【中学受験2023】確実に早く合格を取るためにも安全校は必ず用意〜青山麻美先生

中学受験を最後まで後悔なくやり遂げるためには、確実に合格する「安全校」の組み込み方も重要になってきます。そこで安全校の必然性、選び方についてプロ家庭教師・アートオブエデュケーション関西指導部長の青山麻美先生にアドバイスいただきました。

2月本番でも1日目午後には安全校の受験を

2月本番でも1日目午後には安全校の受験を

安全校は、早いうちに合格を確実に勝ち取るという意味でも、ぜひ組み込んでいただきたいと考えています。

私が受験指導を行っている関西エリアでは、2023年では1月14日に一斉に中学受験がスタートするので、東京では当たり前になっているような「1月に通学圏内の前受校を受験する」ということがありません。早めの入試練習として、1月の頭に近隣の岡山や愛媛の学校を受ける子もいますが、進学対象ではないケースがほとんどです。
そのため、1日目、2日目のスケジュールの組み方が非常に重要で、1日目午前に第1志望を受験し、1日目午後や2日目午前にはお守り校、3日目にチャレンジ校という組み方をして、確実に早く合格をもらうというご家庭が多いです。
というのも、私の生徒でも、1日目も2日目もチャレンジ校で不合格となってしまい、頭ではありえることだと分かっていても、実際に体験するとお子さんもお母さまも心が折れてしまい、3日目、4日目に向けての意欲が湧かないということがありました。

早めに合格をもらうことで安心して残りの日程を受けられるのは、東京の受験でも同様なのではないでしょうか。
合格を得る、行ける学校があるということは、その後の入試に挑んでいく上で大きな安心感とモチベーションにつながります。
そうした意味でも、1月校の入試でも確実に受かると思われる安全校を組み込んでおく、また2月本番では1日目の午後には安全校を入れるスケジュールを組むようにしておくことをお勧めします。

【安全校を選ぶポイント】対策しなくても大丈夫と思える学校を選ぶ

安全校を選ぶポイントはいくつかあります。まず学力面で選ぶ基準を挙げると、

・自分の模試の直近三回でA判定がでていること
・現状偏差値から−5の範囲
・過去問を解いて合格採点の+20点の範囲
・過去問の傾向が似ており対策しなくても良い

です。これらに満たない場合は、併願校として第2志望に置くならいいですが、安全校にはなりません。
さらに、絶対合格を取りに行くという場合はグッと偏差値を抑えることをお勧めします。
学校によっては適性検査型を実施する学校もあります。対策もないまま、そうした問題に挑むと子どもが本番でパニックを起こします。問題の傾向が似ており、特別な対策をしなくても点数が取れそうな学校を選ぶようにしましょう。

また合格が早く出る学校が良いです。関西の場合だと、難関校の中では合格発表が日を置いて後日発表される学校もあるので、すぐに合格が出る学校がベストです。

安全校といえども進学対象ということを忘れずに

忘れてはいけないのは、安全校に進学する場合もあるということです。
家から通学できる範囲内にあるのか、そしてお子さんが嫌な印象を持っていないかということを確認するようにしてください。
私の生徒の中には、学校で模試を受けた際に「光が差し込んでいて気持ちが良い学校だった。なんだか力を出せる気がした」と言っていた子もいました。とても抽象的な言い方ですが、子どもが感じる印象は独特なものがあります。お子さんの思いも大事になさってください。

安全校でもまさかの不合格になったら…?わが子を奮起させるのはお母さまの底力!

まさかの事態が起きるのが中学受験です。安全校とはいえ、受験には絶対がないので、当日緊張していたり、体調が良くなかったりという理由から不合格になる場合もあります。
合否の結果を教えないということも一つの方法ですが、お母さまの顔を見ればたいてい分かってしまうものです。そのためには万が一の場合も考えておくことも肝心です。

私が受け持ったご家庭ではこんなお母さまがいました。
1日目、2日目に難関校を受け、3日目に安全校を受ける予定だったのですが、2日目の学校の合格発表が翌日にあり、合格発表が見たいという理由でその安全校を受験しなかったのです。どうも2日目受験は自信があったようです。
しかし結果は不合格。その子は布団に潜り込んだまま出てこなくなってしまいました。そんな子どもにお母さまは「あの学校に受かっていたら、毎週読書感想文を書かないといけなかったのよ」と言ったのです。それを聞いたお子さんは「それを知っていたら受験しなかった!」と言って元気を取り戻しました。
後日、背水の陣という状況で受験に向かう朝に、そのお母さまは「これに落ちたらあなたのこと嫌いになる」というインパクトのある一言で奮起させました。もちろんお母さまは本心から言っているわけではないと思いますし、お子さんの性格によって声掛けの方法も異なりますが、お母さまの一言ってすごい力を持っているのです。

また子どもは不合格になったときのお母さまの表情を、いつまでたっても忘れないものらしいです。
お母さまは泣いている場合ではありません。どれだけ辛くともお子さんのメンタルを上げるためにも弱いところは見せてはいけないのです。暗い表情のお母さまの様子を見たら、お子さんは「もうダメかも…」と思ってしまうでしょう。今の自分の表情は、子どもに見せてもいい顔か鏡で確認することも大事かもしれませんね。

ここなら行きたいと思える安全校を用意して、最後まで力を発揮できるように、そして笑顔で中学受験を終えられるようにしてください。
心から応援しています。

今回の回答者:青山 麻美(あおやま あさみ)先生

アートオブエデュケーション関西指導部長 青山 麻美先生

プロ家庭教師・受験カウンセラーとして1000人以上の生徒を担当。受験を通して人生を生き抜く力をつけてもらうことを目標としている。プレジデントファミリーなどで取材多数。
「あさみ先生の中学受験ブログ」を連載中。