【中学受験2022】直前期、プラス数点を取りに行く学習法【小川大介先生】

中学入試直前期の学習のポイントを、教育家の小川大介先生にアドバイスいただきました。

できる問題を本番でもできるようにすること

受験直前期の合格可能性を高める秘訣は、「できる」と思える理由をどれだけ持てるかが大切です。本番でテスト用紙を見たときにできない問題に目が行ってしまうと、どうしようとうろたえてしまいます。入試本番で「できる問題を見つける目」を持てるようにすることが直前期の学習です。

直前期に苦手単元を克服しようと努力するご家庭が多いのですが、あまり実を結びません。苦手単元は基本知識を入れることにとどめて、それ以上は大胆にカットするという方針を取ることをおすすめします。

直前期に取り組みたい2つのこと

①できている単元の再点検

1:できている単元の再点検

1つ目は、できている単元の再点検です。
実は得意科目を本番で落としてしまうことがよくあります。得意であることには理由があって、自分なりの解き方や問題文の読み方などのスタイルがあるから得意なのです。直前期に苦手単元の克服に力を入れ、得意科目をおろそかにしてしまうと、そのスタイルを忘れてしまいます。できているものを入試当日できるようにしておくことがとても大切です。

②各教科の知識を入れ直す

2つ目は知識をもう一度入れ直すことです。教科ごとにポイントをお伝えします。

国語】

直前期の学習では、漢字学習が成果に繋がりやすいです。漢字学習は書き取りではなく、改めて小学校の配当漢字1,026字を再点検しましょう。『小学漢字1026字の正しい書き方』(旺文社)などを見ながら、漢字の意味や、音読み・訓読みを点検し、苦手な漢字をチェックすることをおすすめします。漢字で得点する力、失点をしない力を高めるポイントは、「言葉の意味」の再点検です。訓読みを意識して意味をおさらいしておくと、同音異義語の問題での間違いが防げます。

算数】

苦手単元に執着しすぎないことです。過去問演習を通して、入試本番に解答用紙が何割埋められて何割空白になるか、合格答案のイメージを持ってください。イメージどおり確実に解答できることに意識を向けます。

計算練習は1日に2~3問を毎日解くようにしましょう。早く計算するのではなく、確実に正解を出せるスタイルを点検しながら解いてください。また直前期は、問題を音読する時間も少し取り入れてください。子どもたちは無意識のうちに焦ったり緊張したりしています。問題を見ているつもりで、脳が見ていないという現象が起きやすくなります。音読をすることで、書いてあることを正確に読み取り、情報を漏れ落ちることなく拾い上げることができます。この感覚を整えておくと、思わぬ勘違いが軽減されます。

理科】

理科

てこやバネ、電気回路など、「計算系」と呼ばれる単元に苦手意識があるお子さまは少なくありません。直前期に計算系の単元を修正するのは難しいため、そのほかの単元の小問をいくつ拾えるか考えるようにしましょう。

小問は当たり前の知識で対応できる内容が出題されます。当たり前の知識をおさらいすることで、取れるはずの問題を落とさない対策となります。理科の暗記分野はカテゴリに分ける捉え方が重要になります。たとえば、植物も被子植物、裸子植物など性質によってグループ分けされていますよね。その分かれ目は何がどう違うのかを意識して、知識の再整理を進めてください。
また記述説明する問題も、定番のものは「用語」も意識して文を丸暗記していくといいでしょう。

社会】

知識の抜けが出てしまうと入試本番の焦りにつながるので、重要知識をもう一度おさらいしましょう。
歴史は年表を見て時代が切り替わるときに、どういった事件や戦があってどのように変わっていったのか、大きな流れを捉え直しておくことをおすすめします。
地理は雨温図を軸におさらいをするとよいでしょう。天候と地域特性等が全部絡んでくるのが雨温図のグラフです。雨温図に違いがあったら地形を思い出し、都市名や産業なども連動して思い出すというのが、おさらいするときのコツです。

公民は、手薄になるお子さんがほとんどです。社会が得意なお子さんは公民も万全でいけばよいのですが、そうでなければ、みんなが取れるものを落とさないことに集中しましょう。公民は、読み込めば読み込むほど分からないという気持ちが膨らみやすいので、重要事項に集中して学習するのがおすすめです。
昨今、長い文章の中から内容を判断する問題が出題される傾向にあります。一度解いた入試問題等でよいので、親御さんが問題文を音読してあげて、本人が聞きながら答えを判断する。読み取りながら考えるというサイクルをおさらいしておくとよいでしょう。

今のわが子を肯定する言葉かけを

中学受験において「やれるだけのことはやったね」と言って試験会場から出てきたお子さんは、結果に関係なく大きく育つものだと思っています。お子さまが「よし、やったぞ」思えるように、親御さんは「あなたなりで充分だから、今持っているもので会場に行けばいいよ!」と伝えてあげてほしいと思います。

小川 大介(おがわ だいすけ)先生

小川 大介(おがわ だいす)先生

教育家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。
京大法を卒業後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。メディア取材も多く、「親も子も幸せになれる はじめての中学受験」(CCCメディアハウス)など著書も多数。