【大学受験】「高大連携」の目的とメリットとは?大学と私立中高一貫校の取り組みもご紹介

昨今の教育改革の一環として進められている「高大連携」。ご存じの方は、「大学の授業が受けられる」、「進路選択に役立つ」など、進路選択におけるメリットを思い浮かべるのではないでしょうか。
実は、高大連携に明確な定義はなく、取り組みを行っている大学や高校、自治体によって連携の内容はさまざまです。
そこで、高大連携を行う目的やメリットを整理し、高大連携協定を締結した大学の事例を調査しました。

高大連携の主な目的は?

はじめに、高大連携が実施されるようになった背景と目的を見ていきましょう。
日本私立学校振興・共済事業団が運営するWebサイト「大学ポートレート」の高大連携の用語辞典には、

「高等学校における教育の多様化・選択の幅の拡大や、大学進学率の向上・少子化による大学入試の多様化・易化が、大学生の学力や学習意欲の低下につながっているのではないかという問題意識を背景に、学生を高校から大学に円滑に移行させることの重要性が指摘されるようになりました。高大連携により、高校生の大学における学習に対する目的意識や将来に対する意識の向上を図ろうとするものです。」

と記載されています。

説明にある「問題意識」を紐解いてみます。

近年、大学数の増加と少子化により「大学全入時代」と言われています。大学入学のハードルが下がったことで、大学生の学力水準の低下も問題視されています。加えて、大学進学率が5割を超えており、大学で学ぶ目的意識がないままに、まわりに合わせて進学するといった生徒も増えてきました。

こうした問題を背景に、高校生が大学進学における目的意識と意欲を持ち、大学進学を見据えた学習が行えるようにと高大連携が広まっていきました。

続いて、高大連携の具体的な取り組みの内容を見てみましょう。

高大連携の主な目的は?

文部科学省の「高等学校と大学との接続における一人一人の能力を伸ばすための連携(高大連携)の在り方について」では、
・大学が実施する公開講座を受講する
・大学の教員が高等学校に出向き、「出前講座」「土曜講座」等の講義や実験実習等を行う
などが挙げられています。

このように、高校と大学が協働して教育活動を行うことで、高校生は大学の授業や研究テーマに触れることができます。その結果、大学進学後を具体的にイメージしながら、将来に向けて大学で学ぶ目的をより明確にできるというわけです。

高大連携のメリットは?

高大連携の取り組みは、高校側だけでなく、大学側にもメリットがあります。

高校側のメリット

高大連携には、生徒への進路指導の一助となるだけでなく、2022年度から高等学校でスタートしている科目、「総合的な探求の時間」に生かせるメリットがあります。「高等学校学習指導要領(平成30年告示)総合的な探究の時間編」によると、「総合的な探求の時間」の目標の一つとして、

「探究の見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成することを目指す。」

との説明があります。

「総合的な探求の時間」において、こうした広範囲の学習を進めるためには、大学の協力も必要です。高大連携により大学とのネットワークができると、出張講座を「総合的な探求の時間」に充てることができ、高校生の学びの幅も広がります。また、高校側の授業準備の負担も軽減されます

大学側のメリット

高大連携は、大学独自の研究内容や学部の情報を高校に提供できる機会になります。交流を通して高校生が大学に対する知識が増えることで、進学先の大学、学部とのミスマッチが起こりにくくなります
また、学ぶ目的を明確にして入学する学生は意欲的でもあるため、大学はアドミッションポリシーに合った学生を集めることができます

高大連携の具体例は?大学の取り組みを紹介!

多くの大学で高大連携の取り組みが進んでいます。高大連携協定を締結した首都圏の大学と私立中高一貫校の具体例を見てみましょう。

積極的に高大連携を進めている大学

東京女子大学と高大連携協定を締結した私立中高一貫校(2022年11月1日時点)

・麹町学園女子中学校・高等学校
・玉川聖学院中等部・高等部
・横浜女学院中学校高等学校
・桐朋女子中学校・高等学校
・女子聖学院中学校高等学校
・捜真女学校中学部・高等学部
・東京純心女子中学校・高等学校
・国府台女子学院中学部・高等部
・恵泉女学園中学・高等学校

東京女子大学の高大連携の取り組み例

同大学の教員による高校での「模擬授業」は、文系、理系から幅広く多数のテーマが用意されています。また、一方向の授業だけでなく、捜真女学校高等学部においては、2年次に実施された総合学習「ポスターセッション」にて、東京女子大学の教員がポスターの講評を行う取り組みもありました。「高校との連携 | 大学について | 東京女子大学」より)

東京薬科大学と高大連携協定を締結した私立中高一貫校(2022年11月1日時点)

・工学院大学附属中学校・高等学校
・東京純心女子中学校・高等学校
・十文字中学・高等学校
・大妻多摩中学高等学校
・八王子学園八王子中学校・高等学校
・桜美林中学校・高等学校

東京薬科大学の高大連携の取り組み例

各高校が目指す人材育成の支援として、それぞれが掲げる教育方針に合わせた連携が行われています。工学院大学附属中学校・高等学校の生徒は、東京薬科大学の実務実習教育センターや薬用植物園などの見学や実習室での実習などを体験しました。医療、環境、工学に携わる優秀な人材の育成と生徒の夢の実現に向けた強固な協力体制を構築していくことが目的とされています。(「姉妹校・大学間連携・高大連携・連携企業団体|東京薬科大学の取り組み」より

神奈川大学と高大連携協定を締結した主な私立中高一貫校(2022年11月1日時点)

・神奈川大学附属中・高等学校
・鎌倉女学院中学校・高等学校
・神田女学園中学校高等学校
・北鎌倉女子学園中学校・高等学校
・捜真女学校中学部・高等学部
・玉川聖学院中等部・高等部
・新渡戸文化中学校・高等学校
・武相中学・高等学校
・横浜隼人中学・高等学校

上記含め、神奈川県、東京都、静岡県、北海道の公立・私立108校、1センターと連携協定を締結しています。

神奈川大学の高大連携の取り組み例

高大連携の拡充が進む神奈川大学では、大学と高校間の取り組みにとどまらず、
「地元神奈川県内の初等中等教育全体をも対象とし、それぞれの学校種にあった連携をもって県内教育の中核としてその一翼を担う。」
と自治体との連携も基本方針として掲げています。(「神奈川大学の高大連携事業とは/高等学校との連携|神奈川大学」より)

大学付属校以外の私立中高一貫校と高大連携協定を締結した主な大学

大学付属校の高等学校はもとより、高大連携が行われていますが、上述の神奈川大学のように、付属校・系属校ではない学校と連携している大学はほかにもあります。
法政大学は、隣接する三輪田学園中学校・高等学校と2015年に高大連携協定を結びました。理科実験教室といった体験授業や外国人留学生との交流事業などを行い、交流を深めるなかで、2022年9月28日に高大連携の拡充を発表しました。
拡充事業の一つに、学校推薦型選抜による受け入れを開始、最大30名とするという内容があり注目されています。(「法政大学と三輪田学園高等学校が高大連携に関する協定事業を拡充」より)

東洋大学は、麹町学園女子中学校・高等学校と2016年に高大連携協定を締結しました。
連携の内容として、2017年度から「東洋大学グローバルコース」を新設し、学生募集を行うことが盛り込まれました。
東洋大学グローバルコース3期生においては、生徒の85%が英検2級を取得し、2022年3月に卒業した生徒の約7割が東洋大学に進学するなど、実績を残しています。(「麹町学園女子中学校高等学校と高大連携に関する協定を締結しました|東洋大学」より)

高大連携は今後も発展をし、多くの高等学校にて取り組みが行われることでしょう。中学校、高校選びのポイントの一つとして、情報収集してみてはいかがでしょうか。