小学生と家族のための音読本の決定版!(2ページ目)

齋藤先生の動画は必見!

子ども時代の音読が将来にどんな影響を与えるか、齋藤先生が直々に話しておられる動画が本書の特設ページにあります。「齋藤孝先生の音読のすすめ」というタイトルの動画です。ぜひご覧になっていただきたいと思います。正直、この動画を見ていただければ、以下の文章は読んでいただく必要ないかも、と思っています。

実は、本書を最初に手にとったとき、面白くて全ページをほぼ1日で読みました(ごめんなさい!すべてを音読することはできませんでした)。そして読了後、最初に思ったことは、“これこそ教養のベースを作る本だ!” ということでした。

なぜそう思ったかといえば、子どもだけでなく大人にとっても素晴らしい本だったからです。ママもパパも一緒に、家族全員で親しむのに最高です。この本をリビングに置いて、夕食後などに、家族みんなで音読したら、それだけで家庭の文化環境がぐっと上がるでしょう。

大人になると毎日の生活や仕事に追われて、文化的なものをしみじみと味わう時間が減ってしまいがちですよね。この本をめくっていくうちに、頭の片隅に残っていた記憶が甦ってきました。これ教科書にのっていたとか、中学生のとき読んだっけとか、おばあちゃんがこの話してくれたとか、子どもの頃に親しんだいろんなことが思い出されてきたのです。うろ覚えのものもたくさんありました。そうか、これってこの作家の作品だったのだとか、このフレーズ、この古典からきていだんだなあという感じです。

家族で音読。学力も向上!!

親や周囲の大人が忘れてしまった言葉を、どうして子どもが身につけることができるでしょう?身近な大人から聞いたり、親と一緒に声に出して読んだりして初めて、子どもは実感を伴った生きた言葉を身につけることができるのではないでしょうか。

日本語で語り継がれ、多くの人々の心に残っている言葉やフレーズというのは、どれも味わい深いものです。だからこそ今も残っているんだと思わせる深みがあります。それらをあらゆるジャンルからセレクトして、数分で親しめるようにまとめてくださった齋藤先生には、本当に感謝感激です。

ちなみに本書に頻繁に登場するのは宮沢賢治、福沢諭吉、夏目漱石など。「有名な手紙」の週には、坂本龍馬やベートーベン、野口英世の母・野口シカの手紙などもありました。どこかで聞いた歌詞や台詞もずいぶんあります。本書をすぐにお子さまに渡さないで、まずは親御さん自身が復習のつもりで味わっていただくのもいいと思います。

最後に、先にご紹介した齋藤先生の動画のメッセージの一部をご紹介したいと思います。

何度も何度も音読して、覚えてしまうというのもいいと思います。
暗唱っていうのは、最高の言葉の文化です。
「久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ」っていうふうに、花が散る、桜が散るのを見て、ふと口から出てしまう。
この、ふとこぼれ落ちてしまうのが、教養ということになります。

さあ、本書をきっかけに音読を家族の習慣にして、家庭の文化レベルを一挙に上げてみませんか? お子さまの成績向上にもつながること請け合いです。

1日1ページで身につく!小学生なら声に出したい音読366

著/齋藤 孝、小学館刊、1,980円(税込)

『1日1ページで身につく!小学生なら声に出したい音読366』

NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務め、著書『声に出して読みたい日本語』(草思社)では累計260万部を記録、日本語ブームの火付け人、明治大学教授 齋藤孝先生による小学生のための音読本の決定版です。1日たった1分の音読習慣で、心と頭がスッキリ! 集中力、記憶力、語彙力が高まり、体の中からやる気がわいてきます。「雪にまつわる」「リズムが楽しい」「宮沢賢治神7」など52の週テーマで紹介、1テーマを1週間で音読できます。

文字を目で追いながら声に出すことで集中力が身につき、体のリズムで何度も読むことであっという間に覚えてしまいます。そうやって覚えた言葉は大人になってもなかなか忘れません。また、宮沢賢治や夏目漱石など、文語体の言葉にふれることで、いつも話している言葉とはちがう美しい語彙が自然と身につきます。

俳句・短歌、詩、文学、古典、セリフ・いいまわし、ことわざ・四字熟語、そしてJポップ…、幅広いジャンルから、笑える、ドキドキする、勇気が出る……読んで楽しい、力になるものを齋藤孝先生が厳選しました。小学校の授業でも「音読」が重視されていますので、小学生へのプレゼントにも最適です!また、大人の学び直しにもおすすめです。

著者の齋藤 孝(さいとう たかし)さん
1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。主な著書・監修書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『強くしなやかなこころを育てる!こども孫子の兵法』(日本図書センター)、『小学生なら知っておきたい教養366』『小学生なら知っておきたいもっと教養366』『小学生なら知っておきたいもっともっと教養366』(すべて小学館)、『「言葉にできる人」の話し方』(小学館新書)ほか多数。NHK Eテレ『にほんごであそぼ』総合指導。