浪人させるべきか、させないべきかで悩んだら?

大学受験がそれまでの受験と大きく異なる点に「浪人」という選択肢の存在があります。
特に医学部や芸術系学部、東大・京大などの難関大学を目指していた場合、現役での合格が難しくなってしまうことも多いでしょう。残念ながら第1志望の大学が不合格となってしまった場合、浪人して再挑戦させるべきか、それとも合格した学校に「ご縁があった」と考えて進ませるべきか…悩ましいところですね。(※本記事は2019年1月9日公開の記事を加筆修正しています)

大学受験では5人に1人が浪人生という現実

大学受験では5人に1人が浪人生という現実

中学受験や高校受験ではなじみが薄い「浪人」ですが、大学受験では珍しいことではありません。まずは、大学生における浪人の割合がどのくらいなのかを見ていきましょう。

文部科学省の「学校基本調査」のデータを見てみると、2018年度の大学現役進学の割合は79%で、浪人生は21%。つまり、全国の大学生の5人に1人は浪人経験があるという計算になります。
男女別に見てみると、男子の現役大学進学率は75%(浪人率25%)、女子は84%(浪人16%)。浪人率は男子の方が10%も高くなっています。4人に1人の割合だとしたら、特に男子学生にとっては、浪人はそこまで特別なことではないという印象ですね。

バブル期の1990年代には、なんとおよそ3人に1人が浪人という年もあり、「一浪」を「ヒトナミ」などという世代もありました。しかしながら、近年では浪人の数はかなり減少しています。背景には、少子化、入学試験の多様化で大学に入学しやすくなったこと、不況による保護者の経済状況の悪化などが挙げられるでしょう。

しかし、これから「浪人生」自体がいなくなるかというと、そうとも言い切れません。
以前、「私立大学“難化”でこれから視野に入れたい3つのこと」でもお伝えしましたが、難関私立大学では入学定員の厳格化が行われていますし、東大は毎年高校ごとの現役合格者数が話題になるほど、現役合格が難しいままです。
また、医学部や音楽系・美術系などの芸術系学部では、1浪どころか多浪している学生も決して少なくありません。「浪人してでも入る価値がある」と考えられる大学・学部の場合には、浪人生の割合が高い傾向があります。

今年は大学受験の結果に不満足な学生が多い?

さて、2021年度の大学入試に話を戻しましょう。
今年大学入試を受けた高校3年生は、受難の学年でした。制度自体が二転三転した大学入学共通テストに加え、新型コロナウイルス感染症の影響も。社会全体に振り回されながらの大学入試への挑戦だったことと思います。さらに、受験本番シーズンである2021年1月に再発令された緊急事態宣言により、急遽、個別学力試験を中止した国公立大学もありました。二次試験での逆転を想定して準備を進めていた受験生にとっては、やむを得ないとはいえ、なかなか納得のいかない結果になったのではないでしょうか。
そのため「浪人して仕切り直しを…!」と考える受験生も、今年は多くなるかもしれません。