7月のテーマ「中学受験の夏休みの過ごし方【前編】」

inter-edu’s eye
今月は、和田みゆき先生、たなかみなこ先生に「夏休みの過ごし方」というテーマで、ご自身の経験に基づくアドバイスをうかがいました。学力を上げる方法や、宿題への取り組み方などを2週にわたりご紹介します。

和田 みゆき先生学力の向上よりも最優先ですること
和田 みゆき先生

子どもは夏休みはたくさん遊ぼうとするもの

夏休みの過ごし方1

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。

まもなく夏休みですね。夏休みはまとまった時間が取れますから、効率良く効果的な勉強をして、学力の向上を図って欲しいものです。しかし私はあることを最優先で行いました。それはあきらめない気持ちを作る「自己効力感を育てること」でした。 メンタルの強さがあれば、苦難を乗り越えられます。そして強さを育成するには、小さな成功体験を積み重ねる必要があり、時間がかかります。本格的な受験勉強の前にメンタルの強化をしようと思いました。

そこで7月の連載は、前編で「我が家の夏休みの過ごし方とその結果」。後編で「諦めない気持ちを作る“自己効力感の育て方”」をご紹介します。

さて6年生の夏休みといえば、記憶の定着や苦手分野の克服、そしてそろそろ志望校の過去問を解く時期に入ります。塾の夏期講習と自宅学習で8時間位勉強するイメージでしょうか?

私は娘にどんな夏休みを過ごしたいのか尋ねました。すると娘は「勉強もするけど、夏休みだから遊ぶ」と言いました。受験生ですよね?と思いましたが、その時1つの心理学の理論が頭をよぎりました。それはアメリカの心理学者マズローが唱えた欲求五段階説です。自己実現欲求を持つには、自己承認欲求が満たされておく必要があるという理論です。娘の要求が承認されれば、より一層自己実現欲が高まるのではないかと考えたのです。

夏休みの過ごし方8つのポイント

「夏休みはね、天王山と言ってとても大切な時期なんだよ」分かったようなことをいう娘は、夏休みの計画をプレゼンしてくれました。平日は塾が勧める授業を全部受講し、日曜日は勉強せずに遊ぶ日にしたらどうかというのです。しかし娘が通うのは個別指導塾です。毎日個別授業を受けるとなると、恐ろしい金額になります。しかし娘の要望もある程度受け入れてあげたい。そこで私たちは、娘と8つの約束をして天王山を迎えることにしたのです。

①夏休み明けの模試の目標は、平均偏差値58
②勉強は、塾の自習室で行い、家では簡単な暗記学習のみ
③平日は、9時~21時まで塾滞在
④自習内容は、事前に各教科の先生と立てた計画に基づいて行う
⑤自習内容は、「予定と実績」にわけ必ず日誌につける。できなかったものは翌日に行う
⑥一日の始まりは、学校生活同様に6時起床で、計算・漢字・塾語・慣用句・文学史・社会と理科の暗記
⑦一日の予定が終わったら、それ以上勉強はしない
⑧日曜日は勉強をしない

勉強をする時間としない時間のメリハリ、授業と自習のメリハリ。つまりONとOFFの自己管理をさせました。

自習室学習は娘に合っていました。分からない問題はすぐに質問できますし、何よりも目的が同じ仲間と一緒に勉強ができます。親と先生から適度に距離ができるのも、楽しかったようです。夏休み明けには自己管理能力・タイムマネジメント力も上がりました。そして毎日12時間の夏休みの塾ライフを終えてみた結果、2教科偏差値は60を超え国語は67になっていました。

和田みゆき先生からのアドバイス

夏休みは成績に繋がるよう、親としては、効果的で効率良く過ごさせたいものです。

でも考えてみてください。子どもたちは受験生である前に小学生であり、多感な11歳、12歳の子どもです。勉強だけに費やすのは無理です。お母さまが力を抜いて笑うことでお子さまの気持ちは楽になります。例えば受験生として接する時間、小学生の可愛い我が子に接する時間と意識してみてはいかがでしょうか。成果を求めない時間を作るのです。料理を作ったり工作をしたり、受験や成果を手放すことに意識をおいてみるのです。

ただでさえ、夏休みは親子が長い時間顔を合わせるので、日頃以上に、ダメなところやできないところに目がいきがちです。もしも「休める成績じゃないでしょう?何休んでいるの!もっと勉強しなさい!キーッ‼」って感情的になってしまったら、後で謝りましょう。人は感情で動く生き物で、理性ある大人でもときには間違った対応を取ることもあることを教えたと思えばいいだけです。謝ることを伝えるよい機会を持てたと考えましょう。

またあえて就寝前に一日1個以上、頑張ったところを褒めてみましょう。明日のやる気に繋がるはずです。

もしお子さまのモチベーションが下がってしまったならば、志望校見学にいきましょう。生徒さんのイキイキと部活動に励む姿を見たら、気持ちは上を向くのではないでしょうか。

この夏休み、受験生としても小学生最後の夏休みとしても、ポジティブに過ごしていきましょう。応援しています!

たなかみなこ先生夏休みの宿題は最終日に
たなかみなこ先生

理想と現実は違うもの

夏休みの過ごし方2

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。前回の記事では「志望校の選び方・模試の捉え方」についてお伝えしました。今月は、夏休みを親子でどう過ごしたか?を振り返りながらお届けして参りますね。

まずは、学校の宿題についてです。公立小に通っていた我が家の娘。当然、夏休みの宿題は、かなりのボリュームがありました。定番の読書感想文に、調べる学習コンクール、植物の観察、計算ドリル、などなど…。そして、毎年のあるあるとして「夏休みの最終日は徹夜で宿題を仕上げる」というハードなイベントがやってくるのでした。もちろん夏休みの前には、必ずこんな会話があるのもお決まりのパターンです。

娘:「今年の夏休みは始まって10日くらいで全部の宿題をやっちゃう! 夏期講習もあるし、夏合宿もあるしね。」
私:「そっか、早めに終わらせちゃうと後がラクだもんね。」

ですが、遊びや塾の勉強を優先するため、結果的には毎度おなじみのハードなオチを迎える夏休みが小6まで続きました。毎年、我が家の夏休みはこんな感じだったものの、私は、娘が2歳半のときから子育コーチであったため、「宿題を手伝う」ことはせず、見守ることに徹しました。中には「塾の勉強が大事だから自由研究はママがやるのが当たり前」というご家庭もありましたが、幸せな自立を目指して子育てをしてきましたので、その軸がブレないように、娘に任せる!と心に決めて踏ん張りました。

自ら勉強するようになるにはどうすれば?

私の夏休みの目標は、「信じて任せる夏休み」。とはいえ、「中学受験をする人の姿勢としてそれは一体どうなの!?」と思う日々も多々あり、悩ましい夏休みであったことも事実です。とくに小5の夏休みまでは、娘がダラダラする日も多く、メリハリのない毎日にイライラしたことも1度や2度ではありませんでした。前編の今回は、そんなイライラ満載だった小5の夏休みについてお伝えしていきます。

どのご家庭でも同様かと思いますが、我が家でも小5の段階では、「中学受験で合格を勝ち取る!」などという自覚はまだなく、遊び優先、自分のしたいこと優先の夏休み。これをどう「やらせるモード」でなく「自ら勉強するモード」に勇気づけるか?私は悩んでいました…。

そんな矢先に、ちょうど娘の仲の良い塾のお友だちのママから「夏休み、図書館で一緒に勉強させませんか?」とのご連絡をいただき、娘に提案したところ大喜び! 最初だけどちらかの親が送迎とお昼の手配をしながら様子を見ていたのですが、それ以後は、「今日はどこの図書館行く?」と二人で相談しながら行動できるようになりました。この「図書館でお友だちと勉強する」という経験が、自習室に自主的に行くことや、自分で約束をして、お友だちと図書館、カフェなどで一緒に勉強する小6の夏休みの土台となったようでした。(後編に続く)

たなかみなこ先生からのアドバイス

子どもが「自ら考え自分でできる」ようになったら、どんなにかラクでしょう?

「宿題はやったの?」
「週末テストじゃない?準備してるの?」
「この間違えた問題、解き直ししてないじゃない!」
そんな声かけはしたくない。けど、声かけしないと動かない…。
そういうお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?

ですが、ここで考えてみてください。上記のような声かけを私たち親もされたとき、はたして勉強を進んでやりたくなるでしょうか?
「今やろうと思ったのに。」
「テストがあることくらいわかってるよ!」
「解き直ししなくてもできるようになってるのに…。」
こんな風に感じて、なかなかやる気にはならないのではないでしょうか?

では、どのように声かけをすればいいのでしょうか?私が実際に行い、もっとも効果があった声かけは、勇気づける声かけです。勇気づけとは、アドラー心理学育児の心理面の目標である「私は能力がある」「ママは仲間だ」と子どもが感じる対応のことです。

例えば、「できていないこと」に注目せず、今までの成功体験や「できていること」に正の注目をすることが大切です。
●「この間の日曜日さぁ、自分から算数がんばってたよね。で、結果、テストの点数も上がってたよね? 今日はどんな風に頑張ろうと思ってる?」
●「最近、気づくと一人で頑張ってるよね。ママも頑張らなくっちゃって思うよ。今日は何をやろうと思ってる?」

この声かけは、あくまでも参考です。一人ひとりお子さまは違っていますので、テンプレートとして捉えず「私は能力がある」「ママは仲間だ」がお子さまに伝わる言葉を心がけながら、オーダーメイドで伝えてみましょう!

7月のワンポイントアドバイス
たなかみなこ先生の心理学「共感【前編】」

今月は、勇気づけ子育てコーチのたなかみなこが、「共感」についてお伝えします。
悩ましい中学受験期「どうしてこの子はやる気を出さないのかしら?」とため息をついたりイライラしたり…。 誰しもこのような経験は1度や2度ではないと思います。もちろん私もそうでした。 「どうしたらやる気を引き出せる?」そんなお悩みをお助けするヒント、アドラー心理学における「共感」を今週と来週の2回に渡ってお伝えしていきます。

一般的な「共感」とは、相手と感情を共有することです。
「わかる!」「共感した!」「辛かったよねぇ。」
など、相手の気持ちに寄り添うことですね。

ですが、アドラー心理学ではちょっと違います。
もちろん「相手の目」となり「相手の耳」となり「相手の心」で考えることではあるのですが、いわゆる気持ちを共有するという浅いレベルではなく、その個人がなぜその考えに至ったかという「考えの筋道」までも理解することを言います。

人にはそれぞれ、私的な価値観(アドラー心理学では「私的感覚」といいます)があり、「人によって異なる”私的感覚”に基づく筋の通った行動」を「私的論理」といいます。このように相手の「私的論理」まで理解することを、アドラー心理学では「共感」と言うのです。前者の一般的な「共感」とは見えている世界が変わっていくことが分かっていただけるでしょうか?

例えば、朝起きてこないとき、お子さんは「どういう筋道」で動いているのでしょうか? もしかしたら「間に合えばギリギリでもよい」という「私的感覚」に基づいて、布団にい続けているのかもしれません。けれどもあなたの「私的感覚」が「余裕をもって行動すべき」だとすると、「何も考えず、ふざけているのだ!」と思い、「早く起きなさい!」と声を荒げてしまうかもしれませんね。

ですが、「この子はギリギリでも間に合うという筋道で動いてるんだな」と理解できたら、対応はどう変わるでしょう?
「おはよう!」とお子さまを信じつつニコニコして任せることができるかもしれません。
このように私的論理を意識してしてみること、つまり「共感」してみることで、もっとお子さまを理解でき「どうしたらやる気が出る対応ができる?」と工夫することができるのです。(後編に続く)

次回は共感【後編】です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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夏休みの過ごし方【後編】です。

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