中学受験、学校選びで親が知っておきたいこと(2ページ目)

一生の友だちが中学受験で得られる財産。その視点で学校選びを

一生の友だちが中学受験で得られる財産。その視点で学校選びを

エデュ:学校選びでは、学校説明会や体育祭、文化祭などに行くことも欠かせないですが、どこを見たらよいかという質問も親御さんから多くあります。

矢野さん:文化祭などはあくまでよそ行きの場なので、下校風景を見ましょうと私はよく言います。その雰囲気から感じられることは絶対にあるはずです。どんな表情で学校を出て来るのか、楽しそうなのか、どうなのか。どんな友だち同士で一緒に帰っているんだろうとか、帰りに先生と会ったとき、どんな言葉を交わしているんだろうとか。そこに学校の姿が見え隠れしているような気がしますね。

私は「中学受験で得られる財産は、新しい友だち」だと子どもたちに伝えています。中高の多感な時期の6年間を一緒に過ごせること、一生の付き合いになるかもしれない出会いがあること。難関の入試を潜り抜ければ、それだけ一生懸命何かに集中できる子たちが学校にそろうのですから。そういう友人たちとずっとこれから先付き合っていけるというのは、中学受験の何よりの贈り物なんじゃないかなと思います。

「学校はあくまで器」という冷めた見方も大切。考え過ぎない方がいい

そんな視点で学校選びを考えていくと良いのではないでしょうか。学校はあくまで器。そこにどういうものを詰め込んでいくのかはお子さんが決めることであって、親御さんが学校に期待しすぎるのもどうかと。学校選びを深く考えすぎない方がかえって良いと思いますよ。

受からせてくれた学校が結局一番いい学校!

それともう一つ、私はよく、「受からせてくれた学校が結局お子さんにとって一番いい学校なんです」と言います。たくさんの合格をいただけるというのは素晴らしいことですが、結局通えるのは1校しかない。だから、受からせてくれた学校が一番いい学校だと思いましょうと、受験生や保護者の方に伝えています。

矢野耕平(やのこうへい)さん

矢野耕平(やのこうへい)さん


大手進学塾で13年間勤務の後、2007年に中学受験指導スタジオキャンパスを設立し、代表に就任。現在、東京・自由が丘と三田に2教場を構える。また、学童保育施設ABI‐STAで特別顧問を務める。著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『旧名門校vs.新名門校』(SB新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)など

矢野耕平さん・武川晋也 (たけがわ・しんや)さん共著
「早慶MARCHに入れる中学・高校 親が知らない受験の新常識」(朝日新聞出版)

矢野耕平・武川晋也著 朝日新聞出版社刊

「早慶MARCHに入れる中学・高校 親が知らない受験の新常識」

中・高受験は激変に次ぐ激変。
高校受験を廃止する有力中高一貫校が相次ぎ、各校の実力と傾向が一変した。
人気大学も総難化時代だ。
親世代の昔の常識は通じなくなった。
しかし、「子どもを中堅大学に進学させたい。いや、できれば名門大学へ!」という保護者の願いは強くなるばかり。その要望に応える。
意外な利点がある「トク」な学校、
つらい受験生活から救ってくれる「ラク」なルートを大公開。
さらに、「トク」「ラク」の裏にある「リスク」を解説する。
子どもの進路の「羅針盤」となる一冊。

[目次より]
【第一章】激変した受験の最新事情
【第二章】中学受験の「トク」「ラク」「リスク」
【第三章】高校受験の「トク」「ラク」「リスク」
【第四章】中学受験・高校入試、敗者のその後
【第五章】中学受験向きの子、高校受験向きの子の見分け方