【最終回:過去問の使い方次第で合格できる 】受験のプロ教師が算数の学習法を伝授(2ページ目)

「直近の3年分」こそ、早期に解くべき!

毎年のように「直近の3年分を残して、入試直前で腕試し用として残しておきます」というご家庭があります。
正直に言います。これは絶対ダメ! そんな寝言みたいなことを言ってはいけません。
プレ用に残すなら、少し古い年度の1年分を置いておくに留めてほしいです。
「直近の3年分」というと、本番に最も近いので最新情報の宝庫です。何度も繰り返したいのもそうですが、早くから傾向を探ることで、本番に向けた予想を立てる時間が多く取れます。
そして、問題を空で言えるくらいになるまで頭に馴染ませるべきです。

直前に試すなら、5年前ぐらいの古いもの

どうしても過去問を残しておき、直前に腕試しをしたいときは、5年前ぐらいのもので十分です。もし古い年度が嫌なら、すべての学校には当てはまりませんが、後期日程や二次試験などはOKです。腕試しの目的がペース配分の確認であるなら、古い年度のものでもいいはずです。

直前期は、やり尽くした過去問を解き自信を深める

直前期でも、分析し尽くしたボロボロの過去問集で時間を計ってやってみます
「それは、効果がないのでは?」と思われる保護者も現実にいらっしゃいますが、果たしてそうでしょうか。
何度も解いていてイメージができているので、良いシミュレーションになり、「これだけやった!」という自信にもなります。
よく世界タイトル戦前のボクサーは自分に自信を持たせるために、あえて自分のよく知っている格下のボクサーとスパーリングを行うそうです。試合前にわざわざ知らない相手とやりあって、もし滅多打ちにでもされれば、凹んで元も子もありません。直前に凹む必要なんてありませんよね。

それでも「直前まで取っておきたい…」というのであれば、待って入試2週間前までです。すぐにでもその最新過去問を分析しないといけないので、遅くても2週間前までに終わらせてください。なぜなら、直前には理科や社会、国語の漢字や語句など暗記系の時間が必要になってきます。時間はいくらでもほしいはずです。そこに過去問を細かく紐解く時間が入ってくるとなれば、3科目や4科目あると余裕を見て2週間というわけです。

中学受験の問題は本当に難しいものが多くなってきました。特に算数は、一朝一夕にいかない教科です。
とはいえ、受験はオリンピックで金メダルを取らせるほど過酷ではありません。ある程度の枠がある試験です。やり方次第で、気が遠くなるほどの勉強量は回避できるはずです。

一刻も早く、お子さんに結果の出る勉強法で学習させてあげてください。そして第一志望合格へと導いてあげてください。応援しています!

州崎 真弘先生のプロフィール

中学受験算数/数学講師、受験Lab 代表。授業一本で生徒と向き合い、型にはまらない授業スタイル・生徒を引き付ける独特の口調での解答へのアプローチは、ほかの講師と一線を画し、内容はもちろん、楽しさと厳しさで振り向かせる授業を展開する。『州崎先生の授業は休みたくない』と常に高い人気と支持を集める。開成中、灘中をはじめとすると難関中学志望者、医学部受験を目指す大学受験生を中心に、キャリアアップを目指す社会人や大学生まで、28年以上で指導した生徒は4800名を超えている。現在は受験Lab代表として、中学受験の算数Web講座・オンライン授業・リモート個別指導・添削指導の他、保護者向け受験コンサルティングなど、トータルな受験指導者として活動している。

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中学受験をするために、塾通いをしているものの、勉強量の多さに圧倒され、宿題も手つかず、復習も中途半端で知識が定着しないお子さまに向けて、効率的で成績が伸びる学び方を指南。受験の要である「算数」の学び方を軸に、家庭での勉強法や塾の活用法、過去問の解き方など、中学受験のプロ・州崎真弘先生が「受かる勉強」のコツを具体的に教えます。