【中学受験の国語】5年生で伸び悩む原因と効果的な学習方法【前編】(2ページ目)

5年生になると国語が難しい感じやすい理由

設問が複雑になる

5年生の問題と4年生の問題を比べてみると、ぱっと見ただけでも、文章が長くなり、設問数が増え、文字の大きさも小さくなっていることがわかるのではないでしょうか。子どもというのは、問題の見た目でも難しくなったように感じるものです。

4年生では、たとえば接続語を学んだときには、接続語の問題だけが出題されるのですが、5年生になると、前回学んだ単元を理解していないと解けない問題が出題されます。
また、4年生では、「このときのおばあちゃんの気持ちを三段落目の言葉を使って…」など、答えが見つけやすいよう誘導するような設問が目立ちますが、5年生になると、迷わせるような選択肢が含まれていたり、抜き出し問題も棒線部分から離れた所に答えがあったりと、少しずつ設問の難度が上がっていきます。

文章問題のテーマが抽象的になる

文章問題のテーマに関して4年生では、虫やチューリップなど、具体的な説明文が多かったのが、5年生になると環境や共生、貧困、尊厳、愛情、戦争など、子どもたちが具体的にイメージしにくい抽象的なテーマが題材になります。
さらに、愛情や恋などの感情を題材にした物語文を理解するには、「心の成長」も必要です。中学受験の国語が難しいと言われる理由の一つです。

文章の読み取りに語彙力が必要となる

語彙力が不足していると、文章内容を理解するのが難しくなります。中学受験の頻出語彙集を見ると、「厳然たる」や、「かりそめにも」など、大人でもあまり使わない難しい言葉が文章に出てきます。語彙が不足していると読み取りに支障をきたしますので、語彙を増やしていきましょう。

5年生の国語学習のポイントは?

お子さまが非常に難しい学習に挑戦していることを理解した上で、難度が高い学習を進めていくために、家庭学習で取り組んでほしいことをお伝えします。

論理構造を理解できるまでじっくり取り組む

問題を解くときやテストの直しをするときに、わからないからといって、さっと済ませてしまうのではなく、一つひとつの問題を理解できるまでじっくり取り組むようにしましょう。

出会った問題をしっかり理解できると、お子さまが考えるときの引き出しが一つ増えたことになります。テキストの要点のページには、「対比に注目する」、「具体例に括弧をつける」など、論理的に読むためのテクニックが紹介されています。テキストで学んだテクニックを生かし、文章に印をつけていきましょう。解答を導き出すための、自分だけの地図を作ってください。

中学受験の国語が難しい点として、文章を理解するのに「心の成長」が必要とお伝えしました。しかし、中学受験で難関校に合格した子の中にも、年相応に幼い子はたくさんいます。教え子の中にも、気持ちの面で幼く、国語の学習に苦労をしていたお子さまがいました。そのお子さまは塾やテストの中で出会った問題にじっくり向き合って理解を深め、最後には出題パターンを自分なりに公式化し、見事難関校に合格しました。

お子さまの成績が伸び悩むと、たくさん問題を解かせたり、早く問題を解かせたりしてしまいがちです。しかし、お子さまが論理構造を学ぶ過程においては、親御さんの焦りは禁物です。お子さまが理解を深める時間を大切に、学習を進めてください。

【中学受験の国語】5年生で伸び悩む原因と効果的な学習方法【後編】では、青山先生の動画による特別メッセージを掲載します(動画は会員限定公開となります)。具体的な取り組み方がわかり、動画を見ていると「国語の勉強って楽しそう」という気持ちが湧いてきますよ。後編もどうぞお楽しみに!

今回の回答者:青山 麻美(あおやま あさみ)先生

青山 麻美(あおやま あさみ)先生

アートオブエデュケーション関西指導部長。
プロ家庭教師・受験カウンセラーとして1000人以上の生徒を担当。受験を通して人生を生き抜く力をつけてもらうことを目標としている。プレジデントファミリーなどで取材多数。
あさみ先生の中学受験ブログを連載中。

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