聴」を意識できるようにと「傾聴美人」という言葉を使っています。よく喋る人よりも、よく話を聞いてくれる人は美しく見えるものですよね。ぜひ、傾聴美人になって、お子さまのやる気を引き出しましょう!

【傾聴美人な聴き方】
①目を合わせます。(お腹も向ける)
②笑顔、もしくは口角を上げます。
③基本は黙ります。あいづち、うなづき(「うんうん」「そうなんだ」など)を入れます。そしてお子さんの感情やキーワード、語尾を繰り返します。

お子さまとの温度を合わせるため、声の高低、スピード、大きさなどを合わせて、より積極的に話を引き出していきます。大切なことは、お子さまの意見を「裁く」ことのないように心がけること。せっかく話してくれたのに、否定されてしまうことで、心を閉ざしてしまうお子さまも。「あなたはそう思うんだね」と、話してくれたこと、考えて答えを出したことを認め、受け取ることができれば、もっともっと話をしてくれるようになります。
ぜひ「傾聴美人」を目指して、話をより多く聴き、勇気づけることで、お子さまのやる気を引き出していただきたいと思います。

6月のワンポイントアドバイスは「目標設定」です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は親が行う受験サポートです。

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