開成・麻布・武蔵の教育はここがすごい! 独自授業を男子御三家保護者に聞きました。【前編】

最難関男子校の教育や授業が、どのように行われているのか気になります。そこで、お子さまが開成中学校、麻布中学校、武蔵中学校に通っている保護者に話を聞きました。お子さまは学校のことをなかなか話してくれない年頃だからこそ、保護者が知り得た学校の情報は貴重です。

【話をお聞きした方】

まめさん:開成中学校
ネコさん:麻布中学校
サクラさん:武蔵中学校

入学前の春休みに課題はない⁉

入学前の春休みに課題はない⁉

エデュ:学校からやるようにと言われた春休みの課題はありましたか?

サクラさん:春休みの課題はありませんでした。学校からは「受験勉強で頭のネジが縮こまっている状態だから、学校に入る前にビヨンビヨン伸ばして、緩めて来てほしい」と言われました。塾には行かないように、何もしないようにという感じで。

ネコさん:「とにかく受験勉強で凝り固まったものを、もう一回緩めてほしい、だから塾に行くのは本当にやめてください」とすごく言われました。春休みの課題はもちろんなしです。

まめさん:塾に行かないようにと言われました。「体を作りましょう」とだけ。それが春休みの課題だったのかもしれません。

最初の定期テスト、もう親はフォローできない…

エデュ:最初の定期テストはどうでしたか? フォローはしましたか?

サクラさん:武蔵は、学校が作った独自の教科書を使っていて、内容も難しくて。プリントも多いから、今何をやっているのか全然わからないんです。フォローしてあげたいけど正直できなくて。何もしなかったら、最初のテストはものすごく悪い成績だったんです。
でも、いくら私が言ったところでやらないとわかっていたので、レポートを手伝うことにしました。武蔵はレポートが多いんです。自分でできるようにならないといけないので、本当は良くないと思うのですが…。

まめさん:プリントを使っての授業がほとんどです。でも、そのプリントも学校のロッカーに入れっ放しの状態なので、学校で何の授業をやっているのか、どこがテスト範囲なのかもわからなず、親は何もできないというのが実状です。
はじめての定期テストでは、本人がどういうものかを理解していない状態で、テストは勉強せずに受けるものという感覚でした。私が、「テスト前にはいろいろ見返しが必要なんだよ」と言っても、「うるさい」と言って聞いてくれなくて。もう痛い目見るしかないなと思ってほっておいたら、案の定ひどい点数を取って帰ってきて。やっぱり勉強しなくてはいけないんだなとわかったみたいです。

ネコさん:独自の授業でプリントが多いですね。英語はニュートレジャーを使っているので、特別な授業ではないと思います。なので、英語だけは音読させたりとフォローしました。結果、英語の成績だけはすごくいいんですけど、他は放置だったので普通でした。その後のテストも、中高一貫でゆったりしているのか、テスト前でも30分から1時間ぐらいしか勉強しなくて。でも、普段の授業がすごく面白くて、割と授業中にいろいろ吸収してくるみたいです。

授業を生徒がリクエスト? 作曲ができる? 先生の趣味の授業?

エデュ: 授業が独自ということですが、特に独創的で面白いと思ったカリキュラムはありますか?

ネコさん:先生が作られた生物の授業用の冊子を見たんです。「ここまでやるの⁉」というぐらい内容を極めすぎていて、先生の趣味でやっているんじゃないかなって。「別に理解したくない人はしなくていいよ」みたいなスタンスで、「興味がある人だけに深めてほしい」という雰囲気も感じました。面白そうだと思ったのは、「世界」という授業。地理や歴史含めて総合的に世界を学ぶ授業です。
そういった独自の授業が受けられるのは、すごく良かったなと思っています。

サクラさん:独自だと思ったのは「地学」。1年生の時は学校が地学に力を入れていて、箱根の地層とか大地の様子を見に行ったり、授業も石をひたすら削って薄くして絵を描いたり。面白いと思ったのが、定期テスト後に1週間、特別授業があるんです。生徒が先生に「こんな授業をやってほしい」とリクエストして、その内容を授業にするみたいです。

まめさん:授業もプリントを使っているので独自なんだと思います。宿題はなくレポートも少ないようですが、プレゼン資料を作ることが時折あります。授業では、みんなの前で発表するということを大事にしている感じがしますね。
独自という点では、中1の音楽で1年間ピアノの授業があるんです。音楽室にクラス全員分の電子ピアノがあって。2年、3年となるとまた違う音楽の授業になると思うのですが、作曲もできるようにもなるらしいです。運動会のときに組ごとに生徒が応援歌を作るんですよ。誰でも作曲ができるように、ピアノは一通り弾けるようになっておくということもあるみたいです。

edu’ s point
男子御三家の「教科書をほとんど使わない」授業がどのように行われているのか、保護者の言葉で具体的に伝わったのではないでしょうか。
今回のポイントのおさらいです。

■入学前の課題はない
入学前の春休みに課題を出す中高一貫校も多い中、最難関である開成、麻布、武蔵が「春休みは塾に行かないように」と保護者に伝えていることに驚いたのではないでしょうか。しかし、学校の「緩めてほしい」という話で納得! 入学後に始まる新しい学問を、スポンジのように吸収してほしいという意図があるのでしょう。

■定期テストのフォローは難しい
お子さまの中学受験の学習をフォローしてきた多くの保護者は、中学校に入っていきなり手放して良いものかと悩みます。男子御三家の保護者の話から、フォローしたくでもできない状況がうかがえました。学習面でも親離れ、子離れが自然できそうですね。

■独創的な授業
中学校からアカデミックで深い学びが行われていることがわかります。何事も極めていくという教育方針は3校共通ですが、それぞれにアプローチが異なっているように感じました。