小学6年の夏『なぜか突然、中学受験』に挑む!家族3人が勝ち得た中学受験とその先にあったもの(2ページ目)

息子のストレスを敏感に察知してフォローする親という“サブサポーター”の大切さ

本書における貂々さんの姿はツレに比べると中学受験から一歩引いているように見えるため、「実の息子の中学受験なのに、貂々さんにとっては他人事みたいだな」と冷たく見る人もいるかもしれません。

しかし、貂々さんは中学受験の情報を積極的に集めつつ、熱くなりすぎるツレを諫めたり、落ち込むちーと君を優しく慰めたり、サブサポーターとしての役割をしっかりと果たしていました。

中でも、貂々さんがサブサポーターとして最大の役割を果たしていたのは、受験直前の1月のことです。
ちーと君がストレスを訴えるようになったとき、貂々さんはちーと君に緊張を和らげる呼吸法を教えたり、夜になるとちーと君が好きなお笑いやアニメを見せたりしました。

通常、受験直前ともなれば、多少のストレスは押し殺して勉強一色の生活を送るべきだと考える人は多いでしょう。しかし、貂々さんはちーと君のストレスを解消することを最優先事項に据えています。

これは、受験に合格することよりもちーと君の健康の方が大切だと考える貂々さんだからこそできたサポートなのではないでしょうか。

結果がどうあっても、中学受験への挑戦はその後の人生で無駄にならない

貂々さんとツレ、そしてちーと君は、不合格の悲しみと合格の喜び、その両方を噛みしめることになります。

初めて不合格を突き付けられたとき、貂々さんはちーと君に悲しい思いをさせてしまったことを悔やみますが、ちーと君は翌日には気持ちを切り替えて試験勉強を再開。
最終的には3つの合格をつかみ取ります。

その後、ちーと君はゲームとユーチューブを好きなだけしても良いと貂々さんに言われますが、ゲームの時間を自分で管理したり、自分から机に向かって勉強したりできるようになったそうです。しかし、おそらく、ちーと君はもちろん、貂々さんやツレが手にしたものは、もっと大きく、もっとたくさんあるのでしょう。

「中学受験なんて考えていなかったけれど、ちょっと挑戦してみようかな」
そんな思いをかき立てられる1冊です。

なぜか突然、中学受験。

細川貂々 著 創元社 1,200円+税
書影_『なぜか突然、中学受験。』

9月から受験本番まで、試験や勉強に戸惑い、挫折し、葛藤する日々の記録を描いたコミックエッセイです。

「いつでも、子ども自身の思いでする受験は、最強だ!!」

『ツレがうつになりまして。』のツレと細川貂々が、
息子の中学受験に挑む!
偏差値28、合格率0%(汗!)からの逆転劇!?

とあることをきっかけに突如、
中学受験を思い立った息子・ちーと君。
しかしそれは小6の9月。
受験塾にいく間もなく、

はたして「二月の勝者」になれたのか!?
〈勉強開始から受験まで、たった120日――〉

細川 貂々(ほそかわ・てんてん) さん
1969年生まれ。セツ・モードセミナー出身。漫画家・イラストレーター。
1996年、集英社『ぶ~けDX』にてデビュー。パートナーの闘病を描いたコミックエッセイ『ツレがうつになりまして。』『イグアナの嫁』シリーズ(幻冬舎)は映画化、ドラマ化もされた著作。男親中心の育児を描いた『ツレパパ』シリーズ(朝日新聞出版)、自身の職業遍歴を描いた『どーすんの?私』シリーズ(小学館)なども出版。上方落語や宝塚歌劇が好きで、それらについての著作もある。近著は自身の生きづらさとべてるの家などの取材を取り上げた『生きづらいでしたか? 私の苦労と付き合う当事者研究入門』(平凡社)、PTAの本部役員を3年務めた経験を描いた『アタックPTA』(朝日新聞出版)を上梓している。