【昌平中学・高等学校】 机上ではできない「学び」に出る Special Wednesday
「手をかけ 鍛えて 送り出す」をモットーにグローバル人材の育成に力を入れる昌平中学・高等学校(以下、昌平中高)。
そのプログラムは、国際バカロレアMYP(ミドルイヤープログラム)、 パワー・イングリッシュ・プロジェクト、 スペシャル・ウェンズディ、プロジェクト学習 の4つの柱からなっています。
前回の訪問記では、パワーイングリッシュ・プロジェクトの取り組みのひとつ「日本語禁止部屋」をご紹介しましたが、今回はスペシャル・ウェンズディに注目。
中学校教頭、名雲先生にお話をお聞きしました。
■前回の記事(全校生徒、英語が得意科目になる 「日本語禁止部屋」)を読む
■見て、聞いて、感じて、そして考える校外学習
― 直訳すれば「特別な水曜日」ですが、どういったものなのでしょうか。
1学期に1~2回、水曜日に校外で行う体験学習のことをいいます。
先日、中学3年は東京地方裁判所で裁判を傍聴したんですが、相当なインパクトがあったんじゃないかなぁ。実際に被告人を見るのも初めてなうえ、テレビドラマで見るような検察官と弁護士の言葉の応酬が目の前で繰り広げられているわけですから。
こういった本物を体験するのがスペシャル・ウェンズディなのです。この体験は後に行う模擬裁判のプログラムで活きてくるでしょう。
― 校外学習は1回ごとに完結するのではなく、次の学びに活かされるのですね?
実際に目で見て、耳で聞いて、心で受け止めて、そして頭で考えるのがこの校外学習です。行きっぱなしにならないよう事前学習もしっかりやり、また事後学習として感想や考えをまとめさせ、次の学びへとつなぎます。
丸1日かけて行く筑波山登山(中1)、鎌倉散策(中2)、国会議事堂見学(中3)なども単なる遠足ではなく、学年ごとにテーマを決め、帰ってきてからはテーマに基づいた新聞やレポートにして発表します。
― 行き先はほかにどんなところがあるのでしょうか。
外務省や、JICA、大使館といった国際社会につながる機関や施設とともに、国立科学博物館、江戸東京博物館見学、近所のさきたま古墳群での埴輪づくり、日本工業大学の体験授業など、日本、そして地元にも目を向けるようにしています。
■グローバルとローカルのバランスで世界に貢献
― グローバルな視点だけでなく、日本のこともちゃんと知っておいてほしいということでしょうか。
本校の考えるグローバル人材の育成は、「日本人らしさをもった国際人を育てたい」といったものです。
グローバルとローカルの視点をバランスよくもち、世界に羽ばたいていってほしいなと。
持論になりますが、日本人は古来よりグローバルな感覚が備わっていたのではないかと思うのです。
遣隋使や遣唐使は当時の中国の政治、文化、仏教を学びに派遣させたものですが、世界史の観点からも領土を広げるため、あるいは金銀、香辛料などを探すためでなく、純粋に学びに行ったというのが珍しいでしょう。
つねに学び、新しいものを吸収していく、そんな日本人としてのアイディンティを分かったうえで、生徒には世界から学ぶだけではなく、世界に貢献できる人になってほしいですね。
■取材を終えて
歴史のご担当ならではのお話とともに、生徒への大きな期待をお話しくださった名雲先生。インタビュー後、廊下を歩きながら、すれ違う生徒たちと楽しそうに会話をされていました。