大人が読んでも楽しい
今回ご紹介するのは、人気のドラえもん図鑑シリーズの新刊『小学生のためのドラえもんふしぎ!理科図鑑』。最初にパラパラとめくって、ちょっと驚きました。ずいぶんと細かい知識まで網羅されているのです。

たとえば、最初のほうにのっている「植物ってどんな場所でも芽が出るの?」の中の「インゲンマメの種子が芽を出すまでを観察しよう!」。皆さん、インゲンマメの種子は、どこが子葉でどこが幼根・幼芽、どこが胚軸(はいじく)か覚えていますか? かすかな記憶はあるけれど…という方、多いのではないでしょうか? それに加えて学習指導要領の変化のせいか、大人世代は知らない知識もこの図鑑にはのっているのかもしれません。
そこで、大人の私がどれだけ知っているかな?と思いつつ、ページをめくっていきました。まず忘れていたことを多数発見! さらにもともと知らなかったこともたくさんありました。科学の進歩のせいでしょうか。ただ、それでも最後まで読めたのは、たくさんの画像とドラえもん漫画がのっていて、どのページも楽しそうだったこと。それに大人としては、これくらい知っておかなければ…と思ったこともあると思います。そういえば、Amazonのレビューに、「小学校の理科は一通りこれを読めば把握できそう。大人が読んでも楽しいです」という感想がのっていました。
子どもが抱く「ふしぎ」を解決する図鑑
本書は、以下の6章だてです。
第1章 生きもののふしぎ
第2章 身近なもののふしぎ
第3章 地球の大地のふしぎ
第4章 力と現象のふしぎ
第5章 空と宇宙のふしぎ
第6章 電気と磁石のふしぎ
多くのページが見開き単位。素朴な疑問をきっかけに、その答えを解説するスタイルで構成されています。たとえば「植物も水を飲んでいるの?」「氷はどうして水に浮くの?」「水でぬれた洗たくものがかわくのはなぜ?」などなど。子どもが抱きそうな疑問が大きな見出しになっていて、その答えがドラえもん漫画や写真、文章で説明されていきます。

特に興味深かったのが、「第2章 身近なもののふしぎ」。この章の「ふしぎ」は、子どもにも身近なものばかりなので、この中のいくつかは、わが子から「どうして?」と聞かれたママパパも多いでしょう。たとえば、「どうしておふろは上のほうが温かいの?」、「『まぜるな危険』って書いてある洗ざいがあるのは、どうして?」など。皆さんは正確に答えてあげることができるでしょうか? 自信がないようなら、まずはご自身で本書を読んでください。子どもに聞かれたとき、あやふやな記憶では正しい説明ができませんからね。
理科が苦手なら親子一緒に得意になろう
本書を手に入れたら、まず親御さんが読んでみることをおすすめします。ご自身の知識の確認ができるし、お子さまに教えてあげることもできます。「これ、読みなさい」といって渡して、即座に興味を持ってくれるのは理科が好きな子が好きな子でしょう。そういう子は、放っておいても本書に夢中になって、あっという間に理科的・科学的知識を身につけてくれます。
反対に、理科が不得意・興味がないお子さまには、この本を読んで得た知識を、最初は親の口から教えてあげるほうがいいかもしれません。身の回りや自然の現象に親子一緒に疑問を持つことが、理科好きへの第一歩だからです。なぜ?どうして?という疑問が子どもの口から自然に出てくるようになれば、第一段階はクリア。理科が楽しいと思えるときも遠くありません。
理科は社会科と同じく、勉強して身につけた知識が、直接リアルな生活につながる科目です。ただ、そのことを今の時代の子どもたちはあまり実感できていません。リアルな生活が自然と離れていたり、便利になりすぎて生活の中で注意したり工夫したりすることが減ってしまったからでしょう。ママパパがそのことを自覚して、本書の中のさまざまな「ふしぎ」をとりあげ、子どもの関心を膨らませるようにしてほしいなと思いました。
本書の監修は、筑波大学附属小学校教諭の富田瑞枝先生。富田先生は、もくじの前の「この本を読むみなさんへ」に、こんなことを書いていらっしゃいます。以下はその抜粋です。
藤子・F・不二雄氏が、「ドラえもん」を生み出したのは1970年のことでした。1970年には、自動運転の車もなければ、スマートフォンだってありません。そう考えると、着実に科学は進歩し、技術は発展しています。これを支えてきたのは、まぎれもなく「人」です。自然の中から感じる多くの「ふしぎ」をもとに、観察や実験によって自然の理(ことわり)は明らかにされてきました。「もっと○○したい!」「もしも、△△ができたないいな」、そういった人の好奇心などから、新しいものがつくられてきました。
現代の子どもたちにもさまざまな好奇心を抱いて、今はないものが登場している将来への夢を育んでもらいたいもの。そのきっかけ作りに、『小学生のためのドラえもんふしぎ!理科図鑑』はおすすめです。ぜひ親子一緒に本書を楽しんでください。
小学生のためのドラえもんふしぎ!理科図鑑
原作/藤子・F・不二雄、監修/富田瑞枝、小学館刊、定価1,980円(税込)

ドラえもんと一緒に理科のふしぎを学ぼう! ドラえもんと一緒に科学のふしぎをときあかそう! 大好評「小学生のためのドラえもん図鑑」シリーズ3冊目。理科の基本がこの1冊で身につきます! ドラえもんのひみつ道具は本当にある? まんがとひみつ道具で楽しく学ぼう!
○さなぎの中で何が起こっているの?
○氷はどうして水に浮くの?
○化石は海の底でできた?
○てこの原理って?
○電池のプラスとマイナスって何?
「生物」、「化学」、「地学」、「物理」、「宇宙」、「電気」の6章に分け、クイズ形式で重要ポイントをわかりやすく解説。ドラえもんたちがまんがのコマと共にナビゲート、理科を好きになるしかけがいっぱい! 筑波大学附属小学校の富田瑞枝先生の監修で、しっかり学べます。
【本書の特徴】
◎オールカラー、総ルビで1年生から読める!
◎ドラえもんのまんがと豊富な写真・イラストで楽しく学べる!
◎小学校で習う理科の単元から最新の科学技術まで、関心を深め理解できる!