8月のテーマ「体験学習と受験勉強【前編】」

inter-edu’s eye
今月は、和田みゆき先生、たなかみなこ先生が体験学習と受験勉強というテーマで、2週にわたりアドバイスをうかがいます。体験学習が受験勉強にどういう影響を与えるのかなどご紹介します。

和田 みゆき先生体験学習と受験勉強の関係とは
和田 みゆき先生

受験期の体験学習の捉え方

夏休みの過ごし方3

みなさま、こんにちは。「才能開花で目標達成」をテーマに、子育てアドバイスをしている家庭教育家の和田みゆきです。

先月の夏休みの過ごし方に続き、今月は夏休みならではの体験学習に焦点をあて、受験勉強との関連性について、お届けいたします。

夏休みを前に私たちは悩んでいました。それは娘の成績がままならない状況ではありましたが、夏休みに行われる小学生向けの体験教室には参加してほしかったからです。

入試の先の人生を考えると、小6の夏休みに受験勉強だけさせるのはもったいないですし「最も素晴らしいことは、いち早く正解を出すことである」と感じてしまう危険性もあると思いました。「勉強があるから」という理由で、家の手伝いをしなくなったり、「自分のことだけをすればいい」と考える人に育っては、他者のこと、社会と自分のバランスを考える力が弱まるように思ったのです。

小6の夏休みに未完成分野の勉強をしたり長時間勉強をして成果を出すことは、とても大事なことです。立派なことです。しかし成果を出すその土台には人格が必要です。豊かな人間性がないとどんなに能力があっても幸せにはなれないと思うのです。

長期間家で過ごす夏休みは「自分のことだけをすればよいという価値観」が身につきやすいです。そうならないように「実体験ならではの発見」や「初対面のお友達と共同作業できる社会性を育てる」機会を作りたいと私たち夫婦は考えていました。

未来教育につながる体験学習

「体験学習と受験勉強。どちらも経験させたい」夏休みの過ごし方を迷っていた私は、娘に聞いてみました。すると娘は「平日は勉強! 日曜は遊びだけ!」「日曜開催のイベントや面白い実験の情報を集めておいて欲しいの。でも調べてくれるだけでいいからね。後は(塾の)先生と決めるから」と言うのです。

悶々としていた自分が可笑しくなるほど、娘は自分の考えを持っていましたし成長していました。自律し始めた姿がまぶしいようなちょっぴり寂しいような気持ちになったことを覚えています。

その後娘は宣言通り、塾の先生方と相談して、博物館での歴史や科学の体験をしました。おそらく苦手分野だったのだと思います。娘の夢の実現に向けて協力して下さる先生方と強い絆は、娘の強い支えになっていました。

話は変わりますが、体験教室を探す中で私自身が楽しめたことがありました。それは体験教室には流行があり、教育界の未来予測やニーズを知ることができたことです。

夏休みの体験教室の種類は、自然体験をはじめ、家ではしにくい専門性の高いものや職業体験まで実にさまざまです。昨今の流行はプログラミングとロボット作りでしょうか。英語を使ったアクティビティが流行ったときもありました。

これらの教室は、日本の教育方針が反映されやすいので、中高進学後に必要とされる能力を知ることもできます。そんな視点を持って体験教室選びをすると、視野が広がるので面倒な気持ちなど吹き飛び楽しく感じました。

和田みゆき先生からのアドバイス

夏休み明けの声で多いのは「夏休みは、受験勉強だけでなく体験学習もさせたかったのに、塾と学校の宿題に追われて何もできなかった」というものです。

大丈夫ですよ。それはお子さまにとって必然必要ベストな結果なのですから。どういうことかというと、全ての出来事は必要なタイミングで起こるのです。予定通りに進まなくても、予想外の出来事が起こっても、何かの気づきや学びのために起こっていると思うと、受け入れやすくなります。投げやりに思われるかもしれませんが、私は自分の解釈を変えるだけで未来が広がると思っているので、いつもストレスフリーのポジティブ思考で受け止めたいと思っているのです。今週と来週のアンガーコントロール欄で思考の理論に触れましたので、ぜひご覧ください。

偉そうなことをお伝えしている私ですが、娘の受験サポートでは、数多くの失敗をしました。とくに体験学習では成果を求める癖が出て、娘に指摘され気づかされることも多かったです。

ある体験学習に参加した晩のことでした。参加費が高かったので私は成果を定着させたい思いが高まり、復習を促しました。すると娘は「じゃあ、おか(私のあだな)はレストランで食べたものを家ですぐ再現してるの? 自分ができてないのに私に言わないでよ!」わかるようなわからないような返答でしたが、本質だと感じ素直に謝りました。

子どもは本質も親の行動もよく見ています。受験は夢へのチャレンジなので、そこを忘れずに応援していきたいですね。

たなかみなこ先生受験勉強はプロにお任せする
たなかみなこ先生

勉強は娘の課題であり、お仕事

夏休みの過ごし方4

みなさま、こんにちは。「最高に楽しい中学受験を叶える!」勇気づけ子育てコーチのたなかみなこです。

前月は「中学受験の夏休みの過ごし方」について書かせていただきました。今月のテーマは「体験学習と受験勉強」です。

私は、2歳半から娘の幸せな自立を目指して子育てしてきました。しかし、幼少期、とくに小学校受験では、隣にはりついて受験勉強を見ていたものの合格にご縁がなく、それ以後は、「教えることはプロにすべてお任せする」というスタンスに切り替え、私自身は、「余計なことはしない」と決め、ひたすらコーチに徹してきました。

そのため、私が行ったことといえば、小4まで予習の丸つけ、小6で社会の暗記のため問題を出すこと。この二つを娘から頼まれて手伝っていた程度で、「今日何時から宿題やる?」や「明日塾に行ける?」という声かけ、保護者会の出席や面談、小6のお弁当届けが私の主な仕事でした。
それ以外、つまり勉強関連はすべて塾にお任せし、家での勉強スケジュールや何をどれだけやるか?についても娘に任せ、親が把握、管理していたことはありませんでした。 本人の希望で小1から通塾を始めたということもあり、「勉強は娘の課題である」として「あなたのお仕事だもんね。」とお任せするようにしていたのです。

もちろん、いつも成績表は見せてくれていたので、一緒に喜んだり、今後の課題を話し合ったり、目標設定をコーチングで手伝ったりしました。また、成績表をファイルするのは私の役目でした。

中学受験の記述に活きてくる訓練

他に私がしたことといえば、お世話になっていた塾主催のお申込みが殺到する体験学習行事、
●実験教室
●文豪に触れるお散歩の会
●歴史博物館ツアー
を確実に予約すること! 自ら学びたいという想いを叶えるのは親の役目と考え、時報を聞きながら申込みをしたり、家族では、娘が興味関心を持て、且つ、勉強に役立ちそうな場所に積極的に出かけることを心がけていました。
例えば、
●水族館(沖縄の美ら海水族館、鹿児島のいおワールド 、品川水族館など)
●博物館(江戸東京博物館、日本科学未来館、リスーピアなど)
●工場見学(ビール工場)
●社会科見学(国会議事堂)
●キッザニア(新聞記者)
●プログラミングキャンプ
などです。

そこで大事にしていたのは、見学でも体験でも「あなたはどう思う?」「あなたはどう考える?」など、必ず「意見」を出してもらうこと。親の意見の前に、まずは娘の意見を聴くことを心がけ、誘導などをしないよう気を配り、その後に親子でディスカッションをしていました。この経験は、中学受験の記述においても大切な「自分で考える」ためのよい訓練になったのではないか?と思います。

いくら親が知っていても、子どもの「知りたい」をくじかないよう、上から目線にならないように質問するにとどめること。知識をひけらかすことは避けて「これはどういうことだと思う?」と思考力、想像力をしっかり働かせて考えられるようにサポートすることで、体験学習を通し自然に娘の力を伸ばすことができたのではないかと思っています。

たなかみなこ先生からのアドバイス

体験学習において大切なことは「学びっぱなしにしない」ことだと思います。「楽しかった!」「面白かった!」だけでは、学んだとは言えないのではないでしょうか? そこで、親のコーチング力(傾聴力&質問力)の出番です!

まずは傾聴。
大事なポイントは、お子さまの話の途中、絶対に遮ったり、否定したりしないことです。
最後まで「うんうん、そうなんだ~、へぇ~、そう思ったんだね~。」というあいづち程度、またはバックトラッキング(オウム返し、リフレインともいいます)の技法で、言葉や感情を繰り返します。

そして質問をしましょう。
●「何が1番心に残ったかな?」
●「もしもう1回観るとするならば、何を観に行きたい?」
●「○○についてどう思った?」
●「あなただったらどうしたと思う?」
●「今日の見学は100点満点中、何点だった? その理由は?」
などなど、体験を学びに変える質問をしていきます。

今の時代、「正解を言わなければ!」という思い込みや風潮がありますが、とくに中学入学後は、必ずしも正解ではなく「あなたはどう思ったのですか?」という自分の文章を求められる課題が多いと娘から聞きました。親がコーチング力を身につけることで、こうした問いへの対応力も伸ばすことができます。この力は恐らく、大学入試改革後の試験にも生きてくると思います。

愛するお子さまのコーチとなって、傾聴力&質問力で、思考力や言語化する力をどんどん伸ばしていきましょう!

8月のワンポイントアドバイス
和田みゆき先生の心理学「イライラ対処法【前編】」

夏休み後半になると、学校の宿題や受験勉強の成果が気になるものです。そんな時に宿題そっちのけで遊んでいる我が子にイライラしてしまうことはないでしょうか。

実はこのイライラする気持ちは、お子さまが原因ではないと言ったら驚きませんか?今月は2週に渡り、イライラする心の仕組みと対処法についてお伝えします。

心理学の論理療法に臨床心理学者のアルバート・エリスが唱えたABC理論というものがあります。「出来事⇒受け取り方⇒感情・結果」という考え方です。わかりやすくいうと、私たちは出来事に反応して感情が生まれるのではなく、出来事の受け取り方や感じ方から感情を生んでいるという理論です。

先の事例でいうと、お母さまは宿題をせずに遊んでいる出来事にイラついたのではなく「宿題をすべきなのに遊んでいる。夏休み中に終わらないのではないか?」等のお母さまの考え方・受け取り方があったから、イライラを生んでしまったのです。

「塾で疲れているから好きなことをする時間も大切」と思ったならば、出来事は同じでも受け取り方が変わるので、結果である感情も変わるでしょう。

理屈を理解しても簡単にイライラの解消はしないかもしれません。そんなときはアンガーコントロールで対処しましょう。詳しくは次週お届けしますが、先に1つご紹介しますね。

それは、6秒ルールです。

怒りのピークは6秒なので、怒りが生まれたらまずは数を数えて怒りをやり過ごす方法です。冷静脳に戻るまでの時間稼ぎができます。

次回はイライラ対処法【後編】です。

和田みゆき先生

和田みゆき先生 プロフィール

家庭教育家。家庭教育アドバイザー。家庭教育師。学校法人八洲学園、学校法人文理開成学園理事。
娘の幼少中受験経験あり。とくに中学受験では独自の子育てメソッドを用い、直前模試で偏差値20離れていた最難関共学校に合格。受験5日目まで合格通知なしという経験をするが、メンタルトレーニングで培った強い精神力でリベンジをし、最終的に受験校全校より合格をいただく。その経験から、2010年より各種心理学、脳科学を活かした子育てメソッドと受験サポートプログラムを中学受験生保護者に提供。現在まで2000人を超えるサポートを行う。 他にも大手個別指導塾や小学校での保護者向け講座や、企業にて人材育成研修を提供している。
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たなかみなこ先生

たなかみなこ先生 プロフィール

娘が2歳半のときにコーチングでの子育てを開始。毎日、娘をコーチングで育ててきた自称「リアル子育てコーチ」。幼稚園受験、小学校受験を経験するも、コーチングスキルも道半ばで、誘導的になってしまったこともあり、敗退。その後、日々の娘との対話により、コーチングのスキルを高め、さらにアドラー心理学の「勇気づけ」を学び実践することで、独自の子育てコーチング「勇気づけ子育てコーチング」を確立。娘を女子御三家合格に導くだけでなく、中学受験ママを支援し、御三家を含む多数の第一志望校、難関校合格をサポート。「中学受験で子どもと一生の絆ができた」と好評を得る。 元ANAグランドスタッフであり、大学・専門学校でキャリア教育を行う講師でもある。
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次回は体験学習と受験勉強【後編】です。

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「ママコ・ネクション」では、和田先生や、たなか先生によるレクチャー会と座談会を開催予定です。中学受験を通し、悩んでいることについてアドバイスを受けることもできます。

※ただ今準備中です。次回のご案内までお待ちください。