【中学受験】塾通いはいつから?最終的にどの塾を選ぶ?

首都圏では、中学受験での塾通いは小学3年生の2月からが一般的です。理由は、大手塾にて、小学6年生の1月・2月の中学入試に照準を合わせた3年間のカリキュラムで授業が行われているからです。
しかし、一部の塾では満席のため入塾できない校舎もあり、小学1年生、2年生から塾通いをするご家庭も。
そこで、首都圏の入塾事情を踏まえつつ、塾通いを始める時期や入塾テストの準備、ご家庭に合った塾の選び方について、Webメディア「ホンネで中学受験」代表のユウシンさんにうかがいました。

すでに満席で入塾できない校舎が…。低学年から入塾させた方がいいの?

すでに満席で入塾できない校舎が…。低学年から入塾させた方がいいの?

インターエデュ(以下エデュ):いつから塾通いを始めたらよいでしょうか? 塾によって入れない校舎もあると聞きますが…。

ユウシンさん:確かに現時点では、3年生以下に関してはほとんどの校舎が満席になっています。ただ、4年生以降になると、ほとんどの校舎で定員が増やされ、入塾できるようになるはずです。
もし、小学3年生2月の段階でご希望の校舎に入れなかったけれど、どうしてもその校舎に通いたいとしたら、中学受験用のテキストを使って自宅学習で準備し、4年生以降に空きが出る段階を狙う方がよいでしょう。

エデュ:人気の校舎に1年生、2年生から入塾しておくというのはどうでしょうか?

ユウシンさん:新4年生、または新5年生からの入塾を検討するのでもよいと思っています。
なぜなら、低学年での塾の学習のほとんどは、中学受験に直接影響することではないからです。
低学年では、たとえば「くもん」などで計算の学習に一生懸命取り組んだお子さまは算数の成績が良くなります。しかし、中学入試は、その力だけでは太刀打ちできません。
また、低学年の頃から中学受験塾に通って、塾通いや勉強が嫌いになってしまうケースも少なくないので、その方がご家庭にとって厳しい状況となります。

私自身は未就学児の頃から「くもん」に通い、低学年の頃は全国一桁台の順位を取るほどでした。しかし、高学年になって、計算力だけでは太刀打ちできない学習になってからは、次第に成績が下がってしまいました。
早くから塾通いを始めたからといって、中学受験に有利になるわけでもありませんので、焦らずに、新4年生からの塾通いを目指して、ご家庭で準備されることをおすすめします。

入塾テストの勉強はした方がいいの?

エデュ:入塾(入室)テストの準備は必要でしょうか? 必要だとしたらどんな勉強をするとよいでしょうか?

ユウシンさん:これまでに学校以外の学習をやってこなかった場合は、たとえ学校のテストで100点を取っていたとしても、合格点が取れずに入塾できないケースはあります。よって事前準備は必要です。

多くの入塾テストでは、国語は漢字や文章の読解、算数は計算やパズルのような問題や短めの文章題が出題されます。

塾に入ることだけを目指す対策であれば、入塾を希望する塾の学びに近い問題を解くとよいでしょう。入塾の時期によっては、塾生向けのテストが入塾テストになるためです。
国語であれば読解、算数であれば文章題が手厚い市販の教材で十分です。
もちろん、基本的な計算力や漢字力の強化も忘れてはいけません。

ちなみに、上位クラスでの入塾を目指すのであれば、四谷大塚の「予習シリーズ」でどんどん先取りしていくのがおすすめです。
ただ、お子さまの能力を超えた先取り学習をしても意味がありませんので、そこは注意が必要です。

最終的に選ぶ塾は、どのようにして選んだらいいの?

エデュ: 塾を選ぶ上で、どういった点を判断材料にしたらよいでしょうか?

ユウシンさん:判断にあたり、保護者が具体的に見ていくポイントは3つあります。

1つ目は、通う塾生のボリュームゾーンのレベルです。
たとえば、勉強が苦手で自主学習をこれまであまりしてこなかったお子さまが、レベルが高い塾や校舎へ入塾テストもぎりぎりで入った場合、授業についていけずに苦しむケースも少なくありません。
お子さまの現在の学力レベルに合った塾を選ぶことは大切です。

2つ目は宿題の量です。大手塾でいえば、サピックスや早稲田アカデミーは量が多く、日能研はさほど多くありません。お子さまが量をどんどんこなして食らいついていけるタイプなのか、量が多いとやる気がなくなってしまうタイプなのかなど、お子さまの性格で見極めましょう。

3つ目は、塾のサポート体制です。日能研、希学園、早稲田アカデミーはサポートが手厚く、塾から保護者への連絡や情報提供も充実しています。
一方で、サピックスは授業に力点を置いており、お子さまの学習進度の確認といった学習面でも、保護者がサポートを担う部分が多くなります。

エデュ: 最後に、塾選びで最も大切にすべきことを教えてください。

ユウシンさん:こういった客観的な視点も持ちながら、最も大切なのは、お子さまがその塾に通いたいと思うかどうか、保護者として安心感を持てるかどうかです。

体験授業を受けてみて、先生が面白かった、雰囲気が合っている、居心地が良いなど、お子さま自身の「通いたい」という気持ちが絶対条件です。

保護者の方は、校舎長や常勤の講師に話を聞いて「ここにお任せしよう」と思えるかどうかです。同じ塾でも校舎によって違いがあるので、必ず塾に足を運んで確かめましょう。

ユウシンさんのプロフィール

Webメディア「ホンネで中学受験」代表。進学塾講師、家庭教師として首都圏を中心に活動。自身の受験経験や指導の中での気づきをもとに、YouTubeやSNSなどで、中学受験に関する情報を発信中。