6年生は今、何をどうやるべきか~教科別ガイド~【緊急連載Vol.2】

inter-edu’s eye
新型コロナウイルスの影響によって、中学受験生とその保護者に「受験勉強がうまく進められない」という不安が日に日に高まっています。特に来年受験を控えた6年生と保護者は「今何をすべきなのか」と毎日悩まれていることとでしょう。そこで、中学受験専門の個別指導教室SS-1の副代表、馬屋原吉博先生に「新型コロナウイルスの影響で2021年度入試はどうなるか?【緊急連載Vol.1】」に続き、6年生に向けたこの春以降の各教科の勉強の進め方について、具体的はお話をお聞かせいただきました。

こんにちは。
SS-1副代表の馬屋原と申します。

続いて、中学受験を志す6年生が春の時期に「何をやるべきか」を、教科ごとに具体的にお話ししていきます。

どこまでやるか・どうやるか

算数

どこまでやるか・どうやるか

これは全科目に共通することでもありますが、「理解」を伴った勉強ができているかどうかでこの先の展開が大きく分かれます。

目標とする学校のレベルが高く、ある程度お子さんの実力も伴っているのであれば、四の五の言わずに塾のテキストは全部やったほうが良いでしょう。

「家でテキストを進めるだけでも精一杯」というお子さまの場合は、確認問題だけ、もしくは塾から配信された動画で理解できる範囲だけでも構いません。その代わり、「理解の伴わない解法の単純暗記」や「なんとなく」解いている問題があるのであれば、それをできるだけ放置しないよう心がけましょう。

この時期、対面の授業が受けられないこと以上に怖いのが、テストがなくなったり、自宅での受験になったりすることで、正確な自分の立ち位置を知ることができなくなることです。

「理解の伴わない暗記」や「なんとなく」の学習は、「テストになるとできない病」の温床です。再び、外部でテストが受けられるようになったとき、予想外の急降下を招かないよう、根拠をもって解ける問題を1問でも増やしておきましょう。

保護者の方も時間の余裕はないかもしれませんし、素直に対応してくれるお子さんもあまりいませんが、家にホワイトボードなどがあれば、お子さんのことを「先生!」と呼んで「授業」をしてもらうのがいちばん理想的な学習サポートです。

国語

国語はこういった状況において、もっとも後回しにされがちな科目かもしれません。

とにかく漢字と語句の学習の習慣だけは失わせないようにしましょう。漢字と語句の学習量は、そのままお子さまの語彙の量、すなわち読解問題の得点力に直結します。この二週間でこの習慣が失われているのであれば、できるだけ早めに取り戻しましょう。

ご家庭だけで読解問題にチャレンジされる際は、一度解いた後でもよいので、できる限り「音読」することをオススメします。お子さんが読むのでも、親御さんと交代で読んでいくのでも構いません。お子さんが読んでくれるのを横で聞いているだけでも、意味を理解できている言葉とそうでない言葉が驚くほど分かるものです。

6年生にもなると音読を「幼稚」ととらえてやりたがらないお子さんも出てきます。ですが、国語で伸び悩んでいるお子さんの多くは音読が下手です。そして、音読は数をこなすことで必ず上手くなっていき、その分、黙読における読解の精度も上がっていきます。

志望校を考えたとき、記述までトレーニングする必要があるのであれば、まずは塾の先生を頼りましょう。塾の先生の添削も期待できないという状況が5月6日以降も続いてしまうようであれば、オンラインのサービスなどを別途検討したほうが良いかもしれません。記述の採点は、甘すぎると得点力が下がりますし、厳しすぎるとお子さんのモチベーションが下がります。難しいものです。

社会、理科(特に覚えるべき知識が多い単元)

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生徒さんからうかがった話を参考に、大手塾・かつ6年生の授業に限定して申し上げれば、動画のクオリティはともかく、動画内で扱われている情報は普段の授業とそこまで変わるものではないようです。クラスのレベルにあわせた複数の授業動画を提供できている塾は限られますが、回を重ねるごとにクオリティを上げていっている塾もあります。

そのため、やはりこちらも、まずは動画をしっかりと視聴し、テキストを消化することに挑戦してみましょう。保護者の方が使える時間も限られていることは承知していますが、多くの場合、「教えてあげる」よりも「一緒に学ぶ(この場合、一緒に動画を観る)」方が、より衝突せずに家庭学習を進めることが可能です。

現状での問題は、お子さんがどうしても動画やオンラインの授業を受け付けられないという場合です。保護者の方が「教える」ことができ、またお子さんがパパ塾・ママ塾を「受け入れる」ことができるのであれば、保護者の負担は増えるとはいえ、そこまで大きな問題は発生しないかもしれません。

問題なのは、それすら難しい場合です。

まず、どうしても前に進められない場合は、割り切って、ひとまず目先はなんとか算国だけでも進められないかを考える、という選択肢があります。ただ、この選択は、仮に5月6日が、休校・休塾が解除されなかった場合、大きなリスクになりかねません。

とはいえ、そもそも中学受験に向けて4科目を仕上げること自体が大きな負担となるお子さんもいます。少し後ろ向きの話に聞こえるかもしれませんが、もしその可能性があるのであれば、今の時期から、3科目~1科目で受験できる学校(最近、増えています)をリストアップし、お子さんを通わせることがイメージできるところがないかどうか、検討を始めるというのも案です。

また、そこまでではない場合、誰かに教わることができなくても、暗記だけならある程度進められるという状況であれば、「年」や「地名」などと割り切って、5月6日までは、単純暗記に集中するというのもありです。

暗記を推奨する提案は、主に同業者から批判を受けることもあります。ただ、1対1の個別指導教室の講師という立場から申し上げると、夏や秋以降、「暗記だけでもできている子」と「暗記も理解もできていない子」では、「なんとかしてあげられる」可能性が高いのは前者なのです。後者は仮になんとかしてあげられたとしても膨大な時間とコストがかかります。

ちなみに、「暗記はしていないけれど理解はできている子」は滅多にいません。本当に理解できている子はそれなりに知識も身についているものです。そういった意味では理解は暗記よりも重要です。

社会、理科(理解や計算の比重が大きい単元)

社会の「公民」や、理科の「天体」「力学」といった単元は、そもそも暗記で乗り切ることができません。

「公民」は、「間接民主制」や「議院内閣制」といった、一つひとつの抽象的な言葉の意味を理解しながら進めなければならない分野です。単純暗記ではすぐに行き詰まるだけではなく、前の内容を理解していなければ次の内容が理解できない傾向が強い分野です。

理科の「天体」や「力学」などの単元については言うまでもないでしょう。なぜそうなるのか、さまざまな事象の仕組みや法則の根拠を知らなければ、少し問題を変えられただけで対応できない受験生になってしまいます。

こちらも、まずは塾が配信している動画をしっかりと視聴し、テキストをこなすことができれば大きな問題は生じません。ただ、こういった分野に関しては、お子さんが塾の動画になかなか集中できない場合、有料・無料を問わず、より楽しく視聴できるように編集された動画が出回り始めています。無料の動画コンテンツは、塾のカリキュラムのように体系立っていないことがほとんどですが、特定の単元に関して検索して使う分にはそれなりの効果を発揮しますので、利用してみる価値はあるかもしれません。

今、大切なのは保護者のストレスマネジメント【緊急連載Vol.3】に続く~

馬屋原吉博(うまやはら よしひろ)
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1社会科教務主任。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。大手予備校・進学塾で、大学・高校・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可、という環境で中学受験指導に専念している。開成、灘、桜蔭、筑駒といった難関中学に、数多くの生徒を送り出す。

必死に覚えた膨大な知識で混乱している生徒の頭の中を整理し、テストで使える状態にする指導が好評。バラバラだった知識同士がつながりをもち始め、みるみる立体的になっていく授業は、生徒はもちろん、保護者も楽しめると絶大な支持を得ている。
著書に『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム)、『頭がよくなる 謎解き 社会ドリル』(かんき出版)、『中学受験 見るだけでわかる社会のツボ』(青春出版社)などがある。