中学受験、世帯年収いくらで私立中高一貫校は可能なの?

inter-edu’s eye
私立中高一貫校へ通わせるには、年収1,000万以上でないと無理!」中学受験でよく聞く話ですが、果たして本当なのでしょうか? 昨今の厳しい経済状況の中で、何とかやりくりして通わせているという声もよく聞きます。
そこで、中学受験を目指すご家庭の世帯年収はいくらぐらいなのかをアンケートし、文部科学省「子供の学習費調査」のデータと照らし合わせて検証してみました。さらに、私立中高一貫校へ通えるかどうかの判断基準や、首都圏の自治体の私立高校授業料実質無償化、特待生制度など、教育費を抑える方法も見ていきましょう。

世帯年収1,000万以下は45%、意外と多い!?

Q. 世帯年収はいくらぐらいですか?(中学受験生のご家庭)

世帯年収はいくらぐらいですか?

中学受験を目指すご家庭を対象にしたインターエデュのアンケート結果は、世帯年収1,000万円以上~1,500万円が一番多く30.6%です。
1,000万円を境に見ると、1,000万円以上が55.7%、1,000万円以下が44.2%となりました。半数近くが1,000万円以下であることから、年収1,000万円以上でないと無理、ということではなさそうですね。

続いて文部科学省のデータを見てみましょう。

平成28年度子供の学習費調査(私立中学のご家庭)

世帯年収はいくらぐらいですか?
文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」を元にインターエデュにて作成

文部科学省が全国の保護者を対象に行った調査の中から、子どもを私立中学に通わせているご家庭の世帯年収を抽出すると、1,000万円以上が51.9%、1,000万円以下が48.1%と、インターエデュのアンケート結果と比率がほぼ同じであることが分かります。800万円以上で見ると、アンケート結果では78.2%、文部科学省の結果では70.3%です。

800万円以上が7割~8割を占めていること、また、2017年より始まった東京都の私立高校授業料実質無償化の制度では、対象が世帯年収760万円以下となっていることからも、800万円が一つの目安にもなりそうです。

しかし、家庭それぞれで、年収800万円以上でも住宅費・食費・娯楽費などにお金がかかっていれば当然教育にかけられる割合は少なくなります。またお子さまの数でも異なります。では判断基準をどこに置いたらよいのでしょうか。

1人当たり月額11万円の教育費を捻出できるかどうか

私立中学校の学校教育費の合計
1人当たり月額11万円!

文部科学省「平成28年度子供の学習費調査の結果について」(3)中学校(図 4-2)より

文部科学省の調査によると、私立中学校の学校教育費の合計(授業料、修学旅行、学校納付金、実習材料費、通学関係費等を含む)は1年間で、997,435円、約100万円との結果が出ています。

それ以外の教育費として、補助学習費(自宅学習や学習塾、家庭教師)で204,000円、その他の学校外活動費で約118,000円、学習費総計で約132万円となり、月にすると約11万円になります。

私立中学校の学校外活動費の合計
それ以外の教育費


文部科学省「平成28年度子供の学習費調査の結果について」(3)中学校(図 4-3)より

中学受験でかかる費用は、4年生で年間約40〜50万円、5年生で約60〜70万円、6年生で約100〜120万円、合計200~240万円ぐらいと言われています。「中学受験にかかるお金はどのくらい?」でのアンケート結果でも200~300万円がボリュームゾーンとなっています。

月額にすると、4年生で約4万円、5年生で約5~6万円、6年生で約8~10万円になります。6年生時の家計のやりくりが苦しいとなると、中学校でもっと苦しくなり、中学校と同じく11万円の教育費が高校でもかかるとしたら、収入を増やすなどの対策が必要です。

年収800万円前後のご家庭は、お子さまが中高生のときに毎月約11万円を捻出できるかどうか、シミュレーションしておきましょう。
※文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査の結果について」によると、私立高校の場合、学習総額費年間104万円、1か月当たり約87,000円となりますが、中高一貫校場合、中高と授業料が同額である学校が多いため、中学校のデータを採用しました。

「私立高校実質無償化」で、私立中高一貫校も目指せる?

東京都・神奈川県・埼玉県が最近、私立高校の授業料が実質無償になるよう補助額を拡充したことを受けて、中学受験を検討するご家庭も出てきたようです。首都圏の私立中高一貫校は、高校からの募集がない学校や、中学と比べると高校の偏差値が高い学校があることからも、中学校から私立に行かせたいと考える方も少なくないと思われます。では、制度を利用することを前提に、私立中高一貫校への進学した場合、家計負担はどうなるのでしょうか?

東京都にお住いのご家庭のシミュレーション

東京都では年収760万円未満の世帯が実質無償化の対象となります。制度を利用したときの支給金額は、国の制度と併せて、1年間最大449,000円(在学校の授業料が449,000円を下回る場合は、その金額が上限)、3年間合計で134万7千円、1か月あたり約37,000円になります。文部科学省のデータを参照にした教育費、月11万円が高校でもかかるとすると、月約73,000円が捻出できれば、子どもが高校生のときは何とかなる計算です。(「東京都『私立高校授業料実質無償化』で受験は変わる?」に詳しい説明があります。)

問題はお子さまが中学生のとき。高校のときと同様、月に約73,000円は何とかなりそうなご家庭であれば、残り37,000円をどう捻出するかです。車を手放す、祖父母に協力してもらうなど、3年間を乗り切る工夫を考えなければなりません。

ちなみに本制度、近隣の県の私立高校へ進学した際も利用できます。

神奈川県、千葉県、埼玉県の私立高校実質無償化は?

神奈川県、千葉県、埼玉県の補助制度は、東京都と比べると手薄になり、さらに在住県内の私立高校に進学した家庭のみが受けられる制度になっています。

【神奈川県】

神奈川県では、今年2018年の春から、年収590万円未満の世帯は実質無償になるように補助枠を拡大しました。県内私立高校の授業料平均、1年間最大432,000円(学校への納付額が補助額を下回る場合、納付額が上限額)が、国の補助である「高等学校等就学支援金」と、神奈川県の補助である「私立高等学校等生徒学費補助金」を併用することで、実質無償となります。さらに、入学金補助として10万円プラスで支給されます。

590万円から750万円未満程度の世帯年収のご家庭では、「私立高等学校等生徒学費補助金」から、年間74,400円(プラス入学補助として10万円)が、国の補助である「高等学校等就学支援金」からは年間118,800円が補助されるので、合計193,200円(プラス10万円)が支給されます。詳しくは、「『私立高等学校等生徒学費補助金』について」をご参照ください。

【千葉県】

年収350万円未満程度の世帯では実質無償になり、年収640万円以下程度の世帯では授業料が減免されると内容となっています。
条件によって減免の内容が異なるので、詳しくは「授業料減免制度のお知らせ- 千葉県」をご参照ください。

【埼玉県】

父母負担軽減事業として授業料や施設費等納付金が実質無償となります。「授業料軽減補助」では、年収約609万円未満世帯に対し、国の就学支援金と合わせて、県内私立高校の平均授業料378,000円までを補助し、授業料を実質無償化しています。条件によって補助の内容が異なるので、詳しくは「私立学校の父母負担軽減事業について」をご参照ください。

特待生制度や奨学金についても知っておこう!

特待生制度についても知っておこう!

高校からの補助制度は充実してきましたが、私立中高一貫校を目指したいご家庭の中学時の負担は悩みの種です。 そこで、特待生制度や奨学金の利用を検討するのも一つの手です。

特待生として免除される内容は、学校によって異なり、入学金のみの免除、1年間の授業料免除、入学金・施設設備費・教育充実費を含んだ免除、3年間の授業料免除などさまざまです。選抜方法は、一般入試を受け、特待生としての合格基準を上回った場合に特待生を出す方法と、「特待生選抜入試」で選ぶ方法の2パターンあります。成績優秀者として学校を引っ張っていく存在としての特待生のため、入学後の成績が著しく低下した場合には、免除されなくなるケースもありますのでしっかり検討することが大切です。

また、学校独自の奨学金制度があります。家庭の経済的事情により学費の支払いが困難になった生徒に対し、免除もしくは貸付で援助するものと、特待生制度と似た内容になりますが、成績優秀者に対し援助するものと、2パターンあります。

都県ごとの私立高校授業料補助制度および、特待生制度に関しては、「私立高校選びのポイント」 も併せてご覧ください。

「何を優先するか」先々のことも考えて、家族で話し合いを

お子さまが私立中高一貫校を希望したとき、お金の面で諦めさせるのは親としてもつらいところ。しかし、先行き不透明な時代、貯蓄がない状態は危険ですし、老後資金も必要です。少し家計のやりくりをすれば手が届くのか、まったく手が届かないのか、首都圏にお住まいの、特に年収600~800万円のご家庭は、しっかりシミュレーションしましょう。


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