身の回りや社会に目を向けることも中学受験勉強!~難関中学入試問題からの視点~

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難関中学の入試問題を見てみると、これからの中学入試がどうなっていくのか、そのヒントが見えてきます。また、これからの子どもたちに必要な力も知ることができます。そこで、進学個別指導塾TOMASの入試対策本部伊藤先生から、実際に難関中学の入試で出題された問題の紹介と受験に向けてのメッセージをいただきました。

受験勉強をすることで、世の中のことがよくわかるようになる

受験勉強をすることで、世の中のことがよくわかるようになる

最初に、受験生のみなさんや保護者のみなさんにお聞きします。

あなたは何のために受験勉強をしていますか?
あなたはどういう受験勉強をしていますか?

なぜ、こんなことを聞くのかと言われそうですね。それは、最近の中学入試で、こういうことを受験生に問いかけるような問題が増えているように思うからです。

別の見方をすれば、

・なんのために入試を行うのか?
・どういう入試を行うのか?

というテーマを、中学校の先生たちも一生懸命に考えて問題を作っているのだと思います。

受験勉強をすることで、世の中のことがよくわかるようになる。何か一つでもわかるようになると、またいろいろな疑問・興味が湧いてきて、もっと知りたくなる。そういう興味・関心を持っている受験生を、学校の先生たちも求めているのでしょうね。

中学受験生のみなさんから見れば、中学受験は一つの「ゴール」に見えるかもしれません。でも、中学校の先生たちから見れば、中学受験は中学生としての「スタートライン」なのです。

算数でも「読む力」が重要になってくる

~開成中学校算数入試問題から~

算数でも「読む力」が重要になってくる

はじめに2019年開成中学校の算数の問題を紹介しましょう。

K君が、弟のS君と一緒に、自宅からおばさんの家までスイカを運ぶというシチュエーション。

「おにいちゃん、ぼく、役に立った?」というS君の質問に、
「一人で運ぶのに比べて15/16倍の時間で運び終えられた」と即答するお兄ちゃん。

日常生活のほんの一コマを数量的に捉えて、こう即答してしまうのが、開成の子なのかもしれません。

ただし、この問題を紹介する理由は、そこではありません。この問題は、「K君が一人で運ぶのに比べて15/16倍の時間で運び終えられた」という条件を、「会話文」にして問題をつくっていますね。「ぼく=K君」「そうする=K君が一人で運ぶ」という言い換えをしているだけなのですが、こういう変化に弱い受験生が最近目立ちます。
『AI vs 教科書を読めない子どもたち』という本がベストセラーになりましたが、算数の問題を解く上でも、意外と「問題文を読めない」子どもたちが増えているのです。

勉強が苦手な生徒は、「解き方」を覚えて答えを出そうとしがちです。でも、「問題文を読む」「内容を理解する」ことができているかどうか。それを大切にすることが、これからの受験勉強では大切です。

(※解答は「開成中学校2019年度の算数解答」にあります。)

日常生活の「なぜ?どうして?」に興味を持って観察する力が大切

~女子学院中学校理科入試問題から~

日常生活の「なぜ?どうして?」に興味を持って観察する力が大切

一方で、2019年女子学院中学校の理科の入試問題も、日常生活の中の「なぜ? どうして?」を問いかける、おもしろい問題でした。「資源ごみ」のリサイクルをテーマにした大問ですが、その中でペットボトル本体をつくるときの、日本での決まりを考えさせる問題です。この決まりを、もともと知っている受験生はあまりいないでしょう。でも、いろいろなことに興味を持って、観察をしている受験生であれば、何か思いつけるはずです。

問題でも、「ペットボトル本体をつくるとき」の「リサイクルしやすくするため」の決まりという、条件設定がされていますね。この問題に、「ラベルを剥がしやすくしている」と答えた子もいますが、「ペットボトル本体」ではないので、残念ながらNGですね。でも、「リサイクルしやすくする」という点ではいい着眼点です。

実は、この問題は、「ペットボトル本体に着色・印刷をしない」というのが答えです。どのペットボトルも無色透明だから、細かく砕いて混ぜても、リサイクルがしやすくなっているのです。みなさんもコンビニに行って、実際にペットボトルの棚を見て確かめてくださいね。

図や表と自分の知識を結びつけて考える力が今後重視される

~麻布中学校社会入試問題から~

図や表と自分の知識を結びつけて考える力が今後重視される

2019年麻布中学校の社会の問題も、よくできた問題ですね。
社会人野球の優勝チームが、日本の産業の移り変わりと関係しているという問題です。「そういう視点もあるのか」と勉強になります。

受験生なら、1950年代、1970年代、2000年代がどういう時代なのかは知っているはず。それぞれの時代の優勝チームの企業は、その時代に業績の良かった業種ばかりですね。おそらく、業績の良い会社だからこそ、野球チームにもお金をかけることができたのでしょう。

表から得られる情報と、自分の知識を結びつけて考えられるかどうかがポイントですね。
ちなみに、このように複数の文章や表、知識を結びつけて考える力は、これからの大学入試でも重視されています。

(※解答は「麻布中学校2019年度の社会解答」にあります。)

勉強の題材は、テキストの中だけにあるのではありません。みなさんも、自分の身の回りや、社会に目を向けてみませんか? きっと、何か「気づき」や「疑問」が見つかると思いますよ。

取材協力:リソー教育(TOMAS)


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