【中学受験2022】直前期のやる気を維持する方法【富田佐織先生】

直前期にやる気を失ったり、モチベーションが上がらないときはどのように対処したよいのでしょうか。アートオブエデュケーション関東指導部長の富田佐織先生にアドバイスいただきました。

直前期に子どもがやる気をなくす原因と対処法

直前期の子どもの心はとても繊細で、ちょっとしたことでやる気が減衰してしまいがちです。特に男の子はその傾向が強いように感じます。お子さまのやる気が減衰していると感じたら、その場かぎりの声がけをするのではなく、理由は何かを確認する必要があります。本人を問い詰めるのではなく柔らかい言葉で聞き出して、どんな状況になっても「親は味方だよ」と伝えることが大切です。

不安でおしつぶされそうになっている

不安でおしつぶされそうになっている

誰でも不合格を突き付けられるのは怖いものです。不安から逃げ出したい気持ちになり、現実逃避に走る子、投げやりな態度になる子が多いように感じます。親は気合いが入っていないととらえがちですが、不安になっているのですから、きつい言葉をかけないよう注意してください。
教え子のやる気が減衰していると感じたときには、受験は合否だけでなくやり遂げることが大切だからとにかく完遂するように伝えています。お子さまのためにも、正しい成長につながる中学受験にすることが大切です。合格して終わりではなく、「目をそらさずに現実を見て難関を突破しよう、乗り越えていこう」と伝えてあげてください。

大人の心ない言葉でやる気を失っている

直前期の子どもは繊細ですので、大人がやる気を喚起するためにかけた厳しい言葉で不安になることがあります。塾の先生など、周囲の大人による声がけが気になるときには、控えていただくようお願いするのも一つの方法です。
親御さんも、お子さまの様子が気になって、きつい言葉をかけてしまいそうになることがあると思います。大人がかけた言葉の中でも親の言葉が一番心に刺さるものです。きつい言葉が出そうになったときは、ネガティブワードをポジティブワードに変換して伝えることをおすすめします。

単純に疲れているというケースも

今のお子さまは成長が早いため、受験直前期が成長期と重なることがあります。特に女の子はホルモンバランスも乱れがちになり、とにかく眠くて勉強が手につかないという子が少なくありません。眠気に襲われて勉強の効率が悪くなり親に怒られる、そして点数も悪くなって落ち込む、という悪循環に陥らないよう、夜はしっかり睡眠をとることをおすすめします。

また、今年に関して言いますと、秋に緊急事態宣言が解除され、学校行事が盛んに行われるようになりました。緊急事態宣言の影響で体力が落ちているところに学校行事が重なり、単純に疲れていることもあると思います。学校行事はおろそかにしないでほしいのですが、お子さまが疲れやすい状況にあることは理解してあげてください。
お子さまが疲れているときは、ゆっくり睡眠をとる日を作ってあげましょう。1日くらい寝坊をしても受験には影響がありません。健康な心は健康な体に宿ります。睡眠・栄養をしっかりとって、お子さまの心身の健康を充実させてあげてください。

富田 佐織(とみた さおり)先生

富田 佐織(とみた さおり)先生

アートオブエデュケーション関東指導部長。中学受験カウンセラーとして年間120件超の学習カウンセリングをし、的確な分析力で志望校合格に導いている。桜蔭学園卒。四谷大塚に飛び級入塾し、公開模試1位。元大手塾算数講師。著書に「中学受験算数 教え方のコツ」(PHP研究所)。朝日新聞EduAにて『親子で挑戦 ・ 中学受験算数』を連載中。プレジデントファミリー等各教育誌で取材多数。