好きなことを突き詰めれば道は拓ける
エデュ:大学院生の皆さんにも、この学問を選ぶまでの道のりと、これから進路について考える中高生へ向けてのメッセージをお聞かせいただきたいです。
大野:私は、小さい頃から星が大好きで、よく親にプラネタリウムなどに連れて行ってもらっていました。うちの親は私に何かを押し付けるというようなこともなく、「やりたいことは自分で見つけなさい」という教育方針でした。
宇宙の研究がしたい!と思って、学部時代は物理学科で学んでいたのですが、「地球物理学」の授業で三河内先生との出会いがあり、隕石の研究をしたいと思うようになりました。
宇宙を手にとって調べることはできないですが、隕石なら実物を手にとって研究することができます。それがいちばんの魅力です。
これから進路を考える皆さんには、「自分がやりたいこと」を見つけることが大事だよ、と伝えたいですね。損得とかじゃなくて、自分が本当にやりたいことは何?って考えていけば、自ずと進むべき道も見えてくるのではないでしょうか。
林:僕は小学生の頃からキレイな石が大好きで、近くで拾った石を集めたり、出身は岡山の倉敷なのですが、地元の博物館で「ステンドグラスを作ってみよう!」という名の、石で薄片を作らせてもらえるようなイベントに参加したりしていました。水晶や翡翠といったキレイな石から、だんだんと鉱物へと興味が移っていき、これを研究したくて東大理学部に進みました。大学に入ってからは、全国各地の石を収集、研究するように。
石の研究を深めることができる学問は鉱物学か地質学なのですが、より一つひとつの石そのものを深く研究できるのは鉱物学なので、この研究室を選びました。これからもずっと石の研究に邁進したいと思っています。
好きなことがあったら、それをとことん突き詰めていってください!
識名:私は、元々は自然全般に興味があったんです。博物館に行って、「キレイだな〜」って飽きずに石を眺めたり、星を見たり。植物も好きでした。
自然界のすべてが興味の対象だったので、自然界の基本になるのは何だろう?と考えた結果として宇宙物理を選んだのですが、そこで、理論よりは実際の物に興味がある自分に気づきました。そんな時に、三河内先生の講義で隕石研究の魅力に目覚め、今に至ります。
高校生ぐらいで進路を決めるときって、どうしても将来の就職に強いとか、周囲の大人の勧めとかが気になってしまうと思います。でも、受験勉強でも、大学に入った後の勉強でも、大変なことはたくさんあります。そんな時に、自分が本当にやりたいことじゃないと、挫けてしまうんじゃないかと思います。「自分がやりたいこと」を見つけて、頑張ってください。
阿部:実は僕は、小学校の時は一切勉強をせず、野球ばっかりやっていました。5年間、ショートのポジションで、本当に野球に熱中して。当時、活字は大嫌いだったのですが、野球の本だけはしっかり読む、みたいな感じで。
理学部に進学したいと思って勉強を始めたとき、全然関係ないはずの野球での経験がすごく活きていると感じました。
だから、熱中するものは勉強につながることじゃなくても構わないと思うんです。何かに熱中することができたら、集中力は身についています。そうしたら、「やるべき時」がきたら勉強にも絶対に熱中できるはずです!
エデュ:皆さん、好きなことを極めた子ども時代があって、その結果としての今なのですね。本日はありがとうございました。
終わりに…
三河内研究室の誰もが、子どもの頃、何かに夢中になり、それが今につながっていました。
子どもに原体験となりうるような体験をさせること、子どもが興味をもったことを応援すること、その大切さを改めて実感する取材となりました。
自分の夢を叶えた人は、輝いて見えるものですね。