中学受験生の勉強時間はどのくらい?

「なかなか勉強時間が取れない…」あるいは「勉強に時間をかけているのに成績が上がらない!」など、受験生の勉強時間にお悩みをもつ保護者の方は多いのではないでしょうか。
解決のヒントとして、難関校・中堅校に合格したご家庭へのアンケート結果を踏まえた、効果の高い勉強時間の考え方について専門家のアドバイスをお届けします。

中学受験生は実際どのくらい勉強しているの?

難関校・中堅校に合格した受験生の勉強時間についてのアンケート調査を、2018年の2月にインターエデュで実施しました。

最初に、4年生・5年生・6年生の、勉強時間(学校、塾の授業を除く)の分布を見てみましょう。

平日は、4年生と5年生でほぼ変わらず、6年生においても勉強時間はさほど変わりはありません。平日は、学校と塾があるので、あまり増やす余地がないからかもしれません。
2時間していれば上出来、受験直前期に、あと1時間捻出できるかどうか…というところでしょう。

一方、週末の勉強時間については、学年ごとに大きく異なる様子が見られました。
4年生は「1~2時間」「2~3時間」、5年生は「3~4時間」、6年生は「6時間以上」のところに山があります。ただし、6年生でも「1時間以下」から広く分布していて、お子さまによってさまざまのようです。

また、難関校・中堅校に合格したお子さまに分けて勉強時間を比較すると、差はほとんど見られませんでした。長く勉強するお子さまのほうが、難関校に合格しているわけでもなさそうです。

学年別、勉強時間の考え方 ~専門家のアドバイス~

勉強時間を多く取るとたくさん勉強できるはずですが、長い時間をかければ難関校に受かるというものでもないようですね。
そこで、プロ家庭教師の西村則康先生に勉強時間の考え方について、アドバイスをいただきました。

基礎学力があれば勉強は短時間で済む!

西村先生:成績が本当に良いお子さまは意外に勉強時間が少なかったりもします。
それは、計算や読み書きの速さと正確さといった基礎学力があるからです。
一般的に中学受験勉強を開始する小学4年生までに、そういった基礎学力を身につけてきたかどうかによって、大幅に必要な勉強時間が変わります。

基礎学力が高いお子さまの場合、4年生であれば塾のない曜日に1時間も勉強すれば、塾の課題も難なくこなせます。5年生であれば、2時間くらいです。6年生になると塾のない曜日が少しずつ減ってきますが、それでも3時間くらいです。
基礎学力があり、順調に伸びて行くお子さまの場合、このくらいの勉強時間で難関校に合格できる力が身につくでしょう。

勉強の基本動作ともいうべき、「読み」「書き」「計算」の力が身についていれば、塾で出た課題なども短時間で済みます。生活にも無理がなく、親もカリカリしないでいられますね。

基礎学力が不足していると長時間勉強しても効果が上がらない…

西村先生:一方、基礎学力が不足している場合、塾の指示どおり宿題をこなそうとすると、もっと時間がかかります。
4年生では、塾のない曜日に2時間、5年生では3~4時間、6年生は4時間という具合になります。すると、無理に寝る時間を削ることになります。しかし、それはおすすめできません。睡眠不足で集中力がなくなり、体にも不調がでて、勉強時間を増やせば増やすほど成績は下がるということにもなりかねません。

十分な睡眠時間を確保した上で、その空き時間に週の予定を入れていった結果、やることがあふれてしまうというのは、勉強のやり方としてよくないのでしょう。

では、その場合どうしたらよいのでしょうか。西村先生は次のようにアドバイスをします。

ご家庭で基礎学力を身につけ、塾授業の聞き方をサポートする

西村先生:まず、お子さまの基礎学力のどこが不足しているかを調べて、早急に手当てをしましょう。手当ての方法は、たとえば、計算を毎朝10分やる、音読をするなどです。

その上で、塾の授業の聞き方やノートの取り方を正していきましょう。お子さまは、親御さんから「ちゃんと授業を聞きなさい」「ノートをしっかり取りなさい」と言われても、どう行動したらよいかわかりません。

たとえば、塾に行く前に、「今日の授業でおもしろかったことを2つ教えてね」と約束するのも有効です。すると、授業をより集中して聞こうという意識が芽生えます。
他にも、お子さまが先生役、親御さんが生徒役となり、家庭内ミニ授業を行うのもおすすめです。そのような工夫をしていくと、塾の授業の聞き方が格段に良くなります。
家庭学習の時間ばかりが長くなって、成績が上がらないお子さまのほとんどは、塾の授業をちゃんと理解できていないことが原因です。

塾ではなかなかサポートしてもらえない部分…それは、基礎学力の部分と、授業の聞き方です。そこをうまく補えれば、塾の授業を活かすことができ、課題は短時間でもしっかり消化できて、成果が上がっていきそうですね。

かけた勉強時間をより成績に反映させるために

中学受験生が勉強にかけられる時間は、学校や塾、遊びや習い事、食事、睡眠などを除くと案外少ないものです。睡眠時間を削らず、無理なく取れる勉強時間では足りないと感じるのであれば、その原因は基礎学力が不足しているか、授業の聞き方がよくない可能性があるということがわかりました。問題点を見極めて、手当をしていきましょう。

基礎学力の習得に時間がかかってしまうと、塾の宿題を消化できない日々が何か月も続いてしまいます。そのときは、宿題の取捨選択について塾の先生に相談してみるのも一つの手です。

応用問題は削っても、基礎と睡眠時間は削らない。それが合格への早道かもしれません。