みんなが休むから休むではなく、学校を休む理由が明確にあることが大切
お子さんの心の安定のため
中学受験のために1月は学校を休んだ方がいいか?という相談は、毎年とても多くありますが、教育に携わる立場としてまず学校へ行くことは大前提としています。
その上で、新型コロナ・インフルエンザ予防のためのお休みはご家庭の判断でよいと考えます。また、学級崩壊している、いじめが横行しているなど、子どもが学校に行くことによってさまざまな理由で気力も体力も消耗してしまう場合もお休みを検討してもよいと思います。学校を休むことで余計なストレスがなくなり、自宅で自分らしくいられるため、子どもの気持ちがポジティブになり、元気になります。これは何より大切なことです。結果的に、勉強にも集中できるようになります。
合否に関わる対策のため
過去問演習が追い付いていないご家庭も、学校を休むことを視野に入れます。
もちろん、学校へ行きながら過去問演習をできるのがベストですが、1月になっても第1志望校の過去問が2年分しか解けていない、あるいは第2第3志望の過去問に全く手をつけられていない場合には、過去問を解くための時間を確保する必要があります。なぜなら、この数回の過去問経験があるかないかが合否に大きな影響を与えるからです。
学校を休んで演習をする場合は、親が主体となってスケジュールを時間単位で組み、確実に問題を解き、答え合わせ、間違い直しまで必ず確認をするようにしましょう。子どもに過去問だけポンと与えておいても、過去問の無駄使いになる可能性は高いです。
学校をお休みさせるときは子どもへの接し方に注意!
1日の生活に「メリハリ」をつける
両親ともに仕事で家にいない場合は、お子さんを日中まるまる1 人にしないようにしましょう。1日中1人で同じ場所にいるという状況で勉強のできる小学生は、ほとんどいません。午前中は図書館に行く、午後は家庭教師や個別指導の先生に来てもらうなど工夫をし、物理的に「メリハリ」を作ることが大事です。
仕事モードで子どもに接しない
両親ともにテレワーク等で家にいる場合、子どもは両親の目があるので遊びはしないのですが、親の方が子どもの様子が目について小言を言いがちです。親は仕事モードになっているため、だらけている態度を見るとイライラが起こりやすくなっています。お子さんに接するときは仕事モードを一旦リセットしてからにしましょう。
子どもが一人になれる時間も大事
お仕事をされていない方は、無理やりにでも、1日30分~1時間でよいので外出をしてください。親がベッタリついてピリピリしている状態では、子どもの心も疲れてしまいます。親がいない時間に、子どもは心から休息して、やる気の充電ができます。
そして、外から帰ってきたときにもし子どもが勉強していなくても、怒らないこと。小学生とはそういうものです。子どもにも充足した心だけでなく、罪悪感も生じているため、その後の勉強はかえって集中できるようになります。
学校を休みたくない場合は、休み方を工夫しよう
休み方も工夫をしよう
出席日数の都合で学校をあまりお休みしたくない場合は、早退にすれば出席日数に傷がつきません。
また、お子さんは学校に行きたいのに、過去問の進捗状況などでやむを得ず休むと決めた場合は、お子さんにとって負担のない休み方を考えましょう。たとえば週に2回休むと決めた場合は、塾のある火・木を休んで、月・水・金と一日おきに学校へ行く、あるいは月・金をお休みにして、学校に行く日を水~金と連続にするなど。ベストな休み方をお子さんと相談して探りましょう。
親が冷静になってお子さんに寄り添って!
今までずっと他人事だった中学受験も、受験直前期は「過去問で点数が取れない」などの現実を目の当たりにして、子どもは自己肯定感と自信を失いがちな時期です。そのような時に、親が全否定するような関わり方をすると、お子さんの心はズタズタになり、中学受験が終わっても深い傷を残すことになります。「直前期だから必死に勉強して当たり前」という親の理想を押し付けず、お子さんの気持ちを汲み取って接してあげてください。
安浪 京子(やすなみ きょうこ)先生
中学受験カウンセラー 算数教育家
関西、関東の中学受験専門大手進学塾にて算数講師を担当、生徒アンケートでは100%の支持率を誇る。
プロ家庭教師歴20年以上。
中学受験算数を専門としたプロ家庭教師集団、株式会社アートオブエデュケーション代表。きめ細かい指導とメンタルフォローをモットーに毎年多数の合格者を輩出している。