小さい「目標設定」と、小さくて簡単な「段取り」が学力アップのカギ
夕飯をつくるとき、みなさんは何を考えるでしょうか。
おそらく、多くの人は夕飯の時間に間に合うようにと「目標設定」をし、大まかにでも「段取り」を立てた上で調理に臨むことでしょう。
実は、この「目標を設定し、そこから逆算して課題をこなす」という作業、勉強をする上でもとても大切なことであると齋藤先生は述べています。
とはいえ、ほとんどの人は「目標設定」はとても簡単なことだと思うのではないでしょうか。たしかに、ひとまず「志望校合格」とでも掲げておけば、一応立派な目標になります。しかし、「志望校合格」という目標はあまりにも遠大すぎて、うまく「段取り」を組めないことがほとんどです。
では、どうすれば良いのか。
齋藤先生は「ホップ・ステップ・ジャンプ方式」、もしくは「○○月間方式」を取り入れることを推奨しています。
「ホップ・ステップ・ジャンプ方式」とは、目標を3段階で立てること。具体例として「最初に文法書、次の段階でやさしい物語、さらに次の段階で少し難しいものを読む」という目標設定方法を挙げています。
一方、「○○月間方式」とは、1か月でひとつの能力を徹底的に鍛え上げ、さまざまな能力を順次強化していくことです。具体例としては、「英語の語彙を1万語に増やす1か月間」などを挙げています。これらの2つの目標設定方法には、「スモールステップ」という共通点があります。
小さな目標を達成するには、小さくて簡単な段取りを組めば済み、思いのほか呆気なく目標を達成できるものです。このことを踏まえた上でより小さな目標を数多く設定し、着実に目標を達成していけば、多くの成功体験を積み重ねることができ、勉強へのモチベーションを高めていくことができるでしょう。そして、ゆくゆくは大きな課題、すなわち受験を乗り越える力を身につけることができるはずです。
さらに、こうして培うことができる「段取り力」は、勉強のみならず、仕事をはじめとする人生全般に役立つと齋藤先生は述べています。
このように、本書には受験勉強のアドバイスかと思いきや、人生のアドバイスとなる金言がギッシリと詰まっています。志望校合格を目指して勉強に励む子どもはもちろん、社会の荒波に揉まれてもがいている大人も、齋藤先生が語る具体的な東大勉強法や奥深い言葉の数々に深い感銘を受けることでしょう。