子どもの「考える力」を引き出す10のマジックワードとは(3ページ目)

まず大人が自分自身に問いかけることが大切

まず大人が自分自身に問いかけることが大切

しかし、注意すべき点もあります。
それは、欲張らないこと。真面目な親御さんほど、10のマジックワードをすべて使おうとして、「頭がパンパンになってしまって」何も実行できないこともあるそうです。

そこで著者は「やってみたいことを(最大)3つに絞ってください」と書いています。最大3つなので1つでもいいとも言います。目前のテストの成績を上げるための勉強ではなく、子どもが自分の頭で考えるきっかけを作るのですから、別に欲張る必要はないのです。

この場合、その時々の状況でうまく問いかけの言葉を使い分ける必要もあるでしょう。たとえば、成績が伸び悩んでいる子に「なぜ伸びないの?」などと問えば、これは非難の言葉になってしまいます。勉強が嫌いな子に「楽しむにはどうしたらいいと思う?」などと聞いても、ほとんど嫌みにしか聞こえないと思います。

また、子どもの感覚は鋭く、何らかの意図をもって大人が発する問いかけには、敏感にその裏を探ろうとします。なんとか脳のスペックを上げてほしいと願ってマジックワードを発すれば、子どもはたちどころに親の意図を見透かし、逆効果になることもあり得ます。

10のマジックワードはとてもシンプルですが、使い方は意外に難しいかもしれません。著者はいくつかのワードについて「自分自身に問いかけてみるのが最も効果的」と記していますが、それは、すべてのワードについて言えるでしょう。ふだん、この10の言葉を自らに問いかけていない人が、付け焼き刃で子どもに問いかけても効果は薄いでしょう。大人の能力が試されるワードでもあるのです。

まずは、10のマジックワードとその解説を読み、こうした問いを自分自身に問いかけているかどうか、考えてみるといいのではないでしょうか。そして、自問自答の習慣があると確信できれば、子どもに対して少しずつ使ってみるといいでしょう。

その習慣がない、あるいは不安がある場合はどうするか。子どもに問いかける前に、「まずは大人が自問自答のかたちで問いかける」習慣をつける。大人の脳のOSもバージョンアップするのです。手間がかかるようですが、それが、このマジックワードで子どもの脳のスペックを上げるための王道ではないかと感じました。

『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』

石田勝紀著 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊、1,500円+税
『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』

「同じ学校で同じ授業を受けていて、同じ勉強をしているのに、なぜあの子はできて、うちの子は……?」 誰もが思う疑問に対し、著者が「東洋経済オンライン」の連載で回答したところ、その記事が驚異の265万PVを達成。120回の連載の中で最高の反響が得られたのです。 その連載をベースに、連載では書けなかった、さらに「深く本質的な方法」を加えて書籍化されたのが本書です。 自らの受験体験と、これまで3500人以上に生徒に直接指導してきた経験、さらには東京大学大学院で通算6年以上、周囲の東大生にヒアリングをもとに著者が発見したのは、「できる子はつねに学んでいる」ということ。教室での授業や家庭での勉強だけで差がついていたわけではありません。 そんな能力は生まれつきでは? と思いがちですが、実は、パソコンのOSをバージョンアップするように、どんな子どもでも、頭脳のスペックを向上させることができる。それが著者の結論。その方法として本書が取り上げているのが10の「マジックワード」。それはどんな言葉か、どのように日常生活で使えばいいのか。著者が詳細に解説していきます。

石田 勝紀(いしだ かつのり)さん
一般社団法人教育デザインラボ代表理事。1968年横浜生まれ。20歳で会社を設立し、学習塾を創業。これまで3500人以上の生徒を直接指導。講演会、セミナーなど間接的指導を含めると、5万人以上に上る。 いわゆる詰め込み勉強はさせず、「心の状態を高め」「生活習慣を整え」「考えさせる」の3つを柱に指導をすることで、学力上昇のみならず、社会に出ても活用できるスキルとマインドを習得させてきた。 現在は、「日本から勉強が嫌いな子を一人残らずなくしたい」という志のもと、「Mama Cafe」、執筆・講演活動を精力的に行っている。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書:『勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!』『はじめての子ども手帳(日付フリー式)』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『みるみる絆が深まる「親子手帳」』(学研)、『前向きな子はすべてがうまくいく』(海竜社)、『地頭が育つ5つの習慣』(KADOKAWA)ほか多数