【2020年度(令和2年度)都立中学入試状況】併設型学校の倍率が前年度より上昇

inter-edu’s eye
都立中高一貫校の合格発表が2月10日にありました。
2020年度は前年度と比べ若干倍率は低下したものの、例年と同じく高倍率に。しかし、併設型学校が次年度以降、順次高校募集を停止するという発表があったことから、これまでとは異なった変動がありました。
そこで、都立中に多くの塾生を輩出した進学塾enaの「中学入試報告会」で発表された分析結果を踏まえて、今年の入試傾向と次年度の傾向について見ていきます。

小石川、武蔵より下位校の応募者が増加。安全志向の表れに

エデュナビでは1月22日に「都立中高一貫10校応募倍率から見る入試の状況【2020年度】」において、2017年度から2020年度までの各校の応募者数および10校平均倍率の推移を掲載しました。

2020年度の10校平均倍率は募集締切時の段階で約5.7倍と、前年度6.02倍からは下がったものの高倍率は変わらずでした。しかし、人気校だった小石川の応募者が減少、倍率も6倍を切り5.69倍となった一方で、両国、富士といった併設型の学校が応募者を伸ばし倍率も上昇しました。

東京都立中等教育学校募集・応募者状況及び東京都立中学校入学者決定入学手続状況(一般枠募集)

  2019(平成31)年度 2020(令和2)年度
学校名 種別 募集人員 応募者数 倍率 入学手続人員 募集人員 応募者数 倍率 入学手続人員
小石川中等教育 中等教育 159 1,032 6.66 138 157 882 5.69 129
白鷗高等学校附属 併設型 134 932 7.17 127 133 896 6.89 125
両国高等学校附属 併設型 120 812 6.77 115 120 851 7.09 115
桜修館中等教育 中等教育 160 976 6.10 142 160 957 5.98 149
富士高等学校附属 併設型 120 572 4.77 117 120 628 5.23 119
大泉高等学校附属 併設型 120 769 6.41 110 120 711 5.93 111
南多摩中等教育 中等教育 160 909 5.68 158 160 863 5.39 157
立川国際中等教育 中等教育 130 608 4.68 127 130 655 5.04 125
武蔵高等学校附属 併設型 120 593 4.94 113 120 512 4.27 109
三鷹中等教育 中等教育 160 1,078 6.74 154 160 942 5.89 151
募集人員/応募者合計 1,383 8,281   1,301 1,380 7,897   1,290
10校平均倍率     6.02       5.74  

東京都教育委員会 都立中高一貫教育校応募状況より(エデュナビにて作成)

この状況を踏まえ、enaの「中学入試報告会」から2020年度に見られた主な特徴を見てみましょう。

将来的にはお試し受験層がいなくなり少数激戦に

現状、国内では少子化と言われていますが、東京都ではこの数年小学6年生の人口が増加の傾向にあります。それにも関わらず、2020年度の都立中では受験者数が減少しました。enaではお試し受験的な生徒が年を追うごとに少なくなってきていることが理由と考えています。

都立中は大学合格実績が好調で、しかも公立で授業料がかからないということから一気に人気が加熱。初期の頃は塾に通わなくても、小学校でいい成績を修めていれば、合格するのではないかという“お試し受験”的な生徒も多くいました。しかし、適正検査の問題は年を追うごとに洗練されてきており、難度は年々上がっています。

また倍率が若干低下したとはいえ、未だ5倍以上の高倍率を維持しています。将来的には、東大や開成が3〜4倍程度の倍率となっていることから、都立中もいずれこのくらいの倍率に落ち着く見込みです。しかし、適性検査の難度が高いことから、合格の可能性が高い子のみに絞られ、レベルが下がらないまま少数激戦になることには変わりない模様です。

難関校を避ける安全志向

小石川・武蔵の倍率が減少し、都立中の中では比較的入りやすいと言われている下位の学校に応募者が集まりました。

これは都立中に限ったことではなく、私立も同様、大学附属校のうち、早慶附属やMARCH附属は横ばい、もしくは下がっているのに対し、日東駒専附属は上がってきています。受験生全体に安全志向が働いている結果でしょう。

さらに武蔵、富士が2021年度、両国が2022年度に高校募集を停止する予定となっており、このことが受験生・保護者に好意的に受け止められ、倍率が上がりました。

2021年度以降の受験は大学入試改革の影響は必然

続いて都立中受験の次年度の動きをenaの分析から見ていきましょう。

私立大学の定員厳格化で受験生の流れが変わる

2018年度から私立大学の定員厳格化にともなって、大学の受験動向も大きく変動し、安全思考の流れ(「【2020年度国公立大学志願状況】志願者数低下の中、北海道・四国では増加に」)がその下の中高の選び方にも影響が出ています。前述したように私立中学受験においては大学附属校人気が続いてきましたが、これも2020年度は頭打ちとなりました。

さらに都立でも安全志向で下位の学校に流れており、次年度も安全志向の傾向は続くと思われます。

併設型学校の高校募集停止で中学枠増?

すでに発表されているとおり、併設型学校においては高校の募集を停止することが予定されています。白鷗は未確定ですが、現在決まっている学校ですと、2021年は武蔵・富士です。2021年は、新小6年生、2022年は両国、大泉で新小5年生がちょうど受験に挑む時期となります。

enaでは高校の募集が停止されることで、中学の募集枠が1クラス分(40名)程度拡大するのではないか、と予想しています。

edu’s point

改めて2020年度の状況を確認し、併設型学校の高校募集停止のインパクトが大きかったことがわかりました。受験できる都立高校が少なくなるという状況は、高校からと考えていた受験の前倒しを検討する生徒も増えてくるでしょう。