【2020年度国公立大学志願状況】志願者数低下の中、北海道・四国では増加に(3ページ目)

国立では千葉大学志願者が5年連続最多。公立大学では大阪府立大学

国立大学で一番多い志願者を集めたのは千葉大学の10,212人でした。

千葉大学では、2016年度には国際教養学部の開設がきっかけとなり志願者数を伸ばしてきました。さらに2020年度には国立の総合大学では初となる、学部学生、大学院生を対象に海外留学を必修化する「全員留学」の取り組みがスタートします。こうした、大学あげてのグローバル人材育成が志願者増につながっているものと思われます。

公立大学では大阪府立大学の8,089人でした。同大学の工学域は中期日程で行われることもあり、後期日程がない大阪大学や京都大学の併願先として選ばれる傾向にあることから、全体的に志願者数が多く集まっていると言えるでしょう。

国立大学志願者数上位5校

1位 千葉大学 10,212人
2位 北海道大学 9,752人
3位 神戸大学 9,315人
4位 東京大学 9,259人
5位 京都大学 7,669人

公立大学志願者数上位5校

1位 大阪府立大学  8,089人
2位 東京都立大学  7,885人
3位 高崎経済大学  6,228人
4位 大阪市立大学  5,718人
5位 北九州市立大学  4,438人

「令和2年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」(文部科学省)より

また志願倍率が最も高かったのは、山口県にある山陽小野田市立山口東京理科大学でした。2018年4月に山口県では初の薬学部を設置した同大学。2019年度では募集人員212人に対し、2,392人の応募があり、11.3倍の高倍率でしたが、2020年度では前年度同じく募集人員212人に対して昨年を上回る2,933人の志願者を集め、13.8倍の高倍率となりました。

edu’s point

志願者が減少したことで多くの国公立大学でもその影響を受けた形になりましたが、前年度より志願者増もしくは小幅な減少に留まった大学の傾向を探ってみると、千葉大学のように総合大学でありながら、グローバル人材育成に大学をあげて打ち出していること、理工系に特化した大学などは強いという印象です。

「令和2年度の新増設・学部・学科情報」でもご紹介したように、時代のニーズに合わせて新学部・学科を開設・増設する大学も増えていることから、学部、学科の細分化・専門化がますます進む傾向にあります。さらに2021年度からはいよいよ大学入学共通テストに変わります。

大学の傾向を探る上で志願者数から見てみるのも一つの方法かと思います。2020年度は新型コロナウイルスの影響で後期日程を中止するなど想定外の出来事もありました。こういった社会の変化の影響でどう動くか注目です。