【日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校】中2 機械実習
2019年のクリスマス、日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校(以下、日藤)の中2生は重機を操縦していました。
今年度最後の日藤の訪問記は、機械実習レポートです。
■日藤の特権・3つのフィールドワーク
日藤には、隣接する日本大学生物資源科学部の施設を活かしたフィールドワークがあります。中学1年次には年間を通して「農場実習」を行い、2年次には夏に「食品加工実習」を、冬には「畜産・機械実習」を1日がかりで行います。
■機械実習スタート
午前中に畜産実習を終えた中2生たち。機械実習ではトラクターとショベルカーを操縦します。
トラクター
大学の指導員が、これから操縦するトラクターについて説明します。
男子生徒が乗車します。
大きなハンドルを握った途端、顔がほころび、わくわくした表情に。
隣に指導員が座り、操縦方法を伝えます。
エンジン音が響くと、大きな車体が動き出しました。
まずはまっすぐ進みます。
しかし、この先2か所でUターンしなければなりません。
<第1関門>
1つ目のUターンポイントは小さな植木です。
ちょっと大回りになりましたが、無事曲がり切りました。
<第2関門>
2つ目のUターンポイントは車体より高い植木です。1つ目に比べると道幅が狭いのでコンパクトに曲がらないといけません。
今度はコンパクトに曲がれました。
運転を終え、「面白かった!」と話す男子生徒は、「運転席で指導員の方からギアと速度の変え方・ブレーキの仕方を教わり、すぐにスタートしました。真っ直ぐの道は運転しやすいけれど、Uターンのときは目一杯ハンドルを切らなければならず、難しかったです。でも、2つ目のUターンは落ち着いてできました」と語ります。
ショベルカー
1グループがトラクターの操縦をしている間、もう1つのグループは先にショベルカーを操縦していました。
トラクターに比べると小型ですが、大きく足を上げないと乗り込めません。
運転席で操縦方法を教わります。操るのは4本のレバー。
アームを下ろし、先端のバケットで地面を掘り起こします。
次は、アームを横に動かして土を落とします。
男子生徒は、「バーの向きを間違えると全然違う動きになってしまうので、考えながら操縦しました。怖かったのは車体の揺れ。見ているときは分からなかったけど、アームを上下に動かすと運転席に大きな振動が伝わるので最初はびっくりしました」と感想を語ります。
■先生インタビュー
2年1組の担任で、英語科の池田直哉先生に話を聞きました。
―――生徒のショベルカーの操縦はいかがですか。
落ち着いて、うまく動かしているなと思いました。以前、教員研修で私も生徒と同じショベルカーを操縦したのですが、指導員の方の説明をちゃんと聞いても、実際に動かしてみると思うようにはいかないのです。イメージしていたよりずっと難しかったです。
―――前半の畜産実習では、どんなことをしたのでしょう。
畜産実習センターの講義室で、牛や豚など家畜がどのように飼われて出荷されていくのか、大学の先生から説明を受けました。また、動物によってフンの形状が異なることを、実物を見ながら教わりました。同じ牛でも乳牛と肉牛はフンの状態が違いますし、ヒツジやヤギのフンが小さくて丸いのは、途中で敵に襲われても逃げながらフンができるためだそうです。
このほか、生徒に牛と豚の絵を描かせて、飼育小屋に移動して本物と見比べてみました。生徒の反応が一番大きかったのは、牛舎に牛がずらりと並ぶ光景を見たときです。最後には、朝、搾乳した生乳を使い、生徒がバターとカッテージチーズを作りました。生乳に酢を入れてかき混ぜることで、脂肪分が分離し、チーズが固まります。
―――1日でさまざまなことを体験するのですね。先生は、フィールドワークにはどんな意義があると思われますか。
世の中が便利になった分、いまの子どもは実物を見たり触れたりする機会が少なくなりました。ゲーム機のボタンで画面上の車を動かすことと、レバーやハンドルを握って運転することには大きな違いがあります。フィールドワークは生徒が普段はできない体験をし、視野を広げるためのよい機会です。
―――ありがとうございました。
■終わりに
全員がトラクターとショベルカーの操縦を体験した機械実習。日藤の環境が充分に活かされたフィールドワークになっていました。