海外大学進学を目指せる! 一歩進んだ私学の「グローバル教育」

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日本のグローバル化が進む中、国際的に活躍できる人材の育成が教育現場に求められています。その中で一歩進んだ「グローバル教育」を行っているのが私立中高一貫校です。ネイティブの教員が数名いて日常的に英語を聴く・話す機会があり、海外研修や留学プログラムが用意されているのはもはやスタンダート。さらに海外大学への進学にも積極的に取り組んでいる学校も増えてきました。そこで、近年私学で実施している「グローバル教育」について調べてみました。キーワードは「ダブルディプロマ」「ラウンドスクエア」「UPAA」です。

日本と海外の高校卒業資格が得られる「ダブルディプロマ」とは?

「グローバル教育」でよく耳にするのは『国際バカロレア※』(IB)。国際バカロレアの課す試験に合格し、国際バカロレア資格を取得すると、海外大学入学の資格が得られます。国際バカロレア資格取得のハードルはかなり高く、国際バカロレア認定校に通っていても取得できるとは限りません。そこで、日本と海外の高校卒業資格が得られる「ダブルディプロマコース」を設けている私学に今注目が集まっています。

※国際バカロレア:
国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
(参照元:文部科学省IB教育推進コンソーシアム

日本で初めてダブルディプロマを開始した文化学園大学杉並中学・高等学校。本校はカナダ・ブリティッシュコロンビア州のオフショアスクール(海外校)に認定され、2015年度より高校1年生から「ダブルディプロマコース(以下DDコース)」をスタートさせました。

コースの中身は、高1の夏休みに行われる5週間の短期留学および、高校3年間で日本とカナダ、両方のカリキュラムを同時に履修することで、日本とカナダの両方のディプロマ(高校卒業資格)を得られるというもの。

カナダ・ブリティッシュコロンビア州から派遣された教員によるカナダ式の授業と日本の授業の両方を受けるため、始業前の0時間目から7時間目という日や土曜日も授業があるなど、プログラムはかなりハードなもの。その結果、高校入学時に英検準二級だった第一期生が卒業時にその3割が1級を取得、さらに、The University of British Columbia (UBC)(ブリティッシュコロンビア大学)になんと1名が合格。本大学は「THE世界大学ランキング2019」では37位と、42位の東京大学より上位の大学です。2018年に続いて2019年も1名が合格しました。
(参照元:文化学園大学杉並中学・高等学校-「ダブルディプロマ」

2020年から「ダブルディプロマ」を導入する学校は3校

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このように成果を出し始めたダブルディプロマ。もともとグローバル教育に力を入れている神田女学園中学高等学校、国本女子中学校・高等学校、麹町学園女子中学校高等学校も2020年よりダブルディプロマを導入することが決まっています。

神田女学園では、アイルランドのRockwell CollegeとニュージーランドのAuckland Girls’ Grammar Schoolに留学することで、アイルランドの高校卒業資格を得ることができます。海外留学を主としたプログラムで留学の時期・期間は、トライアル留学として高校1年生の夏に1か月、高校1年生の9月から高校2年生の8月の12か月、高校2年生の6月から高校2年生の9月の3か月となっています。
(参照元:神田女学園中学高等学校-「ダブルディプロマプログラム(DDP)」

一方、国本女子ではカナダ(アルバータ州)と日本の高校卒業資格の両方が取得できるダブルディプロマです。ダブルディプロマコースを選択した生徒は、国本女子の校舎内にある、Kunimoto Alberta International School(KAIS)の生徒として、国本女子とKAISの2つの学校の授業を受けることにより、ダブルディプロマを取得できる仕組みとなっています。
国内留学を主としたプログラムですが、中学3年次はカナダ(アルバータ州)へ3週間から4週間の研修、高校2年次には、6週間から7週間のサマープログラムに全員が参加します。
(参照元:国本女子中学校・高等学校-「ダブルディプロマコース」

麹町学園女子は神田女学園と同様に、海外留学にてダブルディプロマを取得するプログラムです。提携校はアイルランドのRockwell College、ニュージーランドのEllesmere College、Waitaki Girls’High School、Timaru Girls’High Schoolの計4校。アイルランドへの留学は、高校1年生の9月から高校3年生の6月の22か月、ニュージーランドの留学は高校1年生の1月から高校3年生の12月で10か月、高校2年生の1月から高校3年生の11月で10か月、高校1年生の1月から高校3年生の11月で22か月の中から選ぶ形です。
(参照元:麹町学園女子中学校高等学校-「ダブルディプロマプログラム」

ダブルディプロマの需要が高まれば、他の私学でも導入されるかもしれません。これらの3校の卒業生が選ぶ、今後の進路に注目したいですね。

国際社会で活躍する若者を育成する「ラウンドスクエア」とは?

加えて、グローバル教育として最近注目を集めるのが「ラウンドスクエア」です。ラウンドスクエアとは、次世代の国際的リーダーの育成を目的として設立された、世界50カ国180校以上のメンバー校からなる国際規模の私立学校連盟のことを言います。ラウンドスクエアでは、「国際理解」、「民主主義の精神」、「環境問題に対する意識」、「冒険心」、「リーダーシップ」、「奉仕の精神」の6つ理念を掲げ、それらを体現するために国際交流や奉仕活動に取り組む活動を行っています。

現在ラウンドスクエアに加盟している首都圏の私立中高一貫校は、

啓明学園中学校高等学校
工学院大学附属中学校・高等学校
玉川学園中学部・高等部
八雲学園中学校高等学校

の4校です。
(※インターエデュ調べ)

加盟の認定を受けるには審査があり、建学の精神や学校の活動がラウンドスクエアの理念に合致していることが条件となります。よって、これらの学校は国際的に認められた学校と言えます。

ラウンドスクエア主催で毎年開催される「ラウンドスクエア国際会議」では、各国加盟校の生徒が参加し、環境や国際問題などをテーマにしたディスカッションや研究発表、ボランティア活動を行います。その会議に参加した生徒にとって、国際舞台での実体験は今後の人生の糧になるでしょうし、参加した生徒が持ち帰った経験は、他の生徒にも刺激となることでしょう。海外大学への直接的な切符にはなりませんが、グローバルに活躍する素地がこういった学校で育まれるのではないでしょうか。

世界共通の推薦入試制度「海外協定大学推薦制度(UPAA)」とは?

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日本の大学にも海外の大学も“現役合格”したい、高校在学中に海外大学の合格通知を得る方法として今注目されているのが「UPAA」です。
UPAAとは、協定校である英米の名門約20大学の合否審査を行うプログラムのことを言います。UPAAに加入の高等学校が推薦した生徒が、該当の大学へ共通願書で出願できるようにしているのも本プログラムの特徴です。

海外大学の出願の準備には大変な手間がかかり、海外大学進学を目指す生徒にとってのネックです。その点を解消しようと、UPAAでは協定大学に共通の願書で最大4大学まで出願を可能としました。また書類作成にかかる時間も1時間程度で、審査対象は高校の成績と英語力のみです。基本的にSATの受験も英文エッセイも不要なので、出願の手間・負担はほとんどありません。
さらに、出願から約2〜4週間で合否結果が届くスピード審査です。国内の大学受験の予定がなければ、年内から余裕を持って留学準備を進められます。

さらに、UPAAに加盟した高等学校向けのサポートも充実しています。UPAA運営事務局により大学選びから出願手続きまでの進路指導サポートや、TOEFLやIELTSの代用として認められているUPAAが提供する「UPAA認定試験」が校内で任意の日に試験を実施できます。そのほか入学準備サポートなどもあります。

また、国内の大学との併願においては、たとえば12月に海外大学に合格した場合、3月までに入学の可否を返答する猶予があり、さらにそれまでの間入学金も納めなくてよいこともUPAA協定大学を受けるメリットとなります。


首都圏の加盟校は現在、

神奈川大学附属中・高等学校
啓明学園中学高等学校
桐朋女子中学校・高等学校
東洋高等学校
日本大学高等学校・中学校
横浜清風高等学校
和洋九段女子中学校高等学校
(※インターエデュ調べ)

となっており、今後加盟する学校も増えることでしょう。

このように、私立中高一貫校を中心に海外大学への進学へのハードルはぐんと下がりつつあります。また、海外大学を目指さなくとも、海外に開かれた学校であれば、そこでの学びを通して、国際感覚を身につけることができるでしょう。ぜひ、こういった視点も踏まえて志望校選びにお役立てください。