中学受験で親ができるサポートと最適な距離感は?

inter-edu’s eye
6月は、和田みゆき先生に中学受験で親ができるサポート方法を教えていただきます。お子さまに対して何をしてあげればいいのか悩む親御さんは必見です。

和田 みゆき先生サポートの質を最大限に高める方法
和田 みゆき先生

受験のサポートは戦略から

サポート方法1

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。

先月もお伝えしましたように、中学受験における親の在り方は、結果に大きな影響を与えるものです。そこで今月は我が家のサポートの中から、役割・内容・目標設定について、お伝えします。

私たち夫婦は親の役割を「受験合格サポート」という狭義ではなく、「夢を叶える手伝い」と捉えていました。受験に関わる直接的な勉強は塾で行い、家庭では、生活リズムや健康の管理、心づくりやメンタルの育成など、人間力を高め、夢を叶えるための土台作りを意識したのです。

塾と家庭の役割を明確にした理由は、親が勉強の成果を求め始めると、子どもは学校でも塾でも家庭でも、常に緊張状態に置かれ、気が休まらないですよね。そこで塾は「成果を出すところ」、家庭は「どんなあなたであっても応援するところ」と役割を分け、家では心身を休める場づくりを心がけました。

塾と家庭で分担した役割は、
塾:
●学力向上の計画と指導
●小さな成功を褒める
●厳しさを伝える
家庭:
●体調と生活リズムの管理
●休息やエネルギーチャージ
●心づくりとメンタルサポート
●受験全体の管理
●暗記学習・基礎学習の手助け

でした。

親だからこそできることは、勉強を教えることでも、不合格を避けるために「勉強しなさい」と先手を打って叱咤激励することでもありません。子どもの成長に寄り添い、ともに学びや挑戦を楽しむことにあると私たちは考えました。

家庭での勉強制限で勉強意欲が高まる

塾との役割分担が整い、これで安心して心のサポートができると思ったある日、塾から衝撃の発表がありました。「算数は入試のカギを握ります。お嬢さんは算数が苦手なので、しばらく授業は算数8割、国語2割で行います。理科と社会は行いません。そして単元は人に教えられるレベルに達するまで、次には進みません」。

驚くような戦略とともに、娘の改造が始まりました。この改造は、学力を上げる目的だけでなく「勉強のやり方を教えて欲しい」という娘の強い願いで始まりました。自習の進め方から見間違えない数字の書き方、ノートの取り方まで、さすがプロは勉強のコツをよくご存じでした。娘は毎日お風呂で、復習がてら勉強のコツや今日学んだことを教えてくれました。しかし理科と社会については全く勉強をしません。それも不安だということで、娘の発案により、塾と同じ学習漫画を家にも置くことにしました。ねらいは方法記憶を使った暗記の手助けです。

方法記憶とは、意識していないのに繰り返し聞いたCMソングを覚えてしまったり、スポーツの試合を何度も見るうちに、いつの間にかルールや選手名を覚えてしまう記憶法のことです。

こうして娘の受験生活は、明確な目標のもと、塾では勉強の仕方から改善され、家では楽しいことをする日々となりました。とくに「家で勉強をしてはダメ」というカリギュラ効果(行為を禁止されると余計にその行為をやりたくなる心理)は、勉強意欲を高めたように思います。

和田みゆき先生からのアドバイス

今回は、中学受験に必要な「理解力」についてお届けします。

知性を中心とした心の動きを解明する科学に認知科学という学問があります。この学問によると、物事の理解の仕組みは、新たな情報と自分の過去に得た情報を融合させることで、新たな情報として作り直すということだそうです。つまり新情報を理解するには過去の経験から得た情報が必要なのです。

中学受験において子どもたちは、常にこの仕組みを活用して新たな知識や理論を理解していきます。つまり過去に経験が多いほど、新情報を得た時に論理立てて考えたり推理力が働いて、理解力を上げられるというわけです。子どもの理解力を高めるためには、経験は不可欠なのです。

ですから私たち親のサポートは、問題演習という直接的な学びばかりに偏らずに、子どもが様々な実体験を通して、物事を考え、想像し、感じる機会を届けることも大切な役割のひとつなのです。豊かな想像力を育み理解力を上げるためには体験が必要であることを忘れてはいけないでしょう。

もう一つ親の役割として心得ておきたい「理解の仕組み」をご紹介します。理解しやすい話と言うのは、話の構造が見えやすいもので、初めに全体像(概要)の話があり、次に詳細説明があるという構造です。私たち女性は、初めに感情を伴った詳細説明をし、次第に全体像の話へと広げる傾向があると言われています。お子さまの理解力が足りないと嘆く前に、私たち自身の説明力を振り返ってみることも受験サポートには必要かもしれません。

効果抜群!“不安の可視化”

“見える化”で問題解決

サポート方法2

塾との連携が見えてきたところで、次に行ったのは、見える化(=可視化)という作業でした。不安解決から現状把握まで、様々な可視化を行いました。

私は考えても解決できない問題に時間を割かない性格なので、心配症とは無縁でしたが、娘の受験については不安を断ち切れませんでした。そこで行ったのは、不安や疑問の解決策「見える化」です。具体的には紙に書き出す思考術です。一つの不安要素に対して、いくつもの解決策を書き出します。すると原因やすべき行動が見えてくるので不思議です。「考えているだけでは現状は変わらない。行動あるのみ!」まるで霧が晴れるように気持ちが楽になりました。

実際に書き出した一例です。
●勉強しているのに成績が上がらない。このペースでは受からないのではないか→勉強のやり方を見直す
●塾に相談しても親身な回答をくださらない→転塾の検討。私も合格戦略に参加する
●不合格だったら可哀想→親が信じなくてどうする。私の意識改革

不安を可視化するということは、ある意味自分の弱い部分に向き合うことなので怖いのですが、実際にやってみますと不安の原因が、子どもの言動ではなくて、自分自身の気持ちや考え方にあることに気づけます。子どものせいではないのです。子どもを信じきれない自分の弱さを知って、改めるように努力しました。

思考の可視化は、物事の本質が見えやすいので、過剰な心配を一刻も早く手離せますし、次の行動を見つけやすいと思います。

私が行った5つのサポート

次は、我が家で行ったサポートの内容についてお伝えします。まとめると次の5つになるでしょうか。

①生活のリズムづくり(健康管理、時間管理)
②メンタルサポート
③目標達成
④学校情報収集
⑤学習管理

当時の私は講座や書籍、インターネットで情報を集め、そのやり方を真似しました。中でも「中学受験BIBLE」(現在新版あり)は参考になりました。親の役割について考えるきっかけになっただけでなく、肩の力が抜けたのと、親子で楽しい時間を過ごそうと思えた書籍でした。

私たちは、家で勉強をさせない方針でしたが、娘の希望により夏休み以降は、塾で行う新たな知識の補足として、暗記科目の手助けを始めました。本来であれば暗記学習よりも論理力の育成を行いところではありましたが、中学受験に必要なことですから仕方ありません。

どうせやるなら楽で楽しい方法がよいので、学習漫画や替え歌づくり、鶴の恩返し法、五感記憶術、4回転記憶法(当時は3回転記憶法でした。科学の発達により現在は4回転を推奨)など、前述の方法記憶のように、記憶の仕組みを使った、暗記学習をしました。

メンタルサポートでは、私が徹底してポジティブ発言を心掛けました。どんな時でも合格を信じ、ポジ変換した発言をしました。またイメージの力が与える効果も大きいので、中学生活を想像できるようなサポートもしました。学校のグッズに未来日記、在校生の楽しい学校ライフの情報を集め、なりきり中学生にもなりました。

和田先生からのアドバイス

親ができるサポートとは、「環境をつくること」と「合格のための戦略」ではないでしょうか。

「環境をつくること」とは、子どもが受験勉強に集中できる安心で安全な空間づくりと、親の関わり方を指します。 環境づくりと聞いて、部屋の整理整頓や食事や音に気を配るご家庭は多いのですが、まずは子どもにとって安心で安全な「場づくり」をしたいですね。 戦争下では、命を守るのが優先で勉強どころではありません。それと同様に、夫婦喧嘩が絶えなかったり、常に叱られたり口出しをされたり勉強を見張られたりする環境では、いつ飛んでくるかわからないママの砲弾が怖くて、落ち着いて勉強はできません。

受験は親子で挑むものですが、子どもが一人で歩んでいく人生の始まりでもあるのです。受験勉強を通して、自分の人生を考え、判断・決断ができる環境をつくることも大切です。

「合格のための戦略」とは、受験生と親、場合によっては塾や家庭教師が三位一体となり、合格する戦略を練ることを指します。 例えば「親は関わらずに子どもに任せる戦略」もあれば、「親がレールを敷いて進める戦略」もあるでしょう。また親子で「目標を設定して達成する戦略」もあれば「塾にお任せする戦略」もあります。何も考えずに入試当日に向かうことが一番の後悔に繋がるので、この機会にぜひ親子で受験戦略について考えてみてください。

ご家庭で考えた戦略がお子さまにとっての正解です。

6月のワンポイントアドバイス
和田みゆき先生の心理学「目標設定」

今月は家庭教育家の和田みゆきが、目標設定と目標達成する受験法についてお届けします。

みなさまは第一志望校に合格できる受験生の数をご存知でしょうか?
実はたったの3割です。7割の子どもたちは第二志望校以下に進学しています。我が子には3割に入って欲しいですよね。 総務省統計局の人口推計を基にしたある調査によると、東京都在住の小学6年生約10万人のうち、中学受験をするのは約2.5万人で、そのうち第一志望校に合格できるのは3割約7,500人。さらに御三家校並びに超難関大学付属共学校に入学できるのは、男女合わせて1割、約2,500人なのだそうです。

一生懸命勉強して臨んだ中学受験で、約7割の子どもたちが第一志望校以外に進学しているという事実。子どもたちのそれまでの頑張りと、合格したかった思い、達成できなかった悔しさを想像すると、心が締め付けられます。

実は娘も私もこの悔しさを味わいました。第二志望校に2回落ち、3回目で合格するというありがたい経験をさせていただきました。悔しさの経験は財産ですね。人生の原動力にもなっていると思います。

さて質問です。歴史上の偉人や偉大な経営者、オリンピックの金メダリストなどのスポーツ選手や監督・コーチなどは、成功を偶然手にしたのでしょうか?いいえ偶然ではありません。そこには様々な戦略があるのです。初めに「成功する」ことを決め、次に成功するための計画を立て、実行・修正を繰り返すという行動をし続けていたのです。この「成功ストーリーを描き、実践する」という成功法は、中学受験にもおおいに活かせます。

従来型の中学受験は、子どもの学力に合わせた志望校とチャレンジ校と呼ばれる子どもの学力より少し上の学校を志望校にしました。私が提唱している「成功する中学受験」では、まずはじめに子どもが通学したい学校を第一志望校に設定(目標設定)し、合格までの成功ストーリーを描きます。次に必要な学力を身につける計画を詳細に立て、計画に合わせた行動を日誌につけることで、日々改善しながら継続をしていく受験法です。そして親や先生は、横で応援することで、子どもを孤立させず仲間として加わるので、信頼関係も増すのです。また目標とは別に目的を細かく設定することで、受験する意味を見失うこともありません。

模擬試験の合格の可能性が0%でも、第一志望校でやりたいことがあるならば、目標設定をして細かな行動計画を作り、確実に実行していくことで、逆転合格の可能性は高まります。娘の場合もそうでした。塾の先生と私たち両親が、全力で戦略を考え、PDCAサイクルを回しながら、学習内容の改善を重ね、娘の合格を信じ盛り上げ続け、逆転合格となったのです。セルフイメージを高めながら、あきらめずに寄り添い続けることが目標達成の勝因であったと思います。

娘の合格後、3年半にわたり個別指導塾で、また約8年間行っている個別サポートで、目標設定と目標達成メソッドの再現性を検証しています。

ぜひ、みなさまも目的と目標を決め、細かな計画を立てて実行し、お子さまの夢を叶えてあげてください。

7月のワンポイントアドバイスは「共感」です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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次回は夏休みの過ごし方【前編】です。※6月は1回のみの掲載になります。

座談会参加者募集中!

「ママコ・ネクション」では、和田先生や、たなか先生によるレクチャー会と座談会を開催予定です。中学受験を通し、悩んでいることについてアドバイスを受けることもできます。ぜひご参加ください。

※現在受付けておりません。次回をお楽しみにしてください。