中学受験の過去問、いつから・どのように取り組めばいいの?(2ページ目)

秋以降の学校説明会には、入試問題に関する“お得”情報も!

Q. 何年分やったらいいのでしょうか?

お子さまは過去問を何年分やったかはあまり意識しませんが、親御さんの方が焦るようです。買った過去問の本が5年分なのに、3年分しかできていないなか、他のご家庭は5年分やっていると聞くだけで不安になりがち。しかし、実際はそんなにできていないというのが実情です。焦らずに、できることを確実に行うことに目を向けて、対策を考えていきましょう。

御三家、慶應・早稲田系のような伝統校で、問題の作り方がほとんど同じような学校をはじめ、第1志望校については、過去問を10年分はやりたいと取り組む方も多いです。それが難しい方は少なくとも5年はやるとよいでしょう。何年か分をやると、同じポイントで出題されているというのが分かります。こういう観点で聞いてくるのだなというところをしっかり整理して本番につなげることが大事です。

近年、問題の傾向が変わってきている中堅の学校もありますが、学校の聞きたい方向性は変わっていないので、過去問をやっておくに越したことはありません。

志望順位が低い学校の過去問に関しても、最低限1、2年分はやっておきたいところです。もし時間を計ってやる余裕がないようでしたら、少なくとも目を通して、初めまして状態で本番をむかえることのないようにしておきましょう。

Q. 繰り返し過去問をやる必要はありますか?

繰り返しやっても、子どもは答えを覚えてしまいます。大切なのは、解けそうだったのに、解けなかった問題をピックアップしてもう一度やることです。手も足もでない難問をできる必要はありません。みんなが解けそうな問題や、自分が解けると思っていたのにできなかった問題をしっかり解けるようになれば、合格圏内に十分届くので、そこを重点的にやることが大切です。

Q. 繰り返し過去問をやる必要はありますか?

そして、なぜできなかったかを振り返ることが大切です。知識が足りなかったのか、単純に計算間違えだったのか、問題文の見落としなのか、間違いにもいろいろ原因があります。正解の中にもラッキー正解もあります。あと何を埋めれば受かるのかというところに目を向けましょう。解きっぱなしで終わらせないこと、きちんと原因を追究することが大切です。

過去問に取り組む際、点数が悪かったりすると、特に親御さんががっかりしますが、点数に一喜一憂しないことが大切です。

平均点は学校によってまちまちであることを、知らない方が意外に多かったりします。学校によって平均点が高い、低いというのがあるので、必ずしも70点、80点取れなければということはありません。合格最低点や平均点の目安を知っておくことも重要です。学校のスタイルは点数にも表れます。

Q. 過去問はどこで手に入るのでしょうか?

書店で入手するのがオーソドックスです。そこで注意したい点は、書店で販売されている本の問題文は、実際の入試問題よりも行間などが詰まって編集されていることです。拡大コピーをしてもそれでも十分狭いほど詰まっています。算数は途中式を問題の近くに書く習慣がついていることもあり、実際の問題にはどれだけのスペースがあるかを知ることが大事です。また、学校によっては、ホチキス留めタイプや、折り込みタイプといった冊子の都合もあります。本番に動揺しないためにも、実物を知るというのは非常に重要です。実物を学校説明会で配布や販売する学校も多くありますので、実際受験生が本番で使った入試問題をぜひ手に入れましょう。

学校が用意している過去問には、1問1問に正答率が掲載されているなど、市販のものにはない情報が載っていることもあります。市販の過去問でも十分ですが、実物を知っていた、知らなかったというのが大きな違いになります。

秋以降に「入試問題に関しての説明会をします。」というアナウンスがある学校の説明会には必ず行きましょう。本番用の入試問題がある程度できていて、方向性が決まってからの説明会となるので、出題の仕方についてアナウンスをする学校もあります。 学校としては、志望順位の高いお子さまに入学してほしいため、きちんと足を運んでくれた親御さんにしっかり情報を伝えるという姿勢があります。秋以降は忙しくなりますが、春のうちに行っておいたからいいとは考えずに、情報を得る努力をしてほしいと思います。

Q. 最後に受験生のみなさまにメッセージをお願いします。

どの学校も必ずと言っていいほど説明会で、「一番の対策は過去問をやることです。」とアナウンスします。入試問題は、1年という長い時間をかけ、各教科の先生がたたきあって、時代の流れにあったものを練って作られます。その学校側の思いをくみ取っていただき、この学校へ行きたいという気持ちを、入試問題を通じて返してほしいと思います。

疑問にお答えいただいた先生:山本祐(やまもとゆう)さん

疑問にお答えいただいた先生:山本祐(やまもとゆう)さん

自身も中学受験を経験、麻布中学校・高等学校出身。20年以上の家庭教師としての指導経験を誇る。現在は家庭教師の一橋セイシン会の中学受験専門プロ家庭講師として活躍されている。