地方から東京のトップ進学校への受験をサポートする!現役高校生たちの取り組み

inter-edu’s eye
「難関中学・高校の進学を目指している地方の受験生たちを応援したい」そんな思いを実行に移した高校生がいます。現在、筑波大学附属駒場高等学校2年生の森中さんです。そして、その思いを共有したメンバーとともに立ち上げたのが、地方在住の受験生を支援するオンライン家庭教師サービス「ファーストペンギンハイスクール」(以下、ファーストペンギン)。
発足メンバーには愛媛在住の高校生や群馬から都内の開成高校に入った高校生も在籍。なぜこの事業を行おうと思ったのか、地方と首都圏の違いや、事業にかける彼らの思いを聞きました。

高いレベルに挑戦できる才能を無駄にして欲しくない!

今回の取材は、ファーストペンギンの事業でも用いているオンラインミーティングツール「Zoom」を使って、インターエデュ本社のある東京・西新宿と、都内在住の森中さん、発足・運営メンバーの一人で愛媛の進学校に通う松友さんとを結んで行われました。

「ファーストペンギン」とは、ペンギンの群れの中で、最初に海へ飛び込むペンギンのことを言います。荒波の中に最初に飛び込むのは勇気がいることですが、それだけの価値がある…。あえて地方から都内の進学校に挑戦する、より高いレベルに挑戦する人材であって欲しいという思いを込めて、森中さんはこの名前を事業名につけました。

「中高は人格を形成する一番大事な時期。何を目標に生きていくか、何を目指すか考える時期だと思う。ですからこの時期をどの環境で過ごすかは、本人が思う以上に大事なんじゃないかと思っています」

その思いは松友さんも同じです。

「高いレベルの学校を受けられる力があるのに、地元の中学や高校に行って後悔する子もいるかもしれない。でも優秀な学校はそれだけ優秀な人材が全国から集まってきます。そうした学校でできる友だちは一生の友だちになると思うんです。ぜひそうした環境で人脈を広げていって欲しいし、またそういう学校に通える自分の才能を無駄にしてほしくないと思っています」と語ります。

現在はテストケースでの授業を続けつつ、さらに教師を増やすため目下リクルーティング中。松友さんが加わったときと同じ様に人づてにネットワークを増やし、現在30名近くの賛同者がいるとのこと。

受験のノウハウ、そして厳しさ、また実際の学生生活などはリアルに体験している彼らにしかわからないことでしょう。自分たちが置かれている環境、身につけている知識を客観的に捉え、それを誰かのために生かしたいという強い思いが、発する言葉の端々に強く表れており、その高い志がストレートに伝わってきました。

地方と東京の学習環境の違いは情報の格差

地方から都内の学校に受験すると聞くと、大学受験をイメージしますが、実は地方から都内の中学・高校の進学校への受験希望者もいるとのこと。ファーストペンギンの誕生も、こんな状況が背景にありました。

森中さんは、開成に通う友だちが群馬から都内に下宿して、学校に通っているということを知り、現役生の視点から都内の進学校情報を伝えていこうと考えたのがこの事業への糸口となりました。

「自分たちは都内の大手塾に通って、勉強して入学しましたが、地方の人たちはどうやって勉強してきたんだろうと興味を持ったんです。聞くと自学自習だったとのこと。それはすごい努力だと思うんですが、それと同時にもっと良い方法があるのではとも思いました」(森中さん)。

地方と東京の学習環境の違いに気がついた森中さん。その違いの一つが「情報」ではないか、自分たちが普段使っている参考書、勉強のやり方、都内では当たり前のように共有されていた学習に関する情報が、実は地方の受験生にとって、とても重要なことではないかと気がついたそうです。

「こうした情報は『東京受験.jp』というサイトで発信していたんですが、実際に合格する学力をつけるためにはやはり直に教える必要があると思うようになりました。でも地方に出向いて実際教えるのは現実的ではありません。でも今は、このZoomなどITを活用すれば対面授業の再現を『いつでも、どこでも』できると思ったんです。」

地方に在住しながらのトップ校受験は不安を抱えながらの取り組みに

こうして、都内から地方の受験生へ、オンライン家庭教師サービスの骨格ができたところで次に着手したのが賛同メンバーを集めること。その中で出会ったのが松友さんでした。地元愛媛の進学校に通う高校1年生の松友さんとは、友だちからの紹介で知り合ったのだそうです。

松友さん自身、現在通学している中高一貫校以外にも、東京や関西のトップ校を受けた経験がありました。しかし、愛媛に住みながらトップクラスの進学校に向けた受験勉強をするには、学習環境の面で常に不安を抱えていたと語ります。

「地元で大手塾に在籍していましたがトップ校向けのクラスがなく、東京の校舎からトップ校向け授業のビデオを送ってもらって自宅で勉強していました。でも質問できる先生がいないので、疑問に思ったことが解消できない不安があったんです。なんとか教えてくれる個人塾を探して受験に臨みました」

地方と都会では、塾で教えられる内容にも差があることを痛切に感じたという松友さん。そんな経験があったからこそ、困っている地方の子どもたちの不安や、疑問点を解消したいというファーストペンギンの理念に賛同したのだそうです。

こだわりの対面授業は一人の生徒に対して「ワンチーム」の教師陣で

都内トップ校に通う高校生2人と、地方トップ校在住の高校生。それぞれ別の土地で、異なった受験経験をしたことが、ファーストペンギンのサービス形成に強く影響しています。1対1の学習方法へのこだわりもその一つです。

「住む環境や境遇がこのサービスを受ける人によってすごく違う。ですから集団で教えたら、その子にとって合わないという場合も出てくると思ったんです。でも、1対1といってもただの1対1ではなく、教師側が『3』みたいなチームを組んで教えます。一人が全科目教えるんじゃなくて、それぞれ得意な教科を教えるというシステムです。なぜ得意になったのかそのノウハウも教えられるというわけです」(森中さん)。

また「受験だけがゴールではない」ということも意識して、特別なカリキュラムも用意しています。

現在はテストケースとして北陸地方に在住し、開成高校を目指している中学1年生の生徒に英語と数学を教えるほか、折り紙を題材にした特別講座を月1〜2回ほど実施しているとのこと。それについて森中さんは、

「折り紙は全然受験とは関係ないけど、それを教えるのも意味があるのではと思って。というのも受験していい学校に入ったからって人生安泰になるわけではありません。筑駒入ったときにまわりにすごく勉強できる人がいて、勉強だけでは太刀打ちできないと思ったんです。なので、自分がこれから生きていく環境の中で使えるものがあればそれも教えたい」と語ります。

さらに授業にあたっては生徒の親御さんにもその様子を報告し、時には面談も行っているそうです。

「授業の方針としては、基本的には生徒さんの自立を目標にしているので、親御さんが子どもに干渉する部分は極力減らすようにしています。でも受験は親と二人三脚でやるものだと思うので、親御さんには生徒さんの様子など聞いたりしています。また、親御さんが本当にちゃんと勉強しているのか、といった不安にも応えられるよう、親御さんへの報告として、Zoomの録画機能を利用して、録画した動画を見てもらうなどもしています」と松友さん。

高校生自らオンラインで授業をするというのもなかなかない試み。彼らの授業を受けた生徒たちが、それぞれの希望の学校に進学できる日が楽しみです。

ファーストペンギンハイスクール
https://firstpenguin.tokyojyuken.jp/