男の子が将来、生きづらさを感じないために、過ちを犯さないために、今できること(2ページ目)

『「男らしさ」から自由になるためのレッスン』とは?

『「男らしさ」から自由になるためのレッスン』とは?

社会から受ける影響は大きく、家で起動修正しないとまずいことになると思い、「エデュナビ」のブックレビューで取り上げた「これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン」を読みました。

著者のジェンダーへの学識の高さと知識量に圧倒されながらも、実体験を踏まえた考察や小島慶子さんなどの著名人との対談など、大変読み応えがありました。

著者の太田啓子さんは弁護士であり、2人の息子さんを持つ母親です。
なので、本に書かれている、太田さんが子育てをする中で直面したこと、悩みながらも実践されているエピソードに共感が持てます。

「男子あるある」は笑い飛ばさないとやってられない! でも…

緑茶がもっともハッとさせられたのは次の文章でした。

私自身、何度言っても同じことをくりかえす息子たちを前に、「もういいか、注意しなくても……」とあきらめたい誘惑に常にかられています。そういうときに「男の子はそんなもんだよ」という言葉は、もうあきらめて放り出したいという気持ちを正当化してくれます。

日々の子育ての中で、正しさばかりを追求できないのは仕方ないことですし、実際、ほんとうに些末なことはほうっておいてもいいのでしょう。ただ「男子あるある」で流しがちなことの中に、ほんとうは受け流してはいけないものが混じっていないかと、立ち止まって考えるべき場面もあるのではと思います。

なぜかというと、そうやって「男の子は仕方がないよねー」で流してしまったことの積み重ねが、大人になってからの男性たちが他人や自分自身の痛みに気づけない鈍感さ、まさに「有害な男らしさ」の遠因になっているかもしれないからです。